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TEXT:鈴木雅暢 |
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世代交代により大幅値下げ |
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CPU |
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しばらく安定傾向が続いていたCPU市場は、Core 2 Duoの登場前から一気に活性化、全体的に買い得感が高くなっている。低価格帯では少し前のメインストリームや省電力バリューCPUなどが混在する1万円前後の製品に注目だ。 |
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■ |
Core 2 Duo効果で相場が激動 1万円前後がアツい |
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これまで最速だったAthlon 64 FX-62を軽く上回る性能とPentium Dの半分程度の消費電力を両立したCore 2 Duoの登場、これがここ最近のCPU市場の最大のトピック。その驚異の実力は、本誌で行なったテストでも実証されている。
しかし、市場がCore 2 Duoに独占されているかと言えば、そうでもない。その煽りをくらって大幅値下げされたCPUも、その買い得感から飛ぶように売れているのだ。なかでも目立っているのが、Socket939版のAthlon 64 X2。たしかに、Socket939ユーザーからすれば、CPU交換だけで大幅なパワーアップが見込め、その価格も従来の半値程度というのだから願ってもないチャンス。既存のほとんどのパーツは使い回せるので、新しいマザーボードやメモリが必要になるCore 2 Duoの導入よりも魅力的だろう。売れ過ぎて品薄状態が続いているのも納得だ。
そして、今回のターゲットとした1万円前後の価格帯もアツい。バリュー向けCPUの上位モデルに加え、大幅に値下げされたAthlon 64が参戦。そしてCore 2 Duo登場後はPentium Dの値下げに引きずられ、Pentium 4もここまで落ちてきた。さらに、Energy Efficient版のSempron、Celeron Mなどといった低消費電力版CPUも自然にこの価格帯へと落ちてきて、とにかくバラエティに富んだ、買い得感の高いCPUがひしめいている。 |
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低消費電力CPUが人気
Core 2 DuoやCore Duoなど、低消費電力にフォーカスした製品の人気が高まっている。AMDも通常モデルよりTDPの小さなEnergy Efficientモデルの出荷を開始した |
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動作クロック以外にも注目
CPUには動作クロック以外にも2次キャッシュや省電力機能など、重要な要素が多い。総合的なスペックから判断するようにしよう |
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激安CPU選びのポイント アップグレードも視野に |
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CPUはほかのパーツと違って、製品と言うよりも、これ自体が部品に近い性質を持つ。CPUの価格を決めているのは、ほとんどが性能面にあると言ってよく、あとは消費電力と、少しばかり機能(64bit対応など)の要素が加わるくらいだ。使い勝手やデザインといった要素はなく、安いからと言って、耐久性などの品質が劣るということもない。
激安CPU選びのポイントとしては、やはり通常のCPU選びと同じように、性能や消費電力ということになる。一般的には高価なCPUのほうがよいと判断できるが、性能重視か、省電力重視かで選択は変わってくる。さらに、Core 2 Duoの影響で最近の相場はかなり乱れており、明らかに性能の劣るCeleron Dが、Pentium 4とほぼ同じ価格帯になるなど、価格と性能が一致しないことも多くなっているので注意が必要だ。
上記以外で注意したいのは、アップグレードパスの有無。後からパワーアップの余地があるかどうか、である。後でより高いCPU性能が必要になったときに、マザーボードを変更せずにより上位のCPUにアップグレードできる余地があることが望ましい。すでにマザーボードを持っていて制限がある場合は仕方がないが、そうでない場合は、Socket939よりSocket AM2といったように、より将来性の高いプラットフォームにしておいたほうがよい。また、マザーボードを一緒に購入する場合は、その価格まで含めて考える必要がある。たとえば、新Socket479のCeleron MなどはCPU単体では安いが、マザーボードの選択肢は非常に少なく、割高でもある。 |
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1万円ゾーンの主なCPUリスト |
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製品名 |
動作クロック |
価格 |
対応ソケット |
システムバス |
2次キャッシュ容量 |
Intel Celeron D 356 |
3.33GHz |
10,000円前後 |
LGA775 |
533MHz |
512KB |
Intel Celeron D 352 |
3.2GHz |
9,500円前後 |
LGA775 |
533MHz |
512KB |
Intel Celeron D 351 |
3.2GHz |
7,500円前後 |
LGA775 |
533MHz |
256KB |
Intel Celeron M 420 |
1.6GHz |
10,000円前後 |
新Socket479 |
533MHz |
1MB |
Intel Pentium 4 541 |
3.2GHz |
11,500円前後 |
LGA775 |
800MHz |
1MB |
Intel Pentium 4 531 |
3GHz |
11,500円前後 |
LGA775 |
800MHz |
1MB |
Intel Pentuim D 805 |
2.66GHz |
13,000円前後 |
LGA775 |
800MHz |
1MB |
AMD Athlon 64 3500+ |
2.2GHz |
11,500円前後 |
Socket AM2 |
1,000MHz |
512KB |
AMD Athlon 64 3200+ |
2GHz |
10,000円前後 |
Socket AM2 |
1,000MHz |
512KB |
AMD Sempron 3600+ |
2GHz |
10,000円前後 |
Socket AM2 |
800MHz |
256KB |
AMD Sempron 3200+ |
1.8GHz |
8,000円前後 |
Socket AM2 |
800MHz |
128KB |
AMD Sempron 3000+ TDP35W |
1.6GHz |
11,500円前後 |
Socket AM2 |
800MHz |
256KB |
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AMD |
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Athlon 64 3500+ |
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実売価格:11,500円前後 |
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問い合わせ先:0120-263-669 (日本AMD)
URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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今回のCPU価格改定の波の中で、まっ先に値下げが行なわれたAthlon 64は、同価格帯のPentium 4とほぼ互角の性能を持ちつつ、消費電力が大幅に低い点がセールスポイントだ。CPU負荷が低いときに動作クロックと電圧を下げるCool'n'Quietをサポートする点もメリット。Socket939/AM2版が併売されているが、とくに理由がないならば、DDR2メモリをサポートし、上位CPUのラインナップも豊富なSocket AM2版がお勧め。消費電力もSocket939版より低くなっている |
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対応ソケット:Socket AM2
動作クロック:2.2GHz
システムバス:1,000MHz
2次キャッシュ:512KB
主な機能:AMD64、Cool'n'Quietなど |
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AMD |
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Sempron 3000+ (TDP35W) |
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実売価格:11,500円前後 |
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問い合わせ先:0120-263-669 (日本AMD)
URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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Sempronは、AMDのバリュー向けブランド。従来は2世代前のSocket754を採用していたが、2006年5月からSocket AM2版が登場してきたことで魅力的な選択肢として浮上してきた。モデルナンバーはAthlon 64とは異なる基準で付けられており、少し割り引いて考える必要がある。だいたい、Sempron 3000+はAthlon 64 2600+相当と考えてよい。本製品はTDP35Wという低消費電力のEnergy Efficientモデルで、静音志向のユーザーは注目だ。 |
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対応ソケット:Socket AM2
動作クロック:1.6GHz
システムバス:800MHz
2次キャッシュ:256KB
主な機能:AMD64、Cool'n'Quietなど |
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Intel |
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Celeron M 420 |
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実売価格:10,000円前後 |
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問い合わせ先:0120-868686 (インテル)
URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Pentium D、Pentium 4の大幅な値下げに比べ、デスクトップ向けのバリューブランドであるCeleron Dは値動きが小さめで割高感がある。そこで今回は同じバリュー向けでも、安価なだけでなく、省電力というメリットがあるモバイル向けのCeleron Mをチョイスした。Core Duo/Core Soloと同じYonahコアを採用しており、バリューCPUとしては2次キャッシュが1MBと多め。オーバークロック耐性が高いことでも知られる。TDPは27Wで、省電力機能(EIST)は省かれている。 |
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対応ソケット:新Socket479
動作クロック:1.6GHz
システムバス:533MHz
2次キャッシュ:1MB
主な機能:とくになし |
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Intel |
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Pentium 4 541 |
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実売価格:11,500円前後 |
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問い合わせ先:0120-868686 (インテル)
URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Core 2 Duo発売の影響により、Intelの2世代前のメインブランドであったPentium 4もバリュー向けのCeleron Dとほぼ同じ価格帯まで下りてきた。Celeron Dとはシステムバスや2次キャッシュ容量、Hyper-Threadingのサポートなどで差別化が図られており、性能差は大きい。ただ、消費電力は大きく、クロックを動的に制御するような省電力機能も持たない。なお、プロセッサ・ナンバ末尾の「1」は、64bit(Intel 64)への対応を示している。 |
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対応ソケット:LGA775
動作クロック:3.2GHz
システムバス:800MHz
2次キャッシュ:1MB
主な機能:Intel 64、Hyper-Threading |
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安うまCPU選びのポイント |
■ 基本はパフォーマンスだが、消費電力やシステムバスクロック、2次キャッシュ容量なども重要だ。動作クロックだけでは性能の目安にはならない
■ マザーボードを交換せずに上位CPUにアップグレードできるよう、将来性のあるプラットフォームのCPUが望ましい。また、価格はマザーボードの価格まで含めて検討したい
■ CPUは価格の動きに注意が必要。とくに最近は価格の変動が激しく、必ずしも高いほうがよいとは限らないという逆転現象が起きている
■ 半導体部品だけに寿命は長く、外観も気にする必要がない。予算しだいでは中古品も視野に入れるとよいだろう |
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