DDR3の低価格化で8GB環境がスタンダードに
2010年は、Intel、AMD両プラットフォームにおいてDDR3対応CPUが完全に主流となったこともあり、メモリ市場でもDDR3が主流となった。容量的には、4GBモジュールの低価格化が進んだことと64bit OSの普及もあり、8GB以上がスタンダードになりつつある。現在のところ、Intel、AMDの主力CPUがサポートするDDR3-1333(PC3-10600)が市場では売れ筋となっているが、価格差がなくなってきていることもあり、将来性を考えてDDR3-1600(PC3-12800)を選択する人が増えている。
なお、JEDECでは下の表のとおり、DDR3のメモリ規格をDDR3-2133まで策定しているが、現在のところ市場に出回っているJEDEC準拠メモリはDDR3-1600(PC3-12800)までで、DDR3-2000メモリなどはメーカー独自のOC仕様となる。ちなみに、メモリコントローラを内蔵した最近のCPUはメモリ電圧を上げ過ぎると損傷する危険があるので、オーバークロックメモリは低電圧動作が可能なものが人気となっている。

4GB×2のメモリセットが8,000円割れも
4GBモジュールの低価格化が進み、現在ではCFD販売 W3U1333Q-4Gのようなメーカー品であっても、4GB×2の8GBセットを8,000円前後で購入することができる
チップ規格とモジュール規格
メモリの速度規格名としてDDR3-1333、PC3-10600といった二つが使われるが、前者はメモリチップの最大動作クロックを、後者はモジュール(DIMM)1枚あたりの最大データ転送速度を示している。つまり、DDR3-1333(PC3-10600)は1,333MHz動作のメモリチップを搭載した10.6GB/sの帯域幅を持つメモリモジュールであることを意味しているわけである。慣れないうちはこの名称で混乱するかもしれないが、下の式で簡単に変換できるので、覚えておけばメモリ購入時などに迷うことはないだろう。ちなみに下のテスト結果にあるように、DDR3-1066、1333、1600と数値が上がるほどメモリ自体の転送速度は上がるものの、DDR3-1333対応CPUでDDR3-1600メモリを用いたところで実際のアプリケーション速度が必ずしも上がるわけではない。オーバークロックや将来性を考慮するのでなければ、使用するCPUが対応する規格のメモリを購入するのが基本だ。
チップ規格 | モジュール規格 |
---|---|
DDR3-1066 | PC3-8500 |
DDR3-1333 | PC3-10600 |
DDR3-1600 | PC3-12800 |
DDR3-1866 | PC3-14900 |
DDR3-2133 | PC3-17000 |
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK Maximus III GENE(Intel P55)、メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A 1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:NVIDIA GeForce 9600 GTリファレンスカード、HDD:Western Digital WD Caviar Black WD1002FAEX(Serial ATA 3.0、7,200rpm、1TB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
高品質がウリの
オーバークロックメモリ
- PC3-16000(DDR3-2000)
- CL=9
- 性能
- ■■■■■
- 省電力性
- ■■■□□
- コストパフォーマンス
- ■■■■□
- Kingston Technology
- HyperX T1 KHX2000C9AD3T1K2/4GX

メモリモジュールの大手メーカーKingston Technologyのオーバークロック向けハイエンドモデルHyperX T1のPC3-16000(DDR3-2000)メモリキット。レイテンシは9-11-9-27(3枚組モデルは9-10-9-27)。電圧は1.65V。Intel XMPに対応しており、DDR3-2000とDDR3-1866の二つのプロファイルを搭載している。表面積の大きい大型のヒートシンクを搭載することでチップの放熱性能を高めており、長時間の高負荷動作にも安心感がある。
製品名 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
KHX2000C9AD3T1K3/3GX | 1GB×3 | 7,000円前後 |
KHX2000C9AD3T1K2/4GX | 2GB×2 | 8,500円前後 |
KHX2000C9AD3T1K3/6GX | 2GB×3 | 17,000円前後 |
トリプルチャンネルに対応した
DDR3-2000メモリキット
- PC3-16000(DDR3-2000)
- CL=9
- 性能
- ■■■■■
- 省電力性
- ■■■□□
- コストパフォーマンス
- ■■■□□
- OCMEMORY
- OCM32000CL9T-6GB

LGA1366環境でのオーバークロックを想定したPC3-16000(DDR3-2000)メモリキット。容量は2GB×3。レイテンシは9-9-9-24。電圧は1.65V。G.Skillのメモリやハイエンドマザーなどのオーバークロック向けパーツを取り扱うOCMEMORYのオリジナルメモリで、高品質8層基板にOC耐性の高さで定評のある「Elpida B die」チップを搭載するなど同社ならではのこだわりの詰まった仕様となっている。日本語設定マニュアルも付属。
製品名 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
OCM32000CL9T-6GB | 2GB×3 | 19,000円前後 |
厳正な品質管理がなされた
高性能メモリ
- PC3-12800(DDR3-1600)
- CL=9
- 性能
- ■■■■□
- 省電力性
- ■■■■□
- コストパフォーマンス
- ■■■□□
- Corsair Memory
- VENGEANCE CMZ8GX3M2A1600C9

Corsair MemoryのOC向けメモリシリーズ「VENGEANCE」のPC3-12800(DDR3-1600)メモリ。レイテンシは9-9-9-24。電圧は1.5V。各機器との相互運用性や各ICの高周波性能、低レイテンシ性能のテストを徹底的に行ない、合格したものだけを出荷するという厳しい品質管理による信頼性の高さが本製品の最大の魅力。Intel XMPにも対応しており、対応マザーを用いれば簡単にオーバークロックを行なうことが可能。
製品名 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
VENGEANCE CMZ8GX3M2A1600C9 |
4GB×2 | 14,000円前後 |
VENGEANCE CMZ12GX3M3A1600C9 |
4GB×3 | 19,000円前後 |
Corsair Memoryの
スタンダードメモリ
- PC3-12800(DDR3-1600)
- CL=9
- 性能
- ■■■■□
- 省電力性
- ■■■□□
- コストパフォーマンス
- ■■■■□
- Corsair Memory
- XMS3 CMX8GX3M2A1600C9

品質の高さから人気のあるCorsair MemoryのPC3-12800(DDR3-1600)メモリ。レイテンシは9-9-9-24。電圧は1.65V。Corsair Memoryのスタンダードメモリシリーズ「XMS3」の製品で、同社のメモリとしては比較的リーズナブルな価格で入手できる点が特徴となる。スタンダードモデルとはいえ、ヒートスプレッダを搭載しIntel XMPにも対応するなど機能、品質ともに水準以上。メーカーの永久保証も付いている。
製品名 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
XMS3 CMX4GX3M1A1600C9 |
4GB×1 | 7,000円前後 |
XMS3 CMX8GX3M2A1600C9 |
4GB×2 | 13,000円前後 |
【問い合わせ先】
Kingston Technology:00531-88-0018/http://www.kingston.com/japan/
OCMEMORY:sales@ocmemory.jp/http://www.ocmemory.jp/
Corsair Memory:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/