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TEXT:寳諸 宏 |
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地デジPCのための |
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アップグレードポイント |
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第1世代の地デジキャプチャカードが勢揃いし、導入に必要なスペックも明らかになった。ここでは、地デジPC自作のアップグレードポイントを重要パーツごとに紹介する。 |
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地デジキャプチャカードメーカー各社が推奨するCPUスペックは、現行製品で見るとCore 2 Duo E4300(1.8GHz)や、Athlon 64 X2 3800+(2GHz)以上と意外に低い。そもそも、単に録画するだけなら(暗号化処理は必要だが)MPEG2-TSで送られてくる放送波をそのままHDDに保存するだけなので、決して負荷は高くない。しかし、こちらの検証でも明らかなように、視聴ソフトによってはマルチコアCPUの効果は確実にある。また、不要なシーンをカット編集したり、ダビング10が実装されて携帯プレイヤー向けに録画データをフォーマット変換したりできるようになることを想定すると、マルチコアCPUを選んでおく意義は大きい。 |
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編集・メディア変換機能が強化される将来を考えれば、PhenomやCore 2 QuadなどのマルチコアCPUが有力だ |
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MPEG2-TSの地デジ放送をそのまま記録する録画モード(1,440×1,080ドット/最大16.8Mbps)では、1時間あたり約7.5GBの容量が必要だ。これは、アナログ放送をDVD品質で録画する場合のおよそ2倍の容量となる。そのため、1回ダビングするとHDDから削除されてしまう現行のコピーワンス環境では、内蔵にせよ外付けにせよ、大容量HDDの必要性がさらに高まる。現行のHDDのデータ転送速度は、地デジ録画目的には必要十分なので、問題となるのはもっぱら容量と言えそうだ。ベアHDDの場合、現在もっともコストパフォーマンスが高いのは500GBクラスだが(実売8,000~1万円前後)、放送波画質では約66時間しか録画できない。本格的に使うなら、100時間以上の録画が可能な1TBは欲しいところだ。 |
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運用制限が厳しく、ファイルサイズも大きくなる地デジ録画用HDDには、現行最大容量の1TBがベストチョイスと言えるだろう |
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ビデオカードは、HDCPに対応した出力端子(DVI/HDMI)を持ち、アプリケーションとGPU間で暗号鍵を介したコンテンツ保護を行なうCOPPのドライバ対応が必須条件だ。現行のHDCP対応ビデオカードなら、基本的にCOPPに対応しているので、COPPをとくに意識する必要はないと言える。地デジキャプチャカードメーカー各社の推奨GPUは、ATI Radeon HD 2600以上、NVIDIA GeForce 8400以上、チップセット内蔵のNVIDIA nForce 600シリーズ以上、ATI Radeon Xpress 1100以上、Intel G965以上などとなっている。つまり、DirectX 10世代以降のビデオカードならほぼHDCP対応済みだが、GeForce 8500 GTのようにHDCPをオプション扱いとしている製品も存在するので、購入時にはHDCPの実装に注意したい。 |
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DirectX 10世代以降のミドルレンジ以上の製品がオススメだが、HDCPへの対応確認は忘れずに |
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HDCP対応の24型ワイド以上なら1125i/pもOK |
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地デジPC環境では、ディスプレイのHDCP対応は必須条件だ。そして、デジタル放送の大半はワイドサイズなので、ディスプレイもワイド製品が見やすい。ちなみに、19型ワイドでは1,440×900ドット、20~22型ワイドは1,680×1,050ドット、24~26型ワイドは1,920×1,200ドット表示の製品が標準的だ。
地デジの解像度1,440×1,080ドットを縮小せずにすべて表示したいなら、24型ワイドが選択肢の中心になるだろう。応答速度が速く安価なTN方式、黒の表現が得意で液晶テレビにも多く使われるVA方式、色再現性や発色に優れるが高価なIPS方式など、パネルの種類やメーカーによって価格は大きく異なる。とはいえ、HDCP対応の24型ワイドでも、安いものなら4万円前後で購入できる。 |
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HDCP対応の24型ワイドで、2系統のHDMI端子やリモコン付属など、充実した装備の三菱電機「VISEO MDT242WG」(実売価格12万円前後) |
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新製品の発売予定が次々と明らかになっているが、PC向け地デジキャプチャカード第1世代はひとまず出揃ったと言ってよいだろう。もちろん、この世代では消化し切れない課題も残されており、もろ手を挙げて飛び付くには、やや疑問点も残る。しかし、今後のアップデートや次世代以降で対応が予定されている機能も多く、期待は膨らむばかりだ。ここでは、今後の導入が期待される機能について紹介しておこう。 |
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地デジと地アナのどちらにも対応するピクセラのダブルチューナーモデル「PIX-DA022-PP0」が登場。過渡期ならではの製品だ |
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AVCREC |
第1世代地デジキャプチャカードでは、DVDへのムーブは標準画質でしか行なえないが、次世代以降ではAVCRECへの対応が期待されている。AVCRECとは、Blu-ray Discで採用されているアプリケーションフォーマット「BDAV」を利用してDVDにHD映像を記録する方式のことで、Blu-rayの推進団体であるBDA(Blu-ray Disc Association)により承認された規格でもある。高圧縮の映像フォーマット「H.264」などを利用することで、データサイズを抑えつつ、DVD-Videoの最大720×480ドットをはるかに超える高解像度記録を実現している。
最大のメリットは、高価なBD-RやBD-REではなく安価なDVDメディアを利用できることだが、一度録画したコンテンツはほかのモードに変換できず、再生できるのはAVCREC対応機器のみという制約がある。当然、従来のDVDプレイヤーでは再生できない。 |
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ダビング10 |
現行の地デジ番組はコピーワンス(DVD/BDなどに1回ダビングするとHDDから削除される)を前提に配信されている。しかし、これではユーザー側の制約が大きく、従来のアナログ放送のように手軽に録画した番組をライブラリ化できない。そこで、総務省の情報通信審議会において、デジタル放送の私的利用に関する制限を緩和し、10回までのコピー(最後の1回はムーブ)を可能にするダビング10が策定された。
デジタル放送推進協会(Dpa)ではダビング10の採用を決め、今年6月2日からの導入が予定されていたが、準備不足のため延期された。第1世代キャプチャカードでもダビング10対応は可能で、各メーカーはアップデートで対応する予定だ。ただし、それまでに録画された番組はコピーワンスの制限が有効で、ダビング10が新規採用されても新たにコピー可能回数が増えることはない。 |
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カット編集機能 |
第1世代の地デジキャプチャカードは、いずれも発売時点では編集機能が実装されていない。したがって、録画した番組はそのままの状態で視聴・ムーブするしかない。これは自由度が高かったアナログ放送でのカット編集機能に比べると著しく不便だ。しかし、CMカットを行なうくらいの基本的な編集機能は各社実装を予定、検討しているので、今後のアップデートに期待だ。 |
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DTCP-IP |
DTCP-IPは、暗号化されたデジタルコンテンツを家庭内LAN(IPネットワーク)で送信できるようにする規格で、電波産業会(ARIB)の承認を得ている。これを利用することで、たとえばPCで録画した地デジ番組を、同じLANに接続したDTCP-IP対応の液晶テレビなどで視聴できるようになる。
バッファローでは、すでに発売中の第1世代製品でもアップデートでDTCP-IPに対応するとしている。また、同社ではDTCP-IP配信サーバーとしても利用可能なNASの発売も予定している。 |
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ダブルチューナー |
放送中の番組を視聴しながら別の番組を録画したり、同時に異なる番組を録画したりするには、二つ以上のテレビチューナーが必要だ。すでにバッファローがチューナーを2基搭載する製品の年内発売を予定しているほか、ピクセラからは地上アナログと地上デジタルに対応した変則ダブルチューナー製品が発売されている。 |
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