3TBモデルの登場でHDDは超大容量時代へ
ここのところ話題に乏しかったHDDだが、3TB HDDの登場で今また脚光を浴びている。下のコラムのとおり、MBRの2.2TBの壁を越えた3TB HDDの使用にはいろいろと制限があり、まだ使用環境が整っているとは言い難いが、ともかく大容量HDD新時代の幕が開いたことは間違いなく、今後はさらにHDDの大容量化が進むとも思われる。
現在の市場トレンドに目を向けると、以前はシステムドライブのニーズから7,200rpmの高速HDDが人気を集めていたが、SSDの躍進でデータドライブとしてのニーズが高まったこともあり、現在では、5,000rpmクラスの低消費電力で大容量のHDDが人気だ。これらのHDDはプラッタの高密度化と大容量キャッシュの搭載で2世代前のパフォーマンスモデルよりも性能が高く、価格を含めたトータルバランスのよさも人気の要因となっている。
3TB HDDが登場!!
Western Digitalと日立GSTから相次いで3TB HDDが発売され、ついにHDDは2.2TB越えの世界に突入した。早速使ってみたいと考えている人も多いと思うが、下の日立GSTの3TB HDD「Deskstar 7K3000 HDS723030ALA640」のOS別対応表を見てもらえば分かるとおり、3TBの容量をフルに使用するにあたってはいくつか制限があるので注意が必要だ。まず、データドライブとして使うにも64bitでアドレスを管理するGPT(GUID Partition Table)に対応しているOS(Windows Vista以降)を使用する必要がある。起動ディスクとして使用するには、GPTからのシステムブートに対応したOS(Windows 7 64bit/Vista 64bit)とさらにUEFIブートに対応したマザーボードが必要となるが、現時点ではすべてのマザーがUEFIブートに対応しているわけではないので、そのハードルはかなり高くなっている。ちなみにUEFIブートの可否情報は各マザーボードメーカーのWebで公開され始めているので、気になる人はチェックしてみるとよいだろう。

Serial ATA 3.0インターフェースを採用した日立GSTの3TB HDD「Deskstar 7K3000 HDS723030ALA640」

内蔵用としては初の3TB HDDとなった「Western Digital WD Caviar Green WD30EZRS」
OS | 起動ディスク として使用 |
データディスク として使用 |
---|---|---|
Windows XP 32bit版 |
× | × |
Windows Vista 32bit版 SP1以降 |
× | ○ |
Windows Vista 64bit版 SP1以降 |
○ (UEFI Boot対応マザーが必要) |
○ |
Windows 7 32bit版 |
× | ○ |
Windows 7 64bit版 |
○ (UEFI Boot対応マザーが必要) |
○ |
低消費電力の低回転HDDが人気
SSDの価格が下がったことにより、高速なSDDを起動ディスクにして、HDDはデータストレージとして使うというユーザーが増えており、低消費電力の低回転大容量HDDの人気が高まっている。なかでも5,900rpmのSeagate Barracuda LPはパフォーマンスと省電力性能を両立しており人気が高い。

GB単価、消費電力、性能のトータルバランスがよさから人気の高いSeagate Barracuda LP
AFT採用HDDに注意!!
物理セクタのデータサイズを従来の512Bから4KBに拡大することで記録密度を高めるAdvanced Format Technology(以下AFT)を採用したHDDが登場しているが、AFTを採用したHDDは基本的にはWindows XP以前のOSに対応していない。Windows XPなどの非対応OSでHDD本来のパフォーマンスを発揮させるには、メーカーの独自ユーティリティなどでフォーマットする必要があるので注意が必要だ。

WD Caviar Green WD20EARSなどAFTを採用したHDDはWindowsXP以前のOSでは性能が発揮できない場合があるので注意が必要だ
主要HDDの性能と消費電力をチェック
ここでは現行の主要HDDの性能と消費電力をチェックしていく。まずはアプリケーションの実行でHDDの性能をテストする「PCMark Vantage竏辿DD Suite」の結果から見ていこう。HDDは、回転数とプラッタ密度、搭載キャッシュ容量でその性能が大きく変わってくる。今回のテストにおいてもその傾向はきっちり出ており、7,200rpmで64MBキャッシュを搭載した640GBプラッタのDeskstar 7K3000が他を圧倒する性能を見せている。次点は7,200rpmで64MBキャッシュを搭載したWD Caviar Black。こちらもほかから頭一つ抜け出した優秀なスコアだ。
シンプルにデータ転送速度をテストする「CrystalDiskMark」の結果でもDeskstar 7K3000、WD Caviar Blackの2機種が良好。Spinpoint F3もシーケンシャル性能の高さが見て取れる。
消費電力は、5,900rpmのBarracuda LP、次にEcoGreen F4が優秀。Caviar Green2機種もアイドル時の消費電力が低く、トータル的な省電力化を期待できる。一方、Deskstar 7K3000は性能は高いものの発熱や消費電力に不安が感じられる結果となっている。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)、マザーボード:ASUSTeK Rampage III Formula(Intel X58+ICH10R)、メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※3枚のみ使用)、ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTリファレンスカード、SSD:Mach Xtreme Technology MX-JET PRO(Serial ATA 2.5、SLC、128GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版