長時間録画対応でHDDを有効活用
地上デジタル放送に対応したばかりのテレビキャプチャデバイスは、いずれの製品も基本的な機能しかなくバリエーションに乏しかったが、ここに来て3 波対応やダブルチューナー搭載、あるいは視聴ソフトとしてWindows Media Centerを利用するものなど、製品ごとの個性が出始めている。このため、ユーザーとしても自分のニーズに合った製品を選べる状況になってきた。
その中で注目したい動きと言えるのが、アイ・オー・データ機器などから長時間録画に対応した製品が登場したことだ。すでにBDレコーダでは当たり前のように搭載されている機能だが、PC用のテレビキャプチャデバイスでもようやく対応し始めた。
そもそもPCでのテレビキャプチャには、HDD容量の制約が小さいというメリットがある。HDDを追加すれば、簡単に録画可能な時間を延ばせるからだ。ただ地上デジタル放送のbitレートは約17Mbpsで、1TBのHDDを使っても約133時間しか録画できない。しかし長時間録画機能を使って2Mbps以下で記録すれば、同じ1TBのHDDでも1,000時間以上の録画が可能になるわけだ。
そのほか、デバイスの小型化やiPhoneへの対応など、PCのテレビキャプチャは着実に進化している。著作権保護の絡みからゴタゴタが続いた地上デジタル放送だが、ようやくPCでも本格的に録画を楽しめる状況になったと言えるだろう。
長時間録画対応製品が登場
フルセグの地上デジタル放送に対応したテレビキャプチャデバイスは、無圧縮のままMPEG2 TS形式で録画するのが一般的だが、アイ・オー・データ機器やピクセラからは、MPEG4 AVC/H.264形式へのトランスコードを行なうチップを内蔵した、長時間録画に対応する製品が現われている。圧縮率は地上デジタル放送で約10倍、BS/CSデジタルなら約15倍で、ノートPCなど小容量のHDDしか搭載していないPCでもテレビ録画に利用することが可能になる。

アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/XSW」の録画ダイアログ。圧縮率の異なる、豊富な録画モードの選択肢が用意されている
フルセグチューナーも小型化
いわゆるクレジットカードサイズのB-CASカードは、PC用のテレビキャプチャデバイスの小型化における障壁となっていた。そこで登場したのが、25×16mmと非常にコンパクトなmini B-CASカードである。これによって小型化が容易になり、実際にUSBメモリやワンセグチューナーと同程度のサイズのフルセグチューナーがリリースされている。とくにノートPCと組み合わせる場合、気軽にUSB 2.0端子に接続して使えるメリットは大きい。

左から、バッファローの「DT-F200/U2W」、アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/FZ」、エスケイネットの「MonsterTV U1」
iPhone/iPadへの対応
AppleのスマートホンであるiPhone、あるいはタブレット型の端末であるiPadに対応したテレビキャプチャデバイスが続々と登場している。当初はフルセグと同時に録画したワンセグ放送の内容をiPhoneへ転送するという方法が主流だったが、最近ではフルセグ放送をiPhone用に圧縮して転送したり、あるいは現在放送されている内容をネットワーク経由でダイレクトにiPhoneにストリーミングしたりできる製品が登場している。

MonsterTV U1では、録画したフルセグ放送をiPhone用に圧縮してiTunes経由で転送し、専用アプリである「MonsterTV」で見る
ブースター内蔵のポータブルモデル
- USB 2.0
- 地上デジタル
- 性能
- ■■■□□
- 使い勝手
- ■■■■■
- コストパフォーマンス
- ■■■■■
- アイ・オー・データ機器
- テレキング GV-MVP/FZ
- 実売価格:10,000円前後

フルセグチューナーの小型化ではバッファローが先行していたが、アイ・オー・データ機器からもついにUSBメモリサイズを実現した「GV-MVP/FZ」が登場した。最大の特徴は、このサイズでありながら長時間録画に対応していること。ロッドアンテナを装備しているため、屋外でフルセグ放送を受信することも可能で、受信感度を高めるブースターアンプも内蔵している。なお、付属の変換ケーブルを利用し、通常のアンテナケーブルも接続できる。
iPhoneやiPad、iPod touchへの録画番組の配信や、リアルタイム配信にも対応している。番組録画時に、配信用の低解像度の動画を同時に作成する機能も用意されている。画質の選択肢として「高画質」と「標準」があり、デバイスの容量に合わせて選べるのはメリットだ。

番組予約録画時の設定ダイアログ。通常の録画ファイルとは別に、iPhoneなどへ配信するためのファイルを作成することが可能だ
Specification
キャプチャ解像度:1080i/720p/480p/480i
録画形式:MPEG2、H.264
コンパクトな本体にダブルチューナーを内蔵
- USB 2.0
- 地上デジタル
- ダブルチューナー
- 性能
- ■■■□□
- 使い勝手
- ■■■■■
- コストパフォーマンス
- ■■■■□
- バッファロー
- ちょいテレ・フル DT-F200/U2W
- 実売価格:15,000円前後

バッファローから登場した「DT-F200/U2W」は、小型でありながら地上デジタル放送のチューナーを2基搭載した意欲的なモデルだ。特徴としては、本体にロッドアンテナを2本装備し、ダイバシティ方式で放送波を受信することでノイズや減衰への耐性を高めていることが挙げられる。付属の変換ケーブルで通常のアンテナを接続すれば2番組同時録画も可能で、本格的な録画環境の構築にも利用できる。
iPhoneやiPad、iPod touchにも対応し、ワンセグデータのダビングやリアルタイムでのストリーミング配信が可能。iPhoneアプリには、マキエンタープライズが無償で公開している「TVPlayer」を利用する。同じアプリを利用するほかの製品と同じく、無線LAN経由でダビングできるのが便利。

iPhoneに「TVPlayer」をインストールすれば、DT-F200/U2Wを接続したPCにネットワーク経由で接続し、放送中の番組を見られる
Specification
キャプチャ解像度:1080i/720p/480p/480i
録画形式:MPEG2、H.264
【問い合わせ先】
アイ・オー・データ機器:03-3254-1076/076-260-3643 / http://www.iodata.jp/
バッファロー:050-3163-1825 / http://buffalo.jp/