冷却性能と静音性のバランスを見きわめる
今回紹介した主立った製品と、1世代前の静音ケースの代表格、Antec SOLO BLACKを含めて冷却性能と動作音について検証してみた。冷却性能が高かったのはAntec ダークフリート DF-35 と、SilverStone Raven 2 Evolution SST-RV02Bだ。ほかの製品ではCPU温度が軒並み70度を超える中、この2製品は70度以下の数値を記録。GPUやチップセットの温度も総じて低く、冷却重視の設計の確かさを示している。ただ、どちらのケースもファンの回転数を上げたとき、動作音がかなりうるさかった。回転数は最高にせず、適宜調整するとよいだろう。冷却性能の2番手グループは、Cooler Master CM690 II Plusとアビー AS Enclosure 800。これらも標準でファンを多数搭載するモデルであり、とくに14cm角ファンをビデオカードのすぐ横に装備するAS Enclosure 800のGPU温度は、トップグループに比肩する。PCゲームがメインの用途であれば、ファンをさらに増設して積極的に活用したほうがよさそうだ。
静音性で優れていたのは、開口部を極力抑えたBitFenix Colossusと、Fractal DesignDefine R3だ。外観からして予想どおりの結果だが、静音性を確保するには、ファンの換装などの細かなチューンの前に、まずケース選びが非常に重要であることがよく分かる。
以上の結果と、筆者が組み込んでみた印象から、シルバーレコメンドにColossusとDefine R3を選ばせていただいた。いずれの製品もまず非常に静かであること、さらにここからユーザーが冷却重視にも、静音重視にもチューンナップできる"のびしろ"が非常に多いことを評価した。SST-RV02Bも優秀だが、完成された仕様であり、ファンの増設や長大なビデオカードに対応できないなど、のびしろの少なさで選外とさせていただいた。
【検証内容】 検証環境に示したパーツを各ケースに組み込み、HWMonitor 1.17にて各部の温度を計測。動作音はそれぞれケース正面から20cmで計測。アイドル時はOS起動から10分後の値、高負荷時は3DMark Vantage Build 102のExtreme設定でGRAPHICS TESTSとCPU TESTSを2回ずつ実行した際の最高値[各部の値]CPU:もっとも大きいCoreの値、チップセット:TMPIN1の値、ビデオカード:GPUのTemperaturesの値、HDD:Temperaturesの値
【検証環境】 CPU:Intel Core i7-875K(2.93GHz)、CPUクーラー:CPU付属品、マザーボード::MSI P55A-GD65(Intel P55)、メモリ:Corsair Memory XMS3 CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※2枚使用)、ビデオカード:AMD Radeon HD 6850リファレンスカード、HDD:Seagate Barracuda 7200.12 ST3500418AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、電源:Sea Sonic S12 ENERGY+ SS-550HT(550W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版、暗騒音:32.1dB、室温:24.6℃