メーカーによるカラーの違いが鮮明に
最後になったが、本誌のお勧め製品を決める、ライター、編集者による投票について説明しよう。五つのカテゴリーのうち、各ライターは三つのカテゴリーについて製品の評価を行ない、カテゴリーごとに5点の持ち点から推薦する製品に票を投じる。一押しの製品には2点を投じることも可能で、推薦できる製品が少ない場合は点数を余らせてもよい。編集部も同じく5点の持ち点から投票を行なっている。
各カテゴリーでゴールド/シルバーレコメンドを獲得するための票数が異なるが、これは各カテゴリーにエントリーした製品の数に応じてゴールドレコメンド製品の数を決めているためだ。得点が上位のものからゴールド、シルバーのレコメンド製品としている。
100製品を一望してみると、今年はハイエンドクラスとスモールフォームファクターの充実ぶりが目立った。過剰とも思える実装により製品の性格を強調するのに成功した製品が今回は票を集めており、ASUSTeKのR.O.G.シリーズのように、完全にブランドとして定着したものも出てきている。各社とも価格競争に陥らない、独自の魅力を備えた製品の開発に力を注いでおり、新しい発想の製品で2011年も楽しませてくれそうだ。
また、2万円を超える高価なマザーボードはIntel CPU対応製品が9割以上を占め、AMD CPU対応製品は2万円以下の価格帯に集中していることが分かる。自作市場をよりおもしろくするためにも、2011年はAMDの追い上げに期待したい。
投票のルール
カテゴリーごとに持ち点は「5点」
一つの製品に投票できる点数は「2点」まで
ハイエンド編
(30,000円以上)
3万円以上のハイエンドクラスは、同じくハイエンドのCPU、LGA1366版Core i7と組み合わせるIntel X58マザーボードの激戦区。オーバークロッカーやゲーマーを強く意識し、独自の付加価値を備えたモデルが多くの票を集めた。
アッパーミドル編
(30,000円~20,000円)
ミドルレンジよりワンランク上の余裕ある装備を備えたモデルが多いアッパーミドルクラス。LGA1366マザーはシルバーレコメンドにとどまり、現在主流のLGA1156とSocket AM3対応製品がゴールドレコメンドに輝いた。
ミドルレンジ編
(20,000円~12,000円)
各メーカーが主戦場としてしのぎを削るミドルレンジクラス。エントリーした製品数の多さもあって票がばらけるかと思われたたが、結果は機能と価格のバランスに優れた定番製品がゴールド/シルバーレコメンドを分け合った。
ローエンド編
(12,000円未満)
ローエンドクラスは、息の長いLGA775マザーと低価格CPUが充実のAM3マザー、さらにClarkdale対応のLGA1156マザーの低価格化で、例年にも増して大激戦。極端な仕様や価格設定のものより、平均点の高い製品が票を集める結果に。
スモールフォームファクター編
(Mini-ITX)
Atom搭載マザーのヒットを受け、大手メーカーもMini-ITXマザーに本格参戦したことで今年のスモールフォームファクタークラスは個性豊かなマザーボードが集結。予想どおりATXマザーボードと遜色のない多機能・高品質マザーが票を集めた。
ライター紹介
Ta 152H-1
本誌の人気連載「マザーボード完全攻略ガイド」の筆者。技術者ならではの深い知識に根ざした独自の視点から、見た目や流行に流されず各製品の本質を見抜く評価には定評がある。
石川ひさよし
ビデオカード、マザーボード、CPUなど、最新パーツのレビューを多数手がけるフリーライター。大の猫好き。microATXなど小型マザーボードを好むが、製品の評価はまた別物だ。
鈴木雅暢
本誌連載「マザーボードラボ」で毎月マザーボードを評価しており、製品知識は非常に豊富。ハイエンド製品に触れる機会が多いが、今回はあえてローエンドモデルの評価も依頼した。
滝 伸次
鈴木氏とともに「マザーボードラボ」で評価を担当。今回の100製品の半分近くは何かしら触った経験があると言う。製品のメリットを紹介しつつも、欠点の指摘も忘れない。
竹内亮介
本誌ではPCケースのレビューを担当することが多いが、根っからのパーツ好きでマザーボードも大好物。リアルユーザーらしい一歩踏み込んだ活用法の提案は他の追随を許さない。