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最強 空冷CPUクーラー決定戦
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TEXT:橋本新義、多和田新也、長畑利博
春も終わりが近付き、暑く感じる陽気の日にもめぐり会えるようになってきた今日この頃・・・となると、自作PCユーザーとしてそろそろ考えておきたいのが、夏場のPCの熱対策だ。とくに新製品が多く登場するCPUクーラーは、まっ先に考慮したい強化ポイントと言えるだろう。
実質上PCの基幹パーツであるにもかかわらず、あまり情報が出てこないことから地味に感じるCPUクーラーだが、実はペアとなるCPUに負けないほど、変化の速い製品ジャンルだ。
とくにここ2年ほどでは、ヒートパイプの採用の増加や、そのヒートパイプの特徴を形状面で活かすタワー形クーラーの登場、またファンの大型化と低速回転化による静音化と冷却性能の両立といった点での改良が大きく進んだ。これにより大きく性能が向上し、稼働音は低減している。さらに、ここ1年では、製品間の差別化ポイントが一層多様化し、高性能CPUクーラーの泣きどころ的な弱点であった装着難易度の引き下げ(リテールクーラーとの手順の共通化)や、コストパフォーマンスの改善といった点にまで改良がおよんでいる。最新のCPUクーラーは、こうした改良が積み重なった結果、数年前の製品とは比較にならないほどの性能強化と低価格化が実現されており、発熱量が大きい最新のCPUに対しても十分な冷却性能を提供できるレベルとなっている。
そこで今回はCPUクーラーの中から、現在市場で売れ筋となっている製品と新製品を中心に、発熱の大きなCPUが揃っているLGA775環境での性能や静音性を評価。ベストバイとなる製品を探る。また、代表的な製品を紹介したカタログや、CPUクーラー強化のワンポイント講座、さらにはCPUクーラーの装着方法のコツや、パーツ交換による性能向上の方法なども紹介し、今時のCPUクーラーの製品選びから使いこなしまで幅広く解説してゆく。本記事が、読者諸兄のCPUクーラー購入や、PCの冷却を考える助けとなれば幸いである。 (橋本新義)
リテールクーラーと単体CPUクーラーでは、大きさや性能などが大きく異なる。かつては選択肢の少なかったLGA775対応製品も、ここ2年ほどで急速に増えている
CPUクーラーの構造を知る
TEXT:橋本新義
まずはCPUクーラーの基本的な構造と要素を知っておく必要があるだろう。とくに最近はヒートパイプやリテンションなど、新しい要素が次々と登場してきているので、CPUクーラーを購入する際は事前に十分調べておく必要がある
ファン
CPUクーラーの冷却の要であり、稼働音の原因でもあるのが、風を起こすファンだ。LGA775対応製品では、PWM(パルス幅変調)信号による回転数出力機能を搭載するものが主流だ
ヒートシンク
リテールクーラーと単体製品で大きく異なるのがヒートシンクの形状だ。ヒートパイプ搭載製品では設計の自由度が広がるため、超大型の製品なども登場している
ヒートパイプ
市販のCPUクーラーで採用例が多いヒートパイプ。高級製品の必需品となっているが、ヒートパイプ自体の性能差や装着方法によってその性能は異なる。「本数=性能」ではない
コアプレート
ヒートシンクのコアに接する箇所では、熱伝導率の高い銅製の板や円柱が使われることが多い。あまり目立たないが、厚さや加工精度が性能に影響を与える重要パーツだ
クリップ、リテンション
複数のソケットに対応する製品には、クーラーを取り付ける「クリップ」やマザーボード側の支持金具「リテンション」が付属する。取り付け難易度に影響するため、注意したい
電源コネクタ
ファンの電源をマザーボードから供給するコネクタ。従来は3ピンのものしかなかったが、ファンの項目で紹介したPWM対応ファンは、回転数出力端子を増やした4ピンコネクタ仕様となる
CPUクーラーを選ぶ際のポイント
市販のCPUクーラーを購入する際に重要となるのは何と言ってもまずは冷却性能だろう。と言っても、パッケージなどに掲載されている製品情報などでは、残念ながら「対応CPU」といったおおまかな情報しか得られないので、各種の評価記事などを参考にする必要がある。
そして、最近では冷却性能とならんで重要なのが静音性。しかしメーカーの記述する騒音値は測定条件が統一されておらず、あまり参考にならない。冷却性能以上に情報を得ることが難しい要素だ。静音性に関しては、各種の評価記事はもちろん、ショップで実際にデモ動作している製品を確認するなどの必要がある。
また、価格も重要なポイントだ。最近のCPUクーラー、とくにハイエンドモデルでは安価なCPUが買えてしまうほどの価格の製品がいくつも存在する。確かに高級製品は性能も高いが、自分にとってどの程度の性能の製品が必要なのかという点は見きわめておく必要があるだろう。
また、意外と見落とされがちな要素に、CPUクーラーの取り付けやすさがある。複数のCPUソケットに対応する製品や大型の製品では、クリップやリテンションの取り付けが必要となるため、マザーボードをケースから外した状態での作業が必須となり、少々手間がかかる。
ファンが交換可能かどうかも隠れた重要ポイントだ。可能ならば後々ファンを別のものに換え、性能を向上できる。
冷却性能
冷却性能の目安として分かりやすいのは、ファンの風量(=大きさと回転数)だが、ヒートシンクの能力にも大きく左右されるのが難しいところだ
静音性
静音性を重視するならば大型・低速回転ファン搭載製品が有利だ。ただし、ファンの大きさと装着しやすさとは相反する場合が多いのが悩みどころ
取り付けやすさ
隠れた重要ポイントが装着しやすさ。メーカー純正クーラーと同じ装着方法の製品も増えつつあるので、そうした製品に注目だ
ファンレスクーラーはコツが必要
静音性では最高とも言えるファンレスクーラーだが、ほとんどの製品はケース内の十分なエアフローを前提として設計されていることに注意したい。実質的にケースファンとの組み合わせが必須なので、CPUクーラーにファンを搭載し、ケースファンを搭載しないシステムとしたほうが静かになる場合も多い。基本的には上級者向けだが、Core DuoやTurion 64シリーズといった低消費電力CPUとの組み合わせでは大きな威力を発揮する。
■
ヒートパイプの構造と種類
最新のCPUクーラーでは「ヒートパイプ」と呼ばれる、管状の物体をよく見かけるようになった。ヒートパイプとは、「熱移送部品」と呼ばれる、“熱を移動”させるための部品だ。誤解されがちだが、ヒートパイプ自体に放熱効果はほとんどない。そのためCPUクーラーでは、ヒートパイプに大型のフィン(放熱板)を組み合わせて冷却効果を得ている。
では、なぜヒートパイプを使ったCPUクーラーが高性能なのか? 意外に思われるかもしれないが、“ヒートシンクを大きくできるから”だ。実は、CPUのような小さい面積の熱源に対して単純に大面積のヒートシンクを組み合わせると、ヒートシンク内部の一定範囲内に熱がたまってしまい、一定以上の大きさのヒートシンクは無意味になってしまうのだ。そこで高性能なCPUクーラーは、ヒートパイプを使ってヒートシンクの隅々まで熱を“拡散”し、大きなヒートシンクの面積を有効に使っているのである。
ヒートパイプの構造は、金属(主に熱伝導率の高い銅が使われる)でできたパイプ状の本体に、「作動液」と呼ばれる少量の液体(純水や代替フロンなどが代表的で、この材質により性能が異なる)を封入し、中を真空状態にしたものだ。動作原理は、作動液の液化・気化と対流現象をもとにしたものだ。熱源に接した箇所が暖められると作動液が蒸発、蒸気流となってもう一方の側に移動する。移動した側で冷却されると、蒸気の熱が奪われ、液体に戻る(作動液の組成によって異なるが、2、3℃程度の違いでも戻るのが一般的)。凝縮した液体は毛細管現象(装着環境によっては重力も)により最初の位置に戻り、再び蒸発する・・・という仕組である。
ヒートパイプにも性能差があり、管の材質、太さや作動液の組成、管内部の構造などによって異なる。高性能なものは、重力に逆らっても問題なく動作し、伝えられる熱量も多い。
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