上位陣は実力伯仲 非常にハイレベルな争いに
最後に、ここまでで紹介したCPUクーラーの各種性能を比較してみたい。6コア時代を意識してCPUはPhenomIIX6 1090T BEを使用した。もっとも重要な冷却性能が優れているのは、Thermaltake Frio 冷却魂やZALMAN CNPS10X Performa、Cooler Master Hyper212 Plusとサイズの3製品(とくにグランド鎌クロス)だ。また、ProlimatechArmageddonは、本来非対応のSocketAM3にイレギュラーな方法で装着しているため正当な評価は難しいが、冷却性能は非常に優秀と言える。なお、チップセット温度に関してはトップフロータイプが優秀な結果を出している。
静音性に関しては、アイドル時は水冷のCorsair Memory CWCH50-1が優れているが、高負荷時では前述した空冷の上位陣の中にはそれを上回るものがある。
全体の結果を見ると、頭一つ抜けているのが、冷却性能に優れるHyper 212 Plusと静音性に優れるグランド鎌クロスだ。両製品とも過去に本誌でRecomendedを獲得した実績があり、すでに常連と言ってもよい。前回、Core i7-860(4コア)環境で検証した2010年2月号では前者がGold、後者がSilverという結果だったが、今回のPhenomII X6 1090T BEという高発熱環境下では、グランド鎌クロスの静音性の高さがより際立ち、かつチップセットへの冷却効果も確認できた。よって今回は2製品ともGoldに選定させてもらった。
ただ、ArmageddonやCNPS10X Perfoma、忍者参、羅刹クーラーなども非常にレベルが高く、これらを好みで選ぶのも悪くない。今夏はCPUクーラーの豊作時期(買い時)とも言えそうだ。
【検証環境】CPU:AMD PhenomII X6 1090T Black Edition(3.2GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-890FX-UD7(AMD 890FX+SB850)、メモリ:Kingston Technology KHX1600C9D3K2/4GX(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×2)、HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)、ビデオカード:ZOTAC ZT-96TES2G-FSP(NVIDIA GeForce 9600 GT)、OS:Windows 7 Ultimate64bit版
【測定条件】暗騒音:39dB、室温:29℃、騒音測定距離:ファンから約5cm、アイドル時:OCCT Perestroika 3.1.0起動5分後(無稼働)、高負荷時:CPU Test を15分実行後、チップセット温度:North Bridge部直上を非接触式温度計にて測定、いずれもバラック状態で計測
【グラフ検証内容】OCCT Perestroika 3.1.0で高負荷時のCPU1 Temperature(CPUコア1の温度)とCPU Usage(CPU使用率)を計測。縦軸、横軸のスケールはグラフにより異なる