PCケースの傾向と対策 2/2 | オレにベストなPCケース

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その他の特集（2011年）

高級 vs. 低価格！液晶ディスプレイ群雄割拠

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PCケースの傾向と対策

TEXT：保坂陽一

アルミからハイブリッドまで精度の高いケースを提供

Lian Li

http://www.lian-li.com/

　高級アルミケースメーカーというイメージがあったが、最近はスチールも使ったハイブリッドタイプの低価格製品も増えており、幅広いユーザーが手にできるようになってきた。このメーカーの最近の特徴としては、見た目はシンプルながらも細かな独自のギミックを随所に盛り込んでいることが挙げられる。加工の難しいアルミパネルでありながら、防音ゴムを採用した着脱の簡単なシャドーベイ、マザーボードベース背面のケーブルの取り回しやすさなど、よく考えられたモデルが増えており、高級感のあるデザインに引かれて購入したとしても、後になって機能面で不足を感じることはないはずだ。ただ、やや古めのフルアルミモデルなどには、サイドパネルなどの薄い製品があり、軽く、冷却性能は申し分ないものの、見た目より静音性が低く感じられるものもある。実機に店頭で触れてから選びたいメーカーとも言える。

高級AV機器風デザインから独自エアフローケースまで

SilverStone

http://www.silverstonetek.com/

　一昔前のSilverStoneはどちらかと言うとAV機器風の高級アルミケースなどで知られる存在で、ラインナップは多彩だが、スタンダードな製品が少ないという印象であった。今でも高級デスクトップケースを選ぶなら、外せないメーカーである。ただ、品質面では申し分なく、ミドルタワー製品なども選択肢は少ないものの、比較的幅広い層からの支持を得ている。そこへ最近はゲーマー向けの冷却重視ケースや、Mini-ITXケースなどを投入して人気はさらに上昇中だ。SGシリーズではmicroATXやMini-ITXといった小型フォームファクターを採用しつつも、大型ビデオカードの搭載を実現。タワーケースではマザーボードを直立配置とした独特のエアフローを持つRavenシリーズを展開するなど、やはり独自の路線を追求している。ポリシーが強く感じられる、ほかにはないケースを提供してくれるメーカーだ。

ゲーマー向けのハデな冷却重視ケースと言えばココ！

Thermaltake

http://www.thermaltake.co.jp/

　大型クーラーなどでも知られるThermaltakeは、ハイエンドゲーマーを強く意識した製品群をラインナップしており、ケースもカラフルなLEDを多用した冷却重視の製品が多いのが特徴となっている。3色LED採用や、複数の大型ファン搭載などに加え、フロントパネルが独特の形状になったものなど、ハデな製品を求めるなら外せないメーカーだ。これらは高級モデルから低価格モデルまで一貫しており、いずれも冷却面での不安は少なく、エアフローのアレンジの幅にも余裕がある。ただ、このメーカーの多くの製品に言えることだが、冷却重視のためにダクトを増やしたり、演出のためにアクリルパネルなどを採用したりしていることもあって、剛性がイマイチなものがあるのは確か。ただ、それも最近の製品では改善が見られるようになっており、古参の自作派も実際に製品に触れて、その印象を上書きする必要はあるだろう。

フルアルミケースで培ったこだわりをすべてのユーザーに

アビー

http://www.abee.co.jp/

　こだわりという点ではどこにも負けない、アルミケースをメインとするメーカーで、フルタワーからキューブタイプケースまで多彩な製品を展開している。Mini-ITXケースの多彩なカラーバリエーションなども記憶に新しいところだが、ユニークな独自ギミックを多く盛り込むメーカーでもあり、最近では内部のパーツを個別に覆うことで、各部のエアフローを細分化した3階層構造を持つハイエンドケースなども登場。値段が張るにもかかわらず、人気は上々のようである。いずれの製品にも増設マウンタや強化キットのような多彩なオプションが用意されているのも魅力だ。また、低価格モデルにも力を入れてきており、スチール＋樹脂製で静音重視の「balance B640」などに加え、1万円以下で高品質な「METHOD」も投入。低価格でも妥協できない、手先の器用な頑固職人のようなメーカーである。

国内周辺機器メーカーの雄は今も昔も質実剛健

オウルテック

http://www.owltech.co.jp/

　さまざまな海外メーカーの国内代理店でもあるオウルテックは、PCケースはもちろん、ベイ内蔵リムーバブルドライブまで、いろいろなケース関連製品を1社で揃えることが可能であり、いずれも入手性が高いのもうれしい。ケースメーカーとしても老舗の存在であるが、同社のケースと言えばやはり質実剛健。奇をてらったものは少ないが、高い剛性と、ツールフリー仕様の各部ギミックなど、初心者にも安心してお勧めできるものばかりである。デザインなどがヤボったいというイメージも最近は払拭されてきており、最新製品の黒鉄 OWL-PC720（B）では、はやりを取り入れたメッシュデザインながらも静音重視という、意外になかったところを突いてきている。そのほか、スリムタイプのmicroATXケースなどでも定番と言える製品があるなど、いずれも迷ったら選んで損はないものばかりだ。

流行に敏感なハイコストパフォーマンス製品群

サイズ

http://www.scythe.co.jp/

　単体販売されるCPUクーラーでは国内トップシェアを持つサイズは、低価格ながらも最新の流行を取り入れたコストパフォーマンスの高いケースが人気のメーカーである。トレンドをかぎ分ける嗅覚を備えており、1万円以下で大出力電源搭載、しかも防音素材を採用などといった製品もめずらしくない。デザインは価格なりで特徴に乏しいものも多いが、名（見た目）より実（機能・性能）を取った、納得の作りのよさを備えているのだ。ちなみに、大型ファンを複数備えることで強力なエアフローを実現するXClioシリーズは、性能だけでなく、見た目のインパクトも抜群である。

　ただ、いずれの製品もサイクルが非常に短く、入荷を待っているうちに新製品に代わっているということも少なくない。低価格でおいしいケースを手に入れたい人は、こまめにチェックしておきたいメーカーである。