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その他の特集（2011年）

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AHCIの設定を理解する

TEXT：鈴木雅暢

ICH6/ICH7シリーズのAHCI以外のモード

　チップセットがSerial ATAを標準でサポートするようになってからHDDまわりのBIOS設定がかなり複雑になっている。とくにIntelのICH6RやICH7Rを搭載したマザーボードでは、AHCI以外にもBIOSセットアップの項目に多数のモードが存在し、混乱のもとになっている。ここではそれを整理してみよう。

　各種モードの説明は図のとおり。たくさんのモードがあるが、大多数のユーザーにとって必要なのは、AHCIモードとStandard IDE（IDE互換）のEnhancedモードのみ。NCQやホットプラグなど、Serial ATAネイティヴの機能を利用する場合には「AHCI」、それにこだわらなければ「Standard IDE」の「Enhanced」で利用すればよい。RAIDを利用するなら「RAID」だ。

　Enhancedモードは、ICHがサポートしているIDE、Serial ATAポートをすべて有効にする設定で、製品によっては「Native IDE」などと表記されることもある。

　Standard IDEのほかのモードは何のために用意されているかと言うと、MS-DOSのように、レガシーなIDEのプライマリ／セカンダリしか認識できない古いOSで利用するためのもの。Serial ATAのポートをレガシーIDEにエミュレートして割り当てることができるようになっている。なお、NVIDIAチップセットはもともと正式サポートするOSがWindows XP以降に限られるため、このようなモードはサポートしていない。

Windows VistaではAHCIドライバは不要

　これまで見てきたように、Windows XPでのAHCIモードの利用環境は非常に不便で、ひどく使い勝手が悪い。NVIDIAチップセットでこそあまり複雑な設定を必要としないが、AHCI対応のチップセット（South Bridge）としてはむしろこちらのほうが例外で、VIAやATIのSouth BridgeでもIntelのICHシリーズと同じようなBIOS設定→AHCIドライバインストールという作業は必要になる。

　OSのインストール時にドライバFDが必要なのもめんどうだし、一度システムドライブにIDE互換モードでOSをインストールしてしまった後にBIOSでAHCIモードに変更するとシステムが起動できなくなる（通常はIDE互換に戻せば起動できるようになる）など、融通が利かない（この場合の対処方法は次ページから解説）。

　しかし、こんな不便な環境からも、もうすぐ解放される。Microsoftが来年にリリースを予定している次世代Windows「Windows Vista」では、ようやくAHCIドライバが標準でサポートされるため、OSインストール時のドライバインストールなどの作業は不要になる。マザーボードのBIOSセットアップで「AHCIモード」の設定をしておけば、あとは何もしなくともごく普通にインストールが完了し、AHCIが有効になる。

　今月号の特別付録である「Windows Vista RC1 インストールDVD」でもICH7RやICH8Rを搭載したマザーボードでAHCIの有効動作が確認できた。Vistaが登場することにより、ようやくAHCIも一般ユーザーにとって身近な存在になりそうだ。