ここではLGA1366対応の二つのCPUをピックアップした。LGA1366対応CPUの魅力は、内蔵メモリコントローラがトリプルチャンネルに対応しており、メモリアクセスが高速なこと、マルチGPUシステムなどに適した広帯域のX58チップセット、およびそれを搭載したマザーボードが使えることが大きい。ベンダー最先端の技術が注ぎ込まれるハイエンドのX58マザーにはやはり魅力的な製品が多い。
Core i7-980X Extreme Editionは、不動の最速モデル。Intel CPUでは数少ない6コアモデルで、Hyper-Threadingによる12スレッド同時実行が可能。32nmプロセスルール製造、倍率ロックフリーとオーバークロックでさらに高いパフォーマンスを狙える魅力もある。
一方、Core i7-950はこの秋が旬のクアッドコアモデル。夏の終わりに大幅な価格改定がなされ、手の届きやすい価格になった。Core i7-930に代わり、LGA1366対応CPUの新しいスタンダードモデルとして売れ筋となっている。動作クロックはCore i7-930よりも266MHz高い3.06GHz、その実力を改めて検証してみたい。
[写真左]
不動の現行最速モデル その価値を改めて問う
- LGA1366
- 6コア
- 12スレッド同時実行
- Intel
- Core i7-980X Extreme Edition
- 実売価格:92,000円前後

[写真右]
価格改定で急浮上 売れ筋の実力を検証
- LGA1366
- 4コア
- 8スレッド同時実行
- Intel
- Core i7-950
- 実売価格:27,000円前後
品名 | クロック(TB時) | コア/スレッド数 | GPU | TDP |
---|---|---|---|---|
Core i7-980X Extreme Ediiton |
3.33GHz(3.6GHz) | 6/12 | - | 130W |
Core i7-950 | 3.06GHz(3.33GHz) | 4/8 | - | 130W |
LGA1156より大型

LGA1366ソケットはLGA1156よりもサイズが大きいだけでなく、CPUクーラーにも互換性がないので、対応製品を使う必要がある
ピン数は1,366ピン

ピン数や配列は当然同じだが、Core i7-950が4コアで45nmプロセスであるのに対し、Core i7-980X EEは6コアで最新の32nmプロセスルールで製造されている
ココが最強!
・魅力的なX58マザーが使える
・トリプルチャンネルの高速メモリアクセス
・Extreme Editionは倍率ロックフリー
【問い合わせ先】
Intel:0120-868686(インテル)/ http://www.intel.co.jp/
性能と消費電力を検証
性能のテストでは傾向はどれも似ていてCore i7-980X XEの絶対優位は変わらない。なかでも差が大きいのはCINEBENCH R11.5のレンダリングテスト(x CPU)。最大16wayのマルチスレッド処理に最適化されているので、6コア12スレッド同時処理のアドバンテージがフルに活きている。なお、1 CPUでのテストは実用面での意味は薄いが、Turbo Boostで3.6GHzまで上昇するCore i7-980X XEとCore i7-870と、3.33GHzまでしかターボしないCore i7-950の違いが見えて興味深い。
PCでの操作全般をシミュレートするPCMark VantageでもCore i7-980X XEはかなり突出したスコアだが、これは32nm世代の一部モデルが対応する暗号処理用命令であるAES-NIの効果も大きいと思われる。
FINAL FANTASY XIV OFFICIAL BENCHMARKでHighのスコアが横並びになっている原因は、ビデオカードがボトルネックになっているためだろう。Lowでは差が付いているものの、CPUの影響はほかほど大きくはない。消費電力ではCore i7-950がCore i7-980X XEを上回ったが、これはプロセスルールの違いが反映されていると思われる。やはり電力効率では最新の32nmのほうが45nmより優れている。いずれにしてもLGA1156のCore i7-870よりアイドル時、高負荷時ともに大幅に高い。
6コアモデルはOCでのスコアの伸びも大きい
オーバークロックでの検証も行なってみた。Core i7-980X XEは倍率変更によるOCも可能だが、今回はベースクロックの上昇のみとしている。上昇率が大きかったのはCore i7-950で、定格クロックの約20%アップとなる3.68GHzで安定動作した。Core i7-980X XEは、クロックの伸び率では約16%にとどまったものの、もともとのスコアが高い分だけスコア自体の伸びは大きく、とてもインパクトの強い値をマークしたのはさすがと言える。
ライター鈴木雅暢の評価:
どちらも購入に値する大きな魅力がある
- Core i7-980X Extreme Edition:★★★★☆
- Core i7-950:★★★★☆
- プラットフォームの魅力:★★★☆☆
性能を見るとCore i7-980X XEが目立つ。コア数だけでなく、32nmプロセスルールのアドバンテージも効いている。Core i7-950はハイエンドCPUとして見ると性能にもの足りなさは感じるが、LGA1366とX58チップセットの広帯域や拡張性の高さに魅力を感じるユーザーであれば十分購入に値する。
【検証環境】
[LGA1366環境]
マザーボード:ASUSTeK Rampage III Extreme(Intel X58+ICH10R)、メモリ:Kingston Technology KHX1600C9D3K4/16GX(PC3-12800 DDR3 SDRAM、4GB×4 ※3枚のみ使用)
[LGA1156環境]
マザーボード:ASUSTeK Maximus III GENE(Intel P55)、メモリ:サンマックス・テクノロジーズ SMD-2G88N3P-13H(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)
[共通]
ビデオカード:EVGA 01G-P3-1370-KR(NVIDIA GeForce GTX 460)、HDD:日立GST Deskstar P7K500 HDP725025GLA380(Serial ATA 2.5、7,200rpm、250GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版