もはやリテールクーラーからの交換は必須か?
最近のCPUはいずれも優秀な省電力機能を備えているが、負荷をかけると一気に動作クロック、消費電力、そして発熱量が増大する。また、マザーボードの自動オーバークロック機能などでは、CPUの温度をチェックしながら、可能な範囲でクロックアップを行なうため、CPUクーラーの性能が低いと、性能を引き出し切ることができないということになる。
最近のサードパーティ製CPUクーラーでは大型のヒートシンクやファンを備えたものが多く、ヒートパイプなどはもはや使っていない製品のほうがめずらしい。ただ、その冷却性能は見た目や価格だけでは判断しづらいのも確か。なかにはOCには向くものの、一般用途で使うには動作音がうるさかったり、取り付けそのものが難しかったりするものもある。また、空間に余裕のない小型ケースはもちろん、マザーボード上のチップクーラーとの干渉や、ケースファンの配置などもチェックして選ぶ必要がある。
もう一つポイントとなるのはその静音性だが、PWMなどのマザーボードのファンコントロール機能だけでなく、独自の手動コントロール機能などを備える製品もあり、通常使用時の動作音はいずれの製品もそれなりに静かだ。高負荷時にどれくらいの動作音で、どれくらい冷えるのかなど、どこまでこだわるのかは人それぞれだが、どうせ交換するならよりよいものを手に入れたいところだ。
もはや大型が当たり前!?
現在の一般的なリテールCPUクーラーの高さが5cmもないのに対し、サードパーティ製のCPUクーラーのほとんどが12cm角や14cm角ファンを搭載する大型タイプとなっている。ファンが大きく、ヒートシンクの表面積が大きいほど冷却には有利であるが、それだけに使用するケースやマザーボードなどとの干渉を気を付けなくてはならない。ただ、単に大型だから高価で高性能というわけではないので、実際のテスト結果を見て判断してほしい。

一番右のリテールクーラーからすると数倍の大きさを持つ大型クーラー。もちろん使用するには、それだけの設置スペースが必要だ
デュアルファンも一般的に
最近の大型モデルによく見られるのが、前後に二つのファンが装着できる製品だ。標準でファンが2基付属した製品もめずらしくはなくなってきている。ファンが2基ともなれば、動作音も大きくなってしまいそうだが、そうした製品ではファンコントロール機能などを活用してファン回転速度の切り換えができるといった配慮がなされているものが多い。いずれにせよ、こうした製品はアレンジがしやすく、静音からオーバークロック用途まで幅広く対応が可能だ。

付属ファンは一つでも反対側にもう一つ取り付け可能な製品も一般的になってきた。取り付け用クリップなどはなくさないように注意したい
取り付け方も重要
ヒートシンクの固定の仕方も製品によってさまざまだ。なかにはマザーボード背面にバックプレートを取り付けた上で、表側から固定具でネジ止めする必要があるなど、かなり苦労するものもある。しかし、それも大型クーラーをしっかり支え、圧着するための重要なポイントである。また、リテールクーラーと同じプッシュピン方式は便利であるが、ヒートシンクなどが大き過ぎて、ピンを押し込む際に苦労するものもあるので気を付けたい。

最近増えているヒートパイプが直接CPUに接触するタイプは、しっかりグリスを塗り、強く圧着しないと効果を発揮しにくい。性能を活かすためには、使う側にも配慮が必要だ
静音性と冷却性能を両立した強力クーラー
- サイドフロー
- 14cm
- PWM
- 取り付けやすさ
- ■■■□□
- 冷却性
- ■■■■■
- 静音性
- ■■■■■

- Thermalright
- Archon
- 実売価格:8,000円前後

Thermalrightオリジナルの14cmファンと、奥行き53mmのヒートシンクを組み合わせた製品で、冷却性能と静音性ともに優れた逸品。14cmファンでサイドフローとなると、周囲のパーツとの干渉が気になるところだが、奥行きはそれほどでもないのであまり気にならない。固定具が複雑なので、取り付けはややめんどうだが、最後にCPUジャケットの真上から専用工具を使ってネジを締めることで、強力に圧着させることができる。これも冷却性能に貢献しているのは間違いない。

14cmファンの風を大型ヒートシンクでしっかりとカバー。通常の14cm角ファンは装着不能だが、12cm角ファン2基への交換が可能となっている

固定具はマザーの表裏をプレートで挟んだ上で、CPUクーラーを乗せながら、専用工具で締め付ける。ケース内での交換作業は難しい
Specification 対応CPUソケット:LGA775/1156/1366、Socket AM2/AM3●ファン回転数:900~1,300rpm●サイズ(W×D×H):155×53×170mm( ヒートシンク単体) ● 重量:780g(ファンを除く)
14cmファンをヒートシンクでサンドイッチ
- サイドフロー
- 14cm
- PWM /手動
- 取り付けやすさ
- ■■■□□
- 冷却性
- ■■■■■
- 静音性
- ■■■■■

- サイズ
- 峰2
- 実売価格:5,000円前後

ファンをヒートシンクで挟んだミッドシップ構造採用の大型ファン。それだけにとにかく大きく、マザーボードのチップセットクーラーなどとの干渉が気になるところではあるが、その冷却性能と静音性は納得のゆくものだ。中央のファンは12cm角ファンのネジ穴に取り付けられる同社の14cmファン「風丸2」だが、スイッチでPWMコントロールと、手動コントロールが切り換えられるのがおもしろい。なお、別売りの12cm角ファン用クリップを使えば、トリプルファン構成も可能である。

PWMと手動(VR)コントロールの切り換えが可能で、手動にすると右のツマミで回転数をコントロールできるようになっている

この構造もあってとにかく大きい。重量も1kgオーバーなので、取り付けの際はマザーをケースから取り外して行なう必要がある
Specification 対応CPUソケット:LGA775/1156/1366、Socket AM2/AM3●ファン回転数:650~1,700/500~1,200rpm、500~1,700rpm(手動)●サイズ(W×D×H):143×130×160mm●重量:1,150g
【問い合わせ先】
Thermalright:support@scythe.co.jp(サイズ)/ http://www.thermalright.com/ja/
サイズ:support@scythe.co.jp / http://www.scythe.co.jp/