ミドルレンジランキング
いわゆるボリュームゾーン(売れ筋の価格帯)であるミドルレンジのビデオカード。とはいえ一言でミドルレンジと言っても、下は1万円台、上はアッパーミドルと呼ばれる2万円台~3万円台のカードと幅が広い。それはGPU自体でも同様だ。ミドルレンジGPUとひとくくりにしてみても、上と下では性能に大きな違いがある。
そして、この夏のアッパーミドルビデオカードには少し異変が起きている。7月に登場した新GPUであるGeForce GTX 460は、ハイエンドクラスのパフォーマンスを2万円台半ばというアッパーミドルの価格帯で実現している。また、ATIのハイエンドGPU、Radeon HD 5800シリーズの下位モデルが、すでに発売から半年以上が経過したこともあってじりじりと価格を下げ、こちらもアッパーミドルと呼べる価格帯にやってきた。もちろん次期GPUが登場するまでの天下とはいえ、コストパフォーマンスでは今の時期が買い時と言えるだろう。
さて、ミドルレンジビデオカードをランキング化するにあたり、今回は各GPUごとに1製品を選んでみた。いくつかのモデルはオーバークロックモデルであるが、各GPUごとのおおよその傾向はつかめるだろう。なお、ミドルレンジではパフォーマンスだけでなく価格も重視したい。価格とパフォーマンスでランキングを作成し、ランキング要素のほかにも静音性やディスプレイ出力端子の違いによる使い勝手など、実際に導入するにあたっての気になるポイントもまとめたので、購入する際の参考としていただきたい。

今、注目株のGeForce GTX 460を搭載!
- DiRT 2も快適な実用的高性能GPU
- GeForce GTX 460
- GDDR5 1GB
- ZOTAC
- ZT-40402-10P
- 実売価格:24,000円前後

NVIDIAの新GPU、GeForce GTX 460 1GB版を採用する1枚。リファレンスデザインにはないDisplayPortを装備することで使い勝手も向上している。アッパーミドルの価格帯だが、それだけにパフォーマンスは優秀。クロックはリファレンス準拠。
- コンパクトなサイズ


ヒートパイプがGPUに直接接触するオリジナルクーラーを採用する
●コアクロック:675MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)●メモリクロック:2.7GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×2●対応スロット:PCI Express 2.0 x16
コストパフォーマンスに注目のRadeon HD 5830カード
- オリジナルクーラーが秀逸
- Radeon HD 5830(OC)
- GDDR5 1GB
- 玄人志向
- RH5830-E1GHD/DP/OC
- 実売価格:25,000円前後

Radeon HD 5830はアッパーミドル価格帯で購入できるRadeon HD 5800シリーズの最下位のGPU。本製品はこれをOC駆動。さらに大型ファンとヒートパイプを用いたオリジナルクーラーで、静音性にも優れている。

カード長に合わせた大きめのヒートシンクにヒートパイプ4本を組み合わせて、中央に大口径ファンをレイアウト
●コアクロック:825MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)●メモリクロック:4.2GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
高性能クーラーが静音とOCを両立
- DiRT 2ベンチでは今回トップ
- GeForce GTX 460(OC)
- GDDR5 768MB
- MSI
- N460GTX Cyclone OC
- 実売価格:22,000円前後

1GB版と768MB版が存在するGeForce GTX 460のうち、768MB版を採用したモデル。メモリ容量はハンデだが、オリジナルクーラー&オーバークロック仕様とすることで1GB版に肉迫するパフォーマンスを実現した。

弧を描くようにヒートシンクを展開。外周と中央のヒートシンクでファンからの風をフル活用する
●コアクロック:725MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 768MB(192bit)●メモリクロック:3.6GHz●インターフェース:Mini HDMI×1、DVI-I×2● 対応スロット:PCI Express 2.0 x16
高性能GPUが3万円前後の価格帯に突入
- Radeon HD 5850
- GDDR5 1GB
- 玄人志向
- RH5850-E1GHW/HD/DP/SP
- 実売価格:32,000円前後

ミドルレンジとしてはやや高めだが、パフォーマンスを求めるなら。RH5830-E1GHD/DP/OCと同様のクーラーで動作音も静かだ。
●コアクロック:760MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(256bit)●メモリクロック:4.2GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I ×2●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
価格/パフォーマンス比に優れたHD 5770カード
- Radeon HD 5770
- GDDR5 1GB
- MSI
- R5770 Storm 1G
- 実売価格:18,000円前後

2万円以下のパフォーマンスレンジを塗り換えたRadeon HD 5770。静音オリジナルクーラーを搭載しながら平均的な価格を実現。
●コアクロック:850MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(128bit)●メモリクロック:4.8GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I ×1●対応スロット:PCI Express 2.1 x16
1万円で買える1スロット仕様のDX11対応GPU
- Radeon HD 5670
- GDDR5 512MB
- XFX
- HD-567X-YNFC
- 実売価格:10,000円前後

Radeon HD 5670は1万円前後で導入できるDirectX 11対応GPU。1スロットサイズのクーラーとの組み合わせで使いやすい。
●コアクロック:775MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 512MB(128bit)●メモリクロック:4GHz●インターフェース:DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1● 対応スロット:PCI Express 2.1 x16
世代は古いが高負荷での3D性能はまずまず
- GeForce GTS 250
- GDDR3 512MB
- ASUSTeK
- ENGTS250 DK/DI/512MD3
- 実売価格:15,000円前後

DX11非対応で見劣りするが、3D性能はRadeon HD5670より上。冷却性能を高めたオリジナルクーラーを搭載したモデルだ。
●コアクロック:740MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR3 SDRAM 512MB(256bit)●メモリクロック:2.2GHz●インターフェース:Dsub 15ピン×1、HDMI×1、DVI-I ×1●対応スロット:PCI Express 2.0 x16
GeForce GTX 460のOC耐性に注目!
十分なパフォーマンスを比較的手頃な価格で実現するGeForce GTX 460 だが、これをもうひと押しするのがオーバークロック耐性の高さだ。実はこのOC耐性、GeForce GTX 460の発表時にNVIDIAが公式にプレゼンしたところでもある。OCはもちろん自己責任ではあるが、条件がよければ空冷でもコアクロックを900MHz辺りまで高められたという報告もある。
EVGAの「Precision」やMSIの「AfterBurner」のように、カードメーカーが独自にOCツールを付属させている場合もあるので、選択のポイントになるだろう。


EVGAのOCツール「Precision」。上は定格の675MHzから850MHzまでOCしてFF14ベンチを実行した結果で、Highで約23%伸びている
【問い合わせ先】ZOTAC:03-5215-5650(アスク)
URL:http://www.zotac.com/
玄人志向:購入店舗にて対応
URL:http://kuroutoshikou.com/
MSI:web@msi-computer.co.jp(エムエスアイコンピュータージャパン)
URL:http://www.msi-computer.co.jp/
XFX:info@synnex.co.jp(シネックス)
URL:http://www.xfxforce.com/
ASUSTeK:news@unitycorp.co.jp(ユニティ)
URL:http://www.asus.co.jp/
【検証環境】CPU:Intel Core i7-875K(2.93GHz)、マザーボード:MSI P55-GD85(Intel P55)、メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※2枚使用)、HDD:Western Digital WD RE4 WD2003FYYS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、2TB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版