はたしてCore i3-2100Tで本当によかったのか?
さて、確かにCore i3-2100Tが省電力かつ旧モデルなどよりも高性能というのは分かったが、それでも実際に購入となると悩んでしまう。1万円予算をアップすると、クアッドコアのCore i5が余裕で買えてしまうという現実。安いのはうれしいのだが……。ということで、各CPUでベンチマークを行ない、その消費電力の差を調べてみた。
マルチスレッド環境を活かせるPhotoshop CS5でのベンチマークでは、実売1万1,000円前後のCore i3-2100から2万円前後のCore i5-2500Kまで、クロックとスレッド数で順当な性能差が現われている。しかし、アイドル時の消費電力はほとんど同じであり、Webブラウズ程度なら、いずれも30~40W程度。ときどき負荷がかかる程度の使い方であれば、パワーがあったほうが作業が速く終わるので、その分省電力とも言える。なおCore i5ではTurbo Boost OFFでも計測しているが、デメリットのほうが多い。価格と予算と性能をにらめっこして、自分なりの選択をしていただきたい。

- アイドル時の消費電力はいずれもほぼ同レベル
- 現実的に100%の負荷で連続使用する場面は少ない
- 性能と消費電力はトレードオフの関係
- 節電のためにはしっかりPCの電源を切る

マルチスレッドが活用できるなら
フォトレタッチやエンコードをするなら、CPUパワーに余裕があるほうが絶対快適。そのマシンの用途をよく考えよう

ゲームならスレッド数より高クロック?
異なるアプリケーションを同時に使うときはともかく、古めのゲームなどでは、1スレッドしか活用しないものも多いので単純なクロック勝負になる

用がすんだら電源を落とす
一番のムダはダラダラと電源を入れておくこと。サッと作業を終わらせて、電源を落とすのが節電には一番だ。そう考えると2100Tは微妙?
【検証環境】
こちらのページ環境から電源を変更。電源:Super Flower SF-550P14PE(550W)
【検証内容】
Adobe Photoshop CS5のPhotomerge(パノラマ合成機能)を使用し、7,264×5,440ドットのTIFF画像8枚をパノラマ合成。開始から終了までの時間をストップウォッチで計測した。アイドル時はOS起動から10分後の値。高負荷時1はAdobe Photoshop CS5使用時の最大値、高負荷時2はPCMark Vantage実行時の最大値。
作って分かった
Sandy Bridge世代の省電力・冷却のあれこれ
Core i5-2500Kは今後に期待?
ワンランク上のグラフィックス性能を持つKシリーズだが、内蔵GPUを活用しようとすると、現状ではH67チップセットを選ぶしかなく、そのH67チップセットではせっかくの倍率ロックフリーを活用できないというジレンマが存在する。
これは今後予定されているZ68チップセットが登場すると解消されるようだが、現状でもKシリーズはそれほど高価というわけではないので、内蔵GPU目当てで選んでも決して損はしないだろう。

最上位のCore i7-2600Kでも同じことが言えるが、このクラスのユーザーならビデオカードの搭載を前提に考える?
そんな装備で大丈夫か?
薄過ぎるCore i3-2100Tのリテールクーラー
驚くほど薄いCore i3-2100Tのリテールクーラー。実際温度を計測してみると、確かに必要十分な冷却性能を備えており、超小型ケースなどでは重宝しそうだ。が、試しにCore i7-2600Kの付属CPUクーラーを使ってみると、やはり格段に冷えるという結果に。流用が可能なLGA1156版のリテールクーラーなどが余っているという人は、そちらに換装してみるのもよいのではないだろうか。

左のCore i7-2600Kのリテールクーラーも、それほど大きいわけではない。ちなみに現状でこの超薄型リテールクーラーが付属するのは2100Tのみである

ACアダプタ<ATX電源の先入観は×?
こちらのページと、上部のテスト結果を見て、不思議に感じた人は鋭い! 両ページの検証ではACアダプタとATX電源という違いがあるのだが、何とATX電源のほうがわずかに消費電力が低いのである。これはまったくの想定外であったが、ここで使用したATX電源はSuper Flowerの80PLUS Platinum認証取得モデルという、現在最高クラスの高変換効率電源。静音性や省スペース性といったメリットはもちろんあるが、もはやACアダプタだからといって、絶対にATX電源より省電力とは言えなくなってきているわけだ。550Wもあれば、ビデオカードやストレージの増設にも安心して対応できるので、少しでも省電力なマシンにしたいなら、こうした電源を選ぶとよいだろう。
ほかの電源と比較してみると、80PLUS認証のない古い電源はもちろん、80PLUS Gold認証モデルでも1,000Wクラスの大出力電源では省電力マシンに使うにはイマイチ。変換効率だけでなく、定格出力もマシンになるべく合わせるのが省電力電源選びのコツだ。
国内初の80PLUS Platinum認証電源

Super Flower
SF-550P14PE
高負荷時でも90%以上の変換効率が求められる80PLUS Platinum認証。発熱も少ないのでファンも静かであり、静音性も十分確保されている。実売価格は2万円前後と、550Wタイプとしては高価であるが、その分満足度は高い製品だ
ビデオカードも安心
ACアダプタでビデオカードを使うのは難しいが、ATX電源なら問題なし。消費電力は上がるが、最近は型落ちでも高い性能のビデオカードが多くて、つい欲しくなってしまう……
【検証環境】
こちらのページの環境をベースに、電源のみを変更。
【検証内容】
アイドル時はOS起動から10分後の値。高負荷時はPCMark Vantage実行時の最大値。
OS:Windows 7 Ultimate SP1 64bit版