メインPCにも使える本格派Mini-ITXマザー
- Socket AM3
- AMD 890GX+SB850
- Mini-ITX
- J&W Technology
- MINIX 890GX-USB3
- 実売価格:19,000円前後
MINIX-890GX-USB3は、AMD 890GXチップセットを搭載したMini-ITXマザーボード。AMD 890GXは、880Gの上位チップセットで、内蔵GPUのコアクロックが700MHzと880Gより140MHz高い。本製品では128MBのSide Portメモリを実装し、さらなる高速化を図っている。South BridgeにはSerial ATA 3.0に対応したSB850を搭載。さらにUSB 3.0、2系統の1000BASE-T LANを搭載。また、ボード背面にはPCI Express Mini Cardスロットを装備し、無線LAN/Bluetoothのコンボカードが標準で装着されている。メモリスロットがSO-DIMMソケットであること、そして拡張スロットがPCI Express 2.0 x16スロットの1本のみということ以外は並のATXマザーに負けない充実ぶりで、サブPCや静音PCといったMini-ITX定番の用途はもちろん、メインのPCとしても使える1枚である。
【1】バックパネル
Mini-ITXマザーとしては非常にめずらしく、1000BASE-Tを2基備える。そのほかのインターフェースも一通り搭載。青いUSBポートがUSB 3.0対応ポートだ
【2】充実の無線通信機能
基板の裏面にはPCI Express Mini Cardスロットがある。Atheros製のIEEE802.11b/g/n対応の無線LAN/Bluetoothコンボモジュールが装着されている
【3】メモリはSO-DIMMに対応
メモリスロットは、ノートPC向けのSO-DIMMタイプを2基搭載している。一般的なデスクトップPC用のDIMMが使えない点には注意したい
【4】AMD 890GXを採用
DirectX 10.1対応のGPUコアRadeon HD 4290を内蔵する。サイドポートメモリとして128MBのDDR3 SDRAMを実装するが、性能の高速化効果は1割程度
【5】South BridgeはSB850
South BridgeにはSB850を搭載。AMD 890GXとは帯域2GB/sのAlink ExpressIIIで接続される。Serial ATA 3.0のRAID(0/1/5/0+1)を標準でサポートしている
ココが最強!
・Mini-ITXなのに6コアCPUが使える
・無線LANなど通信機能が充実
・フル帯域で使えるUSB 3.0+SATA 3.0
Specification
対応CPU:Phenom II (TDP 95Wまで)、Athlon II●メモリスロット:PC3-10600 DDR3 SDRAM SO-DIMM×2(最大8GB)●グラフィックス機能:AMD Radeon HD 4290●ディスプレイ:HDMI×1、DVI-D×1、Dsub 15ピン×1●拡張スロット:PCI Express 2.0 x16×1、PCI Express Mini Card×1(無線LANカードで占有済み)●主なインターフェース:Serial ATA 3.0×4、USB 3.0×2、USB 2.0×4●LAN:1000BASE-T×2
【問い合わせ先】
J&W Technology:inf@fastcorp.co.jp(ファスト)/ http://www.jwele.com/
超コンパクトなMini-ITXでも6コアのCPUが使える
Mini-ITXマザーとしては、AMD 890GX+SB850を搭載するだけでもかなり強力だが、CPUにはTDP 95W以下のPhenom II /Athlon IIが利用できる。TDP 95Wと言うと、AMD CPUでは6コアのPhenom II X6 1055Tも含まれる。Mini-ITXで6コアが使えるとなればそれだけで胸が躍るというもの、実際に載せて試してみた。
6コアの威力を実感するならやはりエンコードだ。ペガシスの動画エンコーダ「TMPGEnc 4.0 XPress」を使い、約1分のAVCHDビデオを連結し、YouTube投稿用の一つのMP4ビデオに変換するテストを行なってみた。比較対象は、同じMini-ITXフォームファクターを採用するIntelのDH57JGに、Phenom II X6 1055Tと同価格帯のCore i5-661という組み合わせだ。結果は約33%もPhenom II X6のほうが高速な結果になっており、6コアの威力はしっかり引き出せているようだ。
一方、消費電力に関しては分が悪い結果となった。もちろん、両者の性格は違うので単純な比較は適切ではない。ただ、Phenom II X6と890GXという組み合わせは、典型的なMini-ITXシステムと比べ、発熱・消費電力的に大きな差があるのも事実。性能を活かしつつ小型ケースに収めるにはそれなりのテクニックが必要になりそうだ。
TDP 95WまでのCPUを搭載可能
コア数に関係なくTDP 95WまでのCPUに対応する。6コアのPhenom II X6では1055T以下、4コアのPhenom II X4では955以下のCPUが利用できる
目指せ最強Mini-ITXマシン
Mini-ITXとしては破格のポテンシャルを秘めるMINIX 890GX-USB3だが、最近はMini-ITX対応ケースにもフルサイズのビデオカードやHDD/SSDを複数台搭載できる製品が登場してきている。そういったケースと組み合わせれば、これまでのMini-ITXでは考えられなかったような高性能マシンの構築も可能だ。高性能ビデオカードを搭載したコンパクトゲームマシンや3台以上のHDDでRAID 5を構築したストレージタンクマシンなどに仕立ててみるのもおもしろそうだ。
SilverStoneのMini-ITX対応キューブタイプケース「Sugo SST-SG-07」。80PLUS Bronze認証取得の600W電源を搭載
最大消費電力400W/長さ310mmまでのカードを搭載できる。現行ではリファレンス仕様のRadeon HD 5970カードまで対応可能
ライター鈴木雅暢の評価:
自作欲を刺激する1枚だが入門者にはハードルが高い
- メインPC適性:★★★★☆
- インターフェース満載度度:★★★★★
- 腕試し度:★★★★★
高いポテンシャルを秘めているが、それをフルに引き出すのは容易ではない。マニュアルなどの情報量も乏しいし、構成しだいではエアフローの確保などテクニックが必要になることも。やり過ぎるとそもそもMini-ITXである必要があるのかという疑問も浮上し、いろいろな意味でユーザーのセンスが問われる1枚。
【検証環境】
CPU:AMD Phenom II X6 1055T(2.8GHz)、Intel Core i5-661(3.33GHz)、メモリ:Kingston Technology KHX8500S3ULK2/4G(PC3-8500 DDR3 SDRAM SO-DIMM、2GB×2)、Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM、2GB×4 ※3枚のみ使用)、システムSSD:HANA Micron Forte plus HMSM064G-10(Serial ATA 2.5、MLC、64GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版