ホットスワップを活用する
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Serial ATAならではの機能を活用できるAHCIモード。標準でAHCIドライバを備えるWindows 7の普及も相まって、AHCIモードで利用しているユーザーも増えているようだ。AHCIモードでサポートされる機能の一つに、Serial ATAドライブをUSB外付けドライブのように手軽に抜き挿しできるホットスワップがあるが、まだまだ活用されているとは言い難い。バックアップ用HDDの接続はホットスワップの利用が便利。ぜひ活用してほしい。
必要なときだけHDDを接続

バックアップ用途など、常に接続しておく必要がないHDDは、ホットスワップで利用するのが便利。写真のようなリムーバブルケースを標準装備するPCケースも増えている
正しい手順で抜き挿ししよう

すでにAHCIモードで利用している環境にホットスワップ対応HDDを接続すると、USBメモリのように自動的にドライバがインストールされ、使用可能になる

フリーのツール、「HotSwap!」を利用することで、OS標準の「ハードウェアの安全な取り外し」と同様の操作感で取り外しが行なえる

この画像が出るまで待つ!
HotSwap!使用時はこの画面が表示されたらHDDを取り外しても大丈夫。くれぐれもデータの書き込み中にいきなり取り外したりしないように
HDDの故障を予測
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ある日突然訪れるHDDの故障。バックアップさえしっかり取っておけば必要以上に恐れることもないが、復旧までの手間を考えるとやはりめんどう。HDDの故障を避けるため、冷却をしっかり行なうとともに、故障の前兆を見逃さないようにしたい。そのための機能が「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)だ。HDDはエラー回数などを常時計測しており、それをマザーボードに通知している。S.M.A.R.T.情報を読み取るツールを常駐させておき、警告が出たら即交換するようにしたい。
BIOSでS.M.A.R.T.を有効に

Windows上でツールを実行する前に、BIOSでS.M.A.R.T.関連の項目を有効にしよう
常駐ツールでストレージの状態を監視

CrystalDiskInfoは、ストレージの総合ユーティリティ。スタートアップと常駐設定をしておけば、タスクトレイでHDDの温度表示も行なえる

HDDlifeはシンプルな機能のHDD情報表示ソフト。有料のHDDlife Proを15日間試用でき、その後は機能限定のフリー版として動作する
RAID 5でシステムを保護
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イメージ、差分などによるバックアップは低コストだが、バックアップした時点までしか復旧できず、時間もかかる。その点、RAIDによるバックアップはディスクがよけいに必要なものの、リアルタイムでバックアップされ手間いらず。なかでもHDD 3台以上で構築でき、台数が増えても1台分の容量のロスですむRAID 5に注目だ。
使用可能なチップセットはこれ!

Intelの5シリーズチップセットのうち、H55を除くものはRAID 5をサポートする(X58はICH10Rによるサポート)

AMD 890FXなどと組み合わされるS B850もRAID 5に対応。さらに、Serial ATA 3.0(6Gbps)もネイティブでサポートする
RAIDボリュームの構築手順

まずはBIOSでRAIDに組み込みたいディスクのモードを「RAID」に設定する。システムを組み込みたい場合はOSインストール前にこの設定を行なうこと


BIOSで設定を保存し再起動するとRAIDユーティリティが表示されるようになる。Intel 5シリーズチップセットの場合、「Ctrl+I」キーで設定画面に入れる


RAIDユーティリティに入ったらまず「Create RAID Volume」を選択。RAIDの種類として「RAID5(Parity)」を選び、最後に「Create Volume」を押す


OSインストール後、忘れずに「Rapid Storage Technology」をインストールしよう。これはRAIDドライバ&ユーティリティだ
故障からの復旧手順
★★★
RAID 5のメリットは故障時にも現われる。HDDが突然クラッシュしても1台だけであればシステムは動作し続け、システムとディスクがホットプラグに対応していれば電源を入れたままディスクの交換、復旧を行なうことができるのだ。Intel 5シリーズチップセット搭載環境での復旧手順は下のとおりだが、BIOSなどではなく、アプリケーション上から復旧作業ができるため、大変分かりやすい。こうした点からも、大容量データのバックアップを検討中ならRAID 5の導入をお勧めしたい。
HDDが故障した!

RAID 5の場合、HDDが1台壊れても別のHDDに分散して書き込まれたデータを利用してシステムは起動・動作し続ける。もう1台壊れると復旧不可能なので、早急にHDDを交換しよう。同仕様のものが原則だが、ない場合はより大容量のものを用意すること
バックグラウンドで復旧される

新しいHDDに交換後、Rapid Storage Technologyの管理メニューから「別のディスクに再構築」を選択。表示されるウインドウで接続したポートを確認し、「再構築」をクリックするとRAIDボリュームの修復が始まる


正常なHDDのデータから故障したHDDに記録されていたデータが復旧され、順次新HDDに書き込まれていく。この作業はバックグラウンドで行なわれ、OS上では別の作業もできる。復旧時間は容量によって異なるが、一晩程度あれば完了するだろう


無事に復旧が完了した。HDDの故障は連続することがあるため、無事だったHDDのエラーチェックなどを行なっておきたい