PC冷却を大きく左右する ファンの重要性を理解する
CPUクーラーの項でも解説したように、ファンは基本的に口径が大きく、回転数が高いものほど冷却性能が高い。しかし、同じ口径や回転数でも羽根の形状や軸受けの構造といったメーカー独自の工夫によって性能に差が出る場合がある。ここでは最新ファン9製品をCPUクーラーに取り付け、その性能をチェックしてみた。
結果として、やはり回転数の高い製品ほど冷却効果は高いものの、1,500rpmより上になると動作音が耳につく。快適さを考えると高負荷時に1,500rpm前後の回転数が確保でき、かつアイドル時の回転数が低いモデルがオススメだろう。
▼ファン口径/回転数をチェック

一番大切なのはファンのサイズ。大きなファンほど低回転でも冷却能力を高くできるので、冷却性能・静音性どちらにも効果が大きい

▼PWMへの対応をチェック

回転数を自動で制御可能なPWMタイプはやや高価だが、回転数を自動で柔軟に変更してくれるため、静音性の面で有利だ

多くの新技術を取り入れたハイエンドファン
- 600~2,000rpm
- PWM制御
- Cooler Master
- Excalibur
- 実売価格:3,000円前後
- 問い合わせ先:support@coolermaster.co.jp (CMインダストリー)
- URL:http://www.coolermaster.co.jp/

風量を重視した板状の羽根や六角形の穴をあけた特殊構造フレーム、低速回転時から高速回転時まで軸ぶれしにくいボールベアリングを採用した高機能ファン。羽根部分は取り外して掃除することができる。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:PWM4ピン
摩擦を抑えたTwister Bearingを採用
- 900rpm
- 回転数固定
- Enermax
- T.B.Silence UCTB12
- 実売価格:1,400円前後
- 問い合わせ先:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)
- URL:http://www.enermaxjapan.com/

磁力を用いて軸受け部を浮かすことで、摩擦を減らすTwister Bearingを採用したファン。こうもりの翼のような波打った形状の羽根を持つBatwing Bladeを採用することで、風量をアップしている点もポイント。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:3ピン
直進性を高め狙った場所を冷やす
- 1,500rpm
- 回転数固定
- SilverStone
- Air Penetrator SST-AP121
- 実売価格:1,900円前後
- 問い合わせ先:03-5298-3880(ディラック)
- URL:http://www.silverstonetek.com/

サーキュレーターのように風が遠くまでまっすぐ届くように意識して設計された「Air Penetrator」シリーズ。グリル部分を渦状にし、羽根の配置を工夫することで最小回転数で1m先まで風を届ける能力があるとしている。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:3ピン(電圧変更ケーブル付属)
羽根のフチを桜の花びら状にしたファン
- 800~1,300rpm
- 手動調整
- Thermaltake
- 桜扇 ISGC Fan 12
- 実売価格:1,700円前後
- 問い合わせ先:info.jp@thermaltake.com (日本サーマルティク)
- URL:http://www.thermaltake.co.jp/

外観的な特徴として、羽根の先端部分が桜の花びらのようなカットになっており、風量の増加と騒音低減を実現したとうたっている。ケーブル部分にボリュームつまみが付いており、任意の速度にファン速度を設定可能。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:3ピン(ファンコントローラ搭載)
ゴルフボールのような表面形状の羽根を採用
- 1,000rpm
- 回転数固定
- アイネックス
- OMEGA TYPHOON CFZ-120L
- 実売価格:1,300円前後
- 問い合わせ先:042-467-7676
- URL:http://www.ainex.jp/

羽根の表面にディンプルと呼ばれるゴルフボールと同じようなくぼみを設けた製品。通常のフラットなものよりも1割程度の風量が増すと言う。このほか軸受け部分を国産のものにすることで長寿命を実現している。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:3ピン
実売価格の安いベーシックな静音ファン
- 1,000rpm
- 回転数固定
- サイズ
- GELID Silent 12
- 実売価格:800円前後
- 問い合わせ先:support@scythe.co.jp
- URL:http://www.scythe.co.jp/

1,000rpm前後の低速回転モデルは高価なものが多いなか、実売価格が800円前後というお手頃価格を実現した静音ファン。特徴的な機能はないものの、ケースに震動を伝えにくい防振ゴムが付属している。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:3ピン
人気ファンがPWM対応に進化
- 0~1,300rpm
- PWM制御
- サイズ
- KAZE-JYUNI PWM SY1225SL12LM-P
- 実売価格:1,200円前後
- 問い合わせ先:support@scythe.co.jp
- URL:http://www.scythe.co.jp/

ファンのモーター部分をコンパクトにすることで羽根の面積を増やし、風量をアップした「KAZE-JYUNI」シリーズのPWM対応版。最低回転数が0なのも大きな特徴だ。スリーブベアリングを採用する。
本体サイズ(W×D×H):120×120×25mm
電源コネクタ:PWM4ピン
12cm角のネジ穴に取り付け可能な14cm径ファン
- 800rpm
- 速度固定
- サイズ
- 風丸2 SM1425SL12L
- 実売価格:1,500円前後
- 問い合わせ先:support@scythe.co.jp
- URL:http://www.scythe.co.jp/

14cm径ファンを搭載しつつも、ネジ穴の位置を12cm角ファンの位置に合わせることで、静音性と風量を向上させた製品。半面、取り付け位置にガイドレールがあるようなCPUクーラーの場合はうまく固定できないことがある。
本体サイズ(W×D×H):140×140×25mm
電源コネクタ:3ピン
ワイドレンジPWM制御が特徴の高品質ファン
- 850~2,850rpm
- PWM制御
- 山洋電気
- F12-PWM
- 実売価格:3,000円前後
- 問い合わせ先:046-236-3522(オウルテック)
- URL:http://www.sanyodenki.co.jp/

信頼性で定評のある山洋電気製のF12シリーズの新製品。最大の特徴はPWMに対応した点。本製品はファン回転数が下は850rpmから、上は2,850rpmまでと幅広い環境に対応できるようになっている。
本体サイズ(W×D×H):119×119×25mm
電源コネクタ:PWM4ピン
ファンコントローラを使いこなす
夏場は高速回転、冬場は低速回転といったようにファン速度を自分でコントロールしたい、というユーザーは多い。そうしたときに役立つのがファンの回転数を調整できるファンコントローラだ。ボリューム式つまみで回転数を制御するものや、センサーで温度検知して制御するもの、複数台をまとめて管理できるものなどさまざまな種類があるため、自分の使用環境(空きベイ、ファンの数など)に応じて選ぶとよい。また、ファンコントローラがあれば、購入したファンがうるさかった場合に回転数を落としてムリヤリ静かにできるため、ファン選び時の保険としても使える。
実際にZALMAN FAN MATE 2を利用してファンの回転数を下げてみたが、大幅に動作音が低下した。ただその半面、CPU温度も大きく上昇しており、静音と冷却、両者のベストバランスを自分で見付け出すことが肝心だ。また、4ピンのPWMファンには対応していない製品も多いので、その点には注意しよう。


シンプル構造で手軽に使える

- ZALMAN
- FAN MATE 2
- 実売価格:1,200円前後
- 問い合わせ先:03-5215-5650
(アスク) - URL:
http://www.zalman.co.kr/
非常に安価な製品。構造もシンプルで、ファンの3ピン電源ケーブルに接続し、本体の中央部のボリュームつまみにより電圧を可変させてファン速度を調整する。
4個のファンを調整可能な3.5インチベイモデル

- サイズ
- 風Q
- 実売価格:1,700円前後
- 問い合わせ先:
support@scythe.co.jp - URL:
http://www.scythe.co.jp/
ボリュームつまみを備えたファンコントローラ。計4個のファンを制御可能で、つまみの調整により512Vまでの範囲で電圧を変化させファン速度を調節できる。
回転数をモニタリング可能なハイエンドモデル

- サイズ
- 風サーバー
- 実売価格:6,000円前後
- 問い合わせ先:
support@scythe.co.jp - URL:
http://www.scythe.co.jp/
5インチベイサイズのハイエンドモデル。4個のファンをボリュームつまみで調整可能なことに加えて、ファン回転数とケース内の温度表示機能、さらに自動制御機能も備える。
【検証環境】CPU:Intel Core i7-965 Extreme Edition(3.2GHz)、マザーボード:ASUSTeK P6T Deluxe V2(Intel X58+ICH10R)、メモリ:Corsair Memory TR3X6G1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3)、ビデオカード:玄人志向 GF8500GT-E256H/HP(NVIDIA GeForce
8500 GT)、HDD:日立GST Deskstar 7K1000.B HDT721010SLA360(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、CPUクーラー:サイズ KABUTOクーラー、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版、暗騒音:32.5dB、室温:28℃、騒音測定距離:ファンから約10cm、アイドル時の条件:OCCT Perestroika 3.1.0終了5分後の値、高負荷時の条件:OCCT Perestroika 3.1.0を40分間実行後の値、ファンコントローラ検証にはCooler Master Blue LED Silent Fan(2,000rpm)を使用