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その他の特集（2011年）

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ネットワークを構築しよう！

TEXT：宇野貴教

イチから分かるLAN構築

■	ケーブルいらずの無線LAN

　家族全員が1台ずつPCを持っていたり、リビングにPCを配置していたりすると、ルーターやハブとの間に壁があるなどの理由で、イーサネットケーブルで接続できないことがある。このように機器間の距離が長かったり、物理的な障害物でケーブルを通せないときは、イーサネットケーブルの代わりに電波を用いて通信する無線LANを使うのがよい。

　無線LANには、「IEEE802.11b」、「IEEE802.11a」、「IEEE802.11g」、そして策定中の「IEEE802.11n」などの規格がある。主流は11bと11gだが、手持ちのノートPCや無線LAN機器がサポートしている規格に合わせて無線LANアクセスポイントを購入すればよい。手持ちの無線LAN機器が一つもなくて、自宅で使うことだけを考えるなら、現在最速の11nドラフト対応製品を選んでもよいだろう。

　無線LANを使う際に注意しなければならないのは、第三者からの不正アクセスだ。無線LANを利用する際は、通信の暗号化や接続機器の制限といったセキュリティ設定を確実に行なっておきたい。最近では接続と暗号化設定を簡単に行なえる機能があるので（前のページ参照）、対応製品を選ぶと手間が省ける。

　なお、イーサネットケーブルを使わないLAN構築には、PLC（電力線通信）を使う方法もある。PLCは家庭内の電気配線にデータ信号を重畳する技術で、壁のコンセントをイーサネットコネクタとして使うため、ケーブル配線を行なうことなく家中にネットワークを張りめぐらせることができる。転送速度は最大200Mbps前後で、実効速度は約50～80Mbpsと高く、十分実用レベルに達している。

　コンセントからイーサネットコネクタに変換するには専用のPLCアダプタが必要で、最低でも一対（親機と子機）のアダプタを用意しなければならない。便利そうに見えるPLCだが、登場したばかりということもあって、親機と子機のセット価格は実売2万円前後とやや高価だ。また、ほかの家電製品のノイズの影響を受ける点は無線LANと同じで、環境によっては十分な速度が出ない場合もある。

イーサネットケーブルが届かないときは

1階と2階の間や離れた部屋の間など、物理的にイーサネットケーブルを敷設しにくい環境では、PLCや無線LANが有効だ。電力線をネットワーク化するPLCは難しい設定が不要で、美観にも影響しない。すでに無線LAN環境があるなら、イーサネットポートしか持たない機器に無線コンバータを接続すればよいだろう。

PLCを使う
家庭内の電力線を使ってLANを構築できる新しいネットワーク技術。導入コストが高いのが難点だ

無線コンバータを使う
無線LANインターフェースを持たないデスクトップPCや家電、ゲーム機は無線LANコンバータでワイヤレス化できる

■	OSのネットワーク設定

　ネットワークに関するPCの設定は、Windows Vista/XPとブロードバンドルーターを使用しているなら、標準のままでインターネットに接続できる。ちなみに、ネットワーク設定の確認は、Windows XPならコントロールパネルの「ネットワーク接続」を、Windows Vistaならコントロールパネルの「ネットワークと共有センター」で行なえる。ネットワークの再設定を行なうときは、「新しい接続ウィザード」、「接続またはネットワークのセットアップ」を実行して、ウィザードの指示に従えばよい。

Windows Vistaのネットワーク設定

Windows Vistaには、LAN設定やブロードバンドルーターとの設定を対話形式で進めていく機能が用意されている。一般的なLAN構成なら、ネットワークの環境設定はこのウィザードだけですむ。なお、コンピュータ名やワークグループ名の変更、IPアドレスやDNSサーバーの手動指定といったマニュアル設定も可能だ。

ウィザードで簡単設定
ネットワークと共有センターの「接続またはネットワークのセットアップ」から、ウィザード形式で設定できる

手動設定も可能
IPアドレスやDNSサーバーの手動設定などが必要な場合は、手動で設定を行なおう

　LANを活用するという意味では、このほかにも「共有フォルダ」の設定を行なっておきたい。共有フォルダとは、LAN経由でほかのPCからも読み書きできるフォルダのことだ。LANでつながっているとは言っても、お互いのHDDの内容が丸見えなわけではなく、重要なファイルやフォルダには当然アクセスできない。そこで、ほかのPCからアクセスできるフォルダを別途用意して、ファイルの受け渡しなどを行なえるようにするのだ。

　フォルダを共有するには、共有したいフォルダを右クリックしてプロパティを開いて、「共有」タブで設定を行なう。Windows Vistaの場合、共有フォルダにアクセスするにはユーザーアカウントとパスワードが必要で、ユーザーごとに閲覧者（読み取りのみ）、投稿者（書き込みのみ）、共同所有者（フルアクセス可）を設定できる。

　注意する点としては、Windowsファイアウォールのブロック例外設定で「ファイルとプリンタの共有」を有効にしていないと、共有フォルダへアクセスができなくなってしまう。アクセスできない場合はアカウントとファイアウォール設定を再確認しよう。

Windows Vistaでファイル共有

Vistaの共有フォルダにアクセスするには、ユーザーアカウントとパスワードが必要だ。XPの場合は、標準でマイコンピュータ上に「共有ドキュメント」が作られている。共有フォルダのあるPCにアクセスできない場合は、ファイアウォールによって遮断されている可能性がある。

共有フォルダでLANを活用
共有フォルダは標準ではユーザーとパスワードの指定が必要だが、誰でも読み書きできる設定にすることもできる

ファイアウォール設定も確認
共有フォルダにアクセスできない場合は、まずWindowsファイアウォールを確認。例外に共有フォルダが含まれていればよい

わが家のネットワーク自慢

編集部松本編

一人暮らしのわりにネットワーク機器の多いわが家は、OCNのFTTHをマンションタイプで利用している。まず、VDSLでローゼットから入ってきた回線を、OCNから貸し出されているルーターでルーティング。その隣室にバッファローの無線LANルーター（ハブ兼無線APとして利用）があって、メインマシンやゲーム機、家電などと有線／無線でつながっている。無線の暗号化強度が高めなので、ニンテンドーDSをネットワークにつなげるときはMac上で仮想環境を起動して、USB無線LANアダプタのソフトAPを介して接続している。DSの無線LANはもともと低速なので、仮想環境がボトルネックになることはないようだ。