オーバークロック耐性ランキング
CPUのオーバークロック(OC)には、現在販売されているどのCPUをも超えるパフォーマンスを獲得したり、あるいは安価なCPUでより高価なCPUのパフォーマンスをしのいだり、といった楽しみ方がある。パフォーマンスで頂点を狙うならば、現在売られている最上位のCPUをさらにOCするのが効果的だが、今回は後者に注目し、手頃なミドル~ローエンドCPUを対象とした。
とはいえ、現在はマルチコアにHyper-Threadingも加わり、簡単にランキングを導きだすことは難しい。そこで今回は実際のクロック向上率とオーバークロックのしやすさに、オーバークロックした際の達成感も加えて順位付けしてみた。なお、CPUのOC耐性には個体差があり、環境により到達可能なクロックは異なる。また、OCによる故障は自己責任となることに注意してほしい。
高いOC耐性で上位モデルを凌駕
- 苦もなく4GHz超え!
- LGA1156
- デュアルコア
- Intel
- Core i3-530
- 実売価格:10,500円前後
今回の計測で唯一4GHz超えを記録し、かつ定格クロックからの伸び率でも40%近い値を叩き出した。ただしOC手法は基本的にベースクロックの引き上げのみ。倍率は下方向にのみ変更できるが、オーバークロックにおいてはあまり大きな効果は望めない。今回は倍率22倍のままベースクロックを183MHzにまで引き上げることで4.016GHzを記録している。
動作周波数:2.93GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:4MB、プロセスルール:32nm、TDP:73W
高い定格パフォーマンスがOCでさらにアップ!
- 倍率ロックフリーでOCの自由度が高い
- LGA1156
- クアッドコア
- Intel
- Core i7-875K
- 実売価格:32,000円前後
本製品のウリは倍率ロックフリーな点。まずは倍率を上げていき、上限を感じたら小きざみにベースクロックを引き上げていくという2段階のOCが楽しめる。
到達クロック自体は目立つものではないが、定格から比べると30%近い伸びだ
動作周波数(Turbo Boost 時):2.93GHz(3.6GHz)、同時処理スレッド数:8、3次キャッシュ:8MB、プロセスルール:45nm、TDP:95W
低価格ながら倍率ロックフリー
- 冷却しだいで高性能を発揮!?
- Socket AM3
- クアッドコア
- AMD
- PhenomII X4 955 Black Edition
- 実売価格:14,500円前後
定格が3.2GHzと高いことから伸び率は今回もっとも低い。しかしCore i7-875Kと同様に倍率変更に対応し、柔軟なOCが楽しめることから3位とした。
TDPが125Wと大きめであり、冷却には十分に配慮したい
動作周波数:3.2GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:6MB、プロセスルール:45nm、TDP:125W
低発熱だがOCの伸びは今一歩
- Socket AM3
- クアッドコア
- AMD
- AthlonII X4 635
- 実売価格:9,500円前後
3次キャッシュレスで発熱量は低いが、最大クロックは3.6GHz超にとどまった。
動作周波数:2.9GHz、同時処理スレッド数:4、2次キャッシュ:512KB×4、プロセスルール:45nm、TDP:95W
環境しだいではより高いクロックを目指せる
- LGA1156
- デュアルコア
- Intel
- Core i5-655K
- 実売価格:20,500円前後
今回の計測では伸び率20%、3.87GHzにとどまった。本来の耐性はこの程度ではないはず。
動作周波数(Turbo Boost時):3.2GHz(3.46GHz)、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:4MB、プロセスルール:32nm、TDP:73W
【検証環境】マザーボード:MSI P55-GD85(Intel P55)、ASUSTeK CrosshairIV Formula(AMD 890FX+SB850)、メモリ:Corsair Memory XMS3 CMX8GX3M4A1600C9(PC3-10800 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:GIGABYTE GV-N275UD-896H(GeForce GTX 275)、HDD:Western Digital WD RE4 WD2003FYYS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、2TB)、CPUクーラー:サイズ KABUTOクーラー、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
省電力/電力効率ランキング
省電力性は最近のCPUのトレンドだ。省電力CPUを選ぶ上での基準の一つがTDPだが、これはあくまでも目安。実際に消費電力を計測し、ランキング化してみようというのがこの企画だ。今回はワットあたりのパフォーマンスという点に着目し、動画エンコードの完了までにかかった消費電力、その処理を含めて計10分間の消費電力をそれぞれ積算しての比較も行なってみた。
パフォーマンスと消費電力のバランスが抜群
- マルチスレッドを効率よく処理
- LGA1156
- デュアルコア
- Intel
- Core i3-530
- 実売価格:10,500円前後
本製品はとくに低消費電力をうたっていないが、消費電力を計測してみると、低消費仕様のCPUと互角に渡り合える成績を出す。アイドル時、高負荷時の消費電力値は今回比較したCPUの中においては中庸だが、パフォーマンスは高めでエンコードに要する時間が短く、エンコードにかかった消費電力で2位、エンコードを含む10分間の消費電力では1位となっている。
動作周波数:2.93GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:4MB、プロセスルール:32nm、TDP:73W
アイドル時間の長いホームサーバーマシンに最適
- 軽い処理が中心ならこれだ!
- LGA1156
- デュアルコア
- Intel
- Pentium G6950
- 実売価格:9,000円前後
アイドル時の消費電力は今回比較した中で1番。Windows Home Serverのように、小規模でかつ常時電源を投入しておくような用途に向いている。
動作周波数:2.8GHz、同時処理スレッド数:2、3次キャッシュ:3MB、プロセスルール:32nm、TDP:73W
CPUパワーを活かして短時間で処理を完了
- 高負荷時の効率はバツグン
- Socket AM3
- クアッドコア
- AMD
- PhenomII X4 910e
- 実売価格:16,500円前後
高負荷時の消費電力が高いが、パフォーマンスはよく、エンコード完了までの消費電力を積算すると電力効率は良好。アイドル時の消費電力が高い点に注意。
動作周波数:2.6GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:6MB、プロセスルール:45nm、TDP:65W
使いどころをよく考えたい
- Socket AM3
- デュアルコア
- AMD
- AthlonII X2 260u
- 実売価格:8,500円前後(マザーボードとのセット販売のみ)
TDP 25Wとダントツに低い本製品。たしかに消費電力は低いが、ワットあたりの性能も低い。
動作周波数:1.8GHz、同時処理スレッド数:2、2次キャッシュ:1MB×2、プロセスルール:45nm、TDP:25W
ローコスト省電力マシン向け
- Socket AM3
- デュアルコア
- AMD
- AthlonII X2 240e
- 実売価格:6,500円前後
今回比較した中ではなかなかアピールできなかったが、システムコスト+運用コストは優秀だ。
動作周波数:2.8GHz、同時処理スレッド数:2、2次キャッシュ:1MB×2、プロセスルール:45nm、TDP:45W
【問い合わせ先】Intel:0120-868686
URL:http://www.intel.co.jp/
AMD:0053-165-0441(日本AMD)
URL:http://www.amd.co.jp/
【検証環境】マザーボード:MSI P55-GD85(Intel P55)、ASUSTeK M4A87TD EVO(AMD 870+SB850)、メモリ:Corsair Memory XMS3 CMX8GX3M4A1600C9(PC3-10800 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:GIGABYTE GV-N275UD-896H(GeForce GTX 275)、HDD:Western Digital WD RE4 WD2003FYYS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、2TB)、電源:Corsair Memory CMPSU-850TXJP(850W)OS:Windows 7 Ultimate 64bit版