その他の特集(2011年) | |||
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TEXT:多和田新也 | ||||||||||||||
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Windows Vistaをきっかけとした3Dグラフィックスの大きな変革。その中心となるのがDirectX 10だ。昨年11月に登場したNVIDIAのGeForce 8800シリーズを皮切りに、今年はATIからもRadeon HD 2000シリーズが登場し、ハードウェアのDirectX 10対応はハイエンドからバリューモデルまで進んだ。一方で、ソフトウェア側の対応は遅れており、このDirectX 10の効果を味わえる機会が少なかったが、最近になって「World in Conflict」や「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」にDirectX 10対応の新パッチが登場。また、試しやすいソフトとしては「Call of Juarez DirectX 10 Benchmark」もあり、その表現力を確認することができるようになってきた。 このDirectX 10最大のトピックは、「ジオメトリシェーダー」と新しい計算機の搭載にあると言ってよい。DirectX 9では、グラフィックスパイプライン上のプログラマブルシェーダーは「バーテックスシェーダー」と「ピクセルシェーダー」の二つであった。このうち、バーテックスシェーダーは3Dグラフィックスの基本となるポリゴン(三角形)の頂点情報を処理するものであるが、頂点情報一つの入力に対し、一つの出力しか行なえない。つまり、頂点数が増えれば増えるほど頂点情報をパイプラインに投入する必要がある。 これとジオメトリシェーダーが異なる点はグラフィックスパイプライン上、バーテックスシェーダーとピクセルシェーダーの間に配置され、頂点1個の入力から別の頂点を生成し、複数の頂点を出力できることだ。たとえば、従来のバーテックスシェーダーではあまりに非現実的だった、オブジェクトの凹凸をすべてポリゴンで生成することも、骨格となる頂点情報からジオメトリシェーダーで複数の頂点を生成していくことで実現できる。また、毛や草などの細かいオブジェクトを敷き詰めるような表現や、高速移動時のブレ(残像)を表現するモーションブラーなども、よりリアルに、そして低負荷で実現できるようになるのである。 このほか、DirectX 9.0cのShader Model 3.0から、Shader Model 4.0となり、プログラマブルシェーダーによる実行可能命令数が512命令から65,536命令へ大幅に増加。固定のバッファレジスタも256命令分から事実上、無制限とも言える命令をGPUに行なわせることができるようになった。 また、DirectX 10からは各シェーダーに同等の機能を持たせるコモン(共通)シェーダーアーキテクチャが採用される。これはバーテックス・ジオメオリ・ピクセルの各シェーダーの命令セットを共通化することで、プログラム開発者の負担を減らすことにつながる。また、すべてのシェーダーがビデオメモリへの入出力をサポートすることになり、たとえばバーテックスシェーダーやジオメトリシェーダーがビデオメモリに格納されているテクスチャを参照したり、ジオメトリシェーダーからの出力をストリームアウトプットと呼ばれる仕組によって再びバーテックスシェーダーに戻したりといった機能も追加されている。 これら、各シェーダーユニットの仕様統一化、シェーダーからのダイレクトメモリアクセスに対応するShader Model 4.0の仕組を効率的に処理できるよう、DirectX 10世代のハードウェアは統合シェーダーユニットがトレンドとなっているのである。 |
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DirectX 9 クモ形のモンスターの脚部の表面はDirectX 9までの技術により質感が高められているが、まだまだ平面的でテクスチャっぽさが目立ってしまう |
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DirectX 10 ジオメトリシェーダーによって毛の1本1本の頂点を生成し描画することを可能にした。GPUのシェーダーユニットだけで処理が可能で、質感の違いがはっきりと分かる |
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[カンパニー オブ ヒーローズ] Copyright (C) 2006 Zoo Corporation. All Rights Reserved. |
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DirectX 9 従来のモーションブラーは移動するオブジェクトをフレームごとに重ね合わせていく手法を用いており、大きく移動する場合や、重なり部分に不自然さが残る |
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DirectX 10 ジオメトリシェーダーを用いてオブジェクトの移動方向と速度に応じて頂点を増やし、スムーズな残像を表現。軌跡の背後を透かす表現なども可能になる |
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[ロスト プラネット エクストリーム コンディション] Character Wayne by (C) Lee Byung Hun/BH Entertainment CO., LTD ,, (C) CAPCOM CO., LTD. 2006 ALL RIGHTS RESERVED. |
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複数のGPUを搭載して性能を向上させるマルチGPU技術は、現在にいたっても基本的な部分では大きな変革は起きていない。しかし、細かいところで使い勝手に変化が生まれている。 一つはハイエンドモデルにおける要求電力の変化である。GeForce 8800 GTX/Ultra搭載製品では6ピン電源端子を二つ備え、Radeon HD 2900 XTにいたっては1系統で150Wを供給できる8ピンの電源端子を新たに採用し、6+8ピンという新しい組み合わせが登場している。これをマルチGPUで使う場合には、前者は6ピンを四つ、後者は6ピン二つ+8ピン二つの電源端子が必要だ。もちろん、その電力を供給できるだけの能力を持った電源ユニットも必要で、700W以上の電源が推奨されているほどだ。 もう一つの潮流は、2枚のビデオカードを接続するブリッジコネクタが複数用意され始めた点だ。ATIはRadeon X1950 PROからNative CrossFireと呼ばれる2基のコネクタをブリッジする方式を採用。一方のNVIDIAはGeForce 8800 GTX/Ultraにおいて二つのSLIコネクタを装備した。両社が将来的に3枚以上のビデオカードを接続して、さらなる性能向上を検討していることの現われだろう。 ちなみに、Windows VistaにおいてもSLIやCrossFireはサポートされるが、実際には思ったほどパフォーマンスが向上しない事例が相次いでいる。そんな中、マイクロソフトが技術情報「KB936710」を掲載。DirectX 10アプリケーションをマルチGPUで利用した場合に、2枚目のビデオカードが正しく動作できないという不具合の修正を、今後提供予定のService Packへ盛り込むことを表明するとともに、カスタマーサポート経由でユーザーにも提供している。ただ、このパッチも万能なものではなく、ビデオカードの最新ドライバ、アプリケーションの最新パッチもチェックする必要がある。 |
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増大する消費電力 | ||||||||||||||
PCI Express x16スロットから供給できる75Wに加え、6ピン端子では75W、8ピン端子では150Wが供給できる。ハイエンドビデオカードの消費電力は200W前後に達しており、電源端子を複数備えることが標準となっている | ||||||||||||||
CrossFireの接続方式が変更に | ||||||||||||||
ATIは昨年末に発売したRadeon X1950 PROで採用したNative CrossFireを、Radeon HD 2900/2600にも引き続き採用。従来の外部接続型CrossFireに比べてケース内部でスマートに接続できるメリットがある | ||||||||||||||
DirectX 10アプリケーションの一つである「Call of Juarez DirectX 10 Benchmark」において、nZoneで入手可能な最新βドライバのForceWare 163.11を使うと安定してSLIの効果が出た。ただし、Hotfix適用の効果は見られなかった | ||||||||||||||
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