単に省電力ならAtomでよいわけで……
省電力、低発熱、そして静音というのは自作PCの定番のテーマの一つである。IntelのAtom、最近ではAMDのFusion APUといった、省電力プロセッサも登場しているが、これらはあくまでWebブラウズ向けであり、BD再生ができても同時にほかの作業をこなすには余裕がないというレベル。とことん省電力を追求するならそれも正しい選択ではあるが、重い作業には向かないし、将来性も低い。節電に励むのは当然としても、期待のSandy Bridgeで省電力マシンを目指すからには、使っていてストレスを感じるようでは寂しいところである。
CPUの選択としては、Sandy Bridgeの中でもとくにTDPの低いCore i3-2100Tが候補に挙げられるが、ここは自分の用途をよく考えたいところ。悩ましいのはクアッドコアのCore i5-2400Sとの価格差が1万円もないということだが、そのお金をSSDなどに回すというのも手だ。また、ビデオカードを搭載すれば、3Dゲーム以外でも恩恵を受けることができるが、消費電力はグンとアップしてしまう。ここではひとまず、定番的な省電力マシン構成を考えて、実際にどの程度の性能になるのかをチェックしてみよう。

- 用途を考えてムダを減らす
- 省電力パーツを活用する
- 内蔵GPUを活用する
- その上で後悔しないスペックを確保する

本命はコレ?
Intel
Core i3-2100T
TDP 35WというSandy Bridgeの中でもっとも消費電力の低いCPU。デュアルコアでTurbo Boostも使えず、動作クロックは2.5GHzだが、性能は侮れない

パワーも欲しいなら
Intel
Core i5-2400S
2100Tとは違い、クアッドコアでTurbo Boostも使える。マルチスレッドが活きるアプリケーションを使う予定があるなら、これも狙い目だ

当然マザーはH67
ASUSTeK
P8H67-I Deluxe
H67チップセット採用のMini-ITXマザー。拡張スロットはPCI Express x16スロット1基のみだが、省電力重視ならオンボード機能をフル活用するのが一番だ

SSDで快適度もアップ
Micron Technology
Crucial RealSSD C300
省電力、低発熱なSSDは、小型マシンなどにも最適。H67マザーならSerial ATA 3.0ポートが使えるので、人気の高速SSDも十分に活かすことができる
とりあえずガチガチ?なSandy Bridge省電力マシンを作ってみました!

ここで組み立てたのはMini-ITXのシンプルなH67マザーを用いた省スペースマシンである。Core i3-2100Tと4GB×2枚のメモリ、そしてSSDを採用。さらに電源はケース付属のACアダプタを利用している。おそらく、Sandy Bridge搭載マシンの中でもかなり省電力なものになっているはずだ。アイドル時の消費電力はLGA1156版のCore i5/i3やAMDのE-350環境と大差なく、動作クロックに開きがあるCore i-5 661と同等以上の性能が得られている。高負荷時の消費電力はさすがにE-350にかなわないが、これだけの性能差があればお釣りが来るはず。これ、かなりイカしていませんか?

●拡張は外部のみ
Core i3-2100Tに8GBのメモリを搭載。拡張スロットが使えないのは残念だが、基本スペックはなかなかのものである。なお、フロントのUSB 3.0ポートは、配線をシンプルにするため、内部のUSB 2.0ポートに接続している

●SSD+DVD Multi
選んだケースが小さいので仕方ない面もあるが、ストレージは2.5インチのSSDとスリムタイプのDVD Multiドライブのみ。Serial ATA 3.0接続なので、容量はともかく、速さには不満なし

●ACアダプタ仕様
省電力というだけでなく、静音面でも有利なACアダプタ。110Wタイプなので、あまりに高性能なCPUだと電力不足が気になるところだが、Core i3-2100Tならまったく問題はない

●H67マザーボード
一般的なDDR3 SDRAMが使える、ASRockのシンプルなMini-ITXマザーを使用。無線LAN搭載版の「H67M-ITX/HT」も販売されているが、そこはお好みで
CPU | Intel Core i3-2100T(2.5GHz) | 12,000円前後 |
CPUクーラー | CPU付属品 | - |
マザーボード | ASRock H67M-ITX(Intel H67、Mini-ITX) | 10,000円前後 |
メモリ | CFD販売 CFD Elixir W3U1333Q-4G (PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2) |
7,500円前後 |
SSD | Micron Technology Crucial RealSSD C300 CTFDDAC128MAG-1G1 (Serial ATA 3.0、MLC、128GB) |
22,000円前後 |
DVD Multiドライブ | パイオニア DVR-TS08 (Serial ATA 2.5、スロットイン) |
6,000円前後 |
ケース | Lian Li PC-Q09(Mini-ITX) | 18,000円前後 |
電源 | PC-Q09付属(110W、ACアダプタ) | - |
合計:75,500円前後 |
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【検証環境】
上記の環境をベースに、CPU、マザーボードのみを変更。
[Core i5-661/Core i3-540]
マザーボード:Intel DH57JG(Intel H57)
[AMDE-350]
マザーボード:ASRock E350M1/USB3(AMD E-350+A50M)
【検証内容】
アイドル時はOS起動から10分後の値。高負荷時はPCMark Vantage実行時の最大値。
OS:Windows 7 Ultimate SP1 64bit版