ビデオカード18製品の性能を一斉チェック
第2世代DX11GPUの省電力技術の進歩に注目
最後に、ここまでに紹介したビデオカード18製品の性能比較の結果について解説していこう。
まずは、DirectX 11環境での3Dグラフィックス性能を測るベンチマークとして、Futuremarkの「3DMark 11」を使い、PerformanceとExtremeの2モードで性能を測定した。さらにDirectX 10環境での実際のゲーム性能を測るため、カプコンの「バイオハザード5ベンチマーク」(DirectX 10モード、ベンチマークテストB)でも性能を測定した。
あわせて、アイドル時と高負荷時(負荷テスト「OCCT Perestroika」を使い、「GPU OCCT」を10分間実行した状態)の消費電力と動作音もチェックしている。なお、過去の製品との比較用として、2007年末に3万円台で登場したNVIDIA GeForce 8800 GT搭載ビデオカードも測定した。
全体的な結果を見ていくと、3DMark 11では、実売価格と性能がほぼ比例する状態となった。例外的にこの傾向に沿っていないのがAFOXのAF6850-1024D5H1とEVGAの01G-P3-1452で、いずれもコストパフォーマンスは特筆すべきものがある。
バイオハザード5ベンチでは、3DMark 11に比べて負荷が軽いこともあり、全体的に優秀なスコアとなる。目安ではあるが、GeForce GTS 450以上であれば、1,920×1,080ドットで快適なプレイが楽しめるほどだ。また、GeForce 8800 GTが1万円ちょっとのカードに負けるという事実は、GPUの3年間の着実な性能向上を示すものだ。
消費電力では、とくに高負荷時において、これまでのベンチ結果のように価格に比例するグラフになっていない点に注目。これは最新の製品で低消費電力化が進んでいることと関連している。とくに性能とのバランスを考えると、Radeon HD 6850を搭載した2製品とGeForce GTX 570を搭載した2製品には注目できる。
動作音は、製品価格よりも、それぞれのカードが搭載するクーラーの性能や性格(静音性重視か、冷却性能重視か)で大きく異なる。優秀な製品に関してはカタログ部でも言及しているので、参考にしてほしい。個人的に注目したいのがMSIのR6870 Twin FrozrIIとR5770 Hawk、そしてGPUにGeForce GTX 570/580を搭載したモデルだ。とくに後者は、高負荷時はかなりうるさかった前世代のGTX 470/480搭載モデルとは打って変わって、かなり静かで優秀だ。
これらの結果を実売価格とあわせて、Gold Recommendedは性能と静音性、そして価格のバランスが絶妙なMSI R6870 Twin FrozrIIとした。Silver Recommendedは、3万円台前半の製品として隙のないPalit Microsystems GeForce GTX 570と、1万円台後半の製品でありながら飛び抜けて強力な、AFOX AF6850-1024D5H1の2機種を選んだ。
3DMark 11

DirectX 11の新機能であるテッセレーション(自動ポリゴン分割)などを使った3DMark 11は、DirectX 11対応GPUでのみしか動作しない
バイオハザード5ベンチマーク

バイオハザード5ベンチではDirectXモードを9と10から選択できるが、今回は10を使用。スコアのばらつきが少ないベンチマークBで計測した
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASRock P55 Pro/USB3(Intel P55)、メモリ:Patriot Memory PSD34G1333KH(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、HDD:Western Digital WD7500AAKS(Serial ATA 2.5、750GB、7,200rpm)、電源ユニット:オウルテック EVEREST 85PLUS 720W、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版、ドライバ:AMD Catalyst 10.12 Suite for Windows 7(64bit)、NVIDIA GeForce Driver 260.99(64bit)[GeForce GTX 580、570搭載カードにはGeForce Driver 263.09を適用]、暗騒音:32.9dB、騒音測定距離:ファンから約5cm
【バイオハザード5 ベンチマーク設定】
実行DirectXモード:DirectX 10、画面解像度:1,920×1,080ドットおよび1,360×768ドットの2種、アンチエイリアシング:OFF、モーションブラー:ON、そのほかの項目はすべて高に設定