スタンダードランキング
スタンダードと言われてもピンと来ないかもしれないが、ここでは「万人向け」のCPUととらえている。ではどんなCPUが万人向けと言えるのか。万人向けだからと言って性能が低くてよいということはない。CPU性能は飛躍的に向上しているとは言え、昔と比べてPCでできることも増えている。CPUの個性をしっかり把握し用途に合わせて使い分けられる上級者や、CPU性能が足りないと感じたらすぐCPUを交換に走れるマニアならば性能の低いCPUをチョイスする場面もあってよいが、そうそう目的を限定できるものではない。ある程度どんな用途にも対応できるCPUであるべきだろう。
ランキングの順位付けに関しては、性能と消費電力のバランス、そして価格も考慮している。その判断の材料として、日常的な操作の目安としてPCMark05のCPU Test Suite、エンタテイメント性能の目安としてFF14 ベンチマーク、そして消費電力のテストを行なっているのであわせて見てほしい。
トータルバランスに優れたクアッドコアモデル
- スキのない性能が光る
- Intelのリアルクアッドコアで2万円切り!
- LGA1156
- クアッドコア
- Intel
- Core i5-750
- 実売価格:18,000円前後

1位に推すのはCore i5-750だ。Hyper-Threading機能を持たないクアッドコアCPUである。Turbo Boostに対応し、Hyper-Threadingの最適化度合いに左右されず、どんなアプリケーションでも水準以上の性能が期待できる。テスト結果でもエンタテイメント性能はエントリー中トップクラス。アイドル時、高負荷時の消費電力も優秀で、バランスのよさが光った。Core i7-860も優秀だが、実売で8,000円の差があり、それを考えるとこちらが上だ。この評価はそのまま上位のCore i5-760に当てはめても差し支えないだろう。
動作周波数(Turbo Boost時):2.66GHz(3.2GHz)、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:8MB、プロセスルール:45nm、TDP:95W
エンコードにも余裕で対応する6コア
- 省電力化されたのもポイント
- 6コアがこの価格で手に入る
- Socket AM3
- 6コア
- AMD
- PhenomII X6 1055T(TDP 95W版)
- 実売価格:21,500円前後

AMDの6コアブランドPhenomII X6の下位モデル。動作クロックが低いためにPCMark05のCPUスコアはそれほど高くはないが、6コアを内蔵するだけにマルチスレッド性能は高い。動画エンコードやRAW現像、ビデオ編集などにも余裕を持って対応できる。
動作周波数(Turbo CORE時):2.8GHz(3.3GHz)、同時処理スレッド数:6、3次キャッシュ:6MB、プロセスルール:45nm、TDP:95W
ワンランク上のパフォーマンスが光る
- シングルスレッドアプリも余裕!
- バランスのよさに定評あり
- LGA1156
- クアッドコア
- Intel
- Core i7-860
- 実売価格:26,000円前後

クアッドコア+Hyper-Threadingによる8スレッド同時実行が可能で高いマルチスレッド性能を持つ上、負荷が少数のコアに偏っている場合にはTurbo Boostにより電力や温度に余裕がある範囲で動作クロックを引き上げることからシングルスレッドの性能も高い。
動作周波数(Turbo Boost時):2.8GHz(3.46GHz)、同時処理スレッド数:8、3次キャッシュ:8MB、プロセスルール:45nm、TDP:95W
低価格モデルの優等生
- 低価格なのがうれしい
- Socket AM3
- クアッドコア
- AMD
- PhenomII X4 945
- 実売価格:13,500円前後

「PhenomII X4」の中堅モデル。日常性能、エンタテイメント性能ともにそれなりで、強調できる要素はない代わりに大きな欠点もなく、スタンダード向けには適したCPUと言える。
動作周波数:3GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:6MB、プロセスルール:45nm、TDP:95W
地味だがバランスは悪くない
- 省電力性は今回随一
- LGA1156
- デュアルコア
- Intel
- Core i5-650
- 実売価格:17,000円前後

エントリー中唯一のデュアルコア。4スレッド同時実行が可能だが、FF14ベンチはHTの効果があまり出ないだけに性能面では見劣りが目立つ結果に。消費電力も含めたバランスは悪くない。
動作周波数(Turbo Boost時):3.2GHz(3.46GHz)、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:4MB、プロセスルール:32nm、TDP:73W
コストパフォーマンスは優秀
- PCMark05のスコアは意外と!?最高でした
- Socket AM3
- クアッドコア
- AMD
- PhenomII X4 965 Black Editiion
- 実売価格:16,500円前後

3.4GHzと動作クロックが高いことから性能テストでは6コアのPhenomII X6 1055Tよりもよいスコアをマーク。高負荷時の消費電力が高いためこの順位だが、性能重視ならお勧めだ。
動作周波数:3.4GHz、同時処理スレッド数:4、3次キャッシュ:6MB、プロセスルール:45nm、TDP:125W
LGA1366対応マザーボードが使える
- リッチなX58マザーのロマンに手が届く
- LGA1366
- クアッドコア
- Intel
- Core i7-930
- 実売価格:27,000円前後

現行のLGA1366対応CPUではもっとも安く買えるモデル。価格性能比は悪くないが、スタンダード向けとしてはアイドル時の消費電力の高さがネックで、冷却に配慮が必要だ。
動作周波数(Turbo Boost時):2.8GHz(3.06GHz)、同時処理スレッド数:8、3次キャッシュ:8MB、プロセスルール:45nm、TDP:130W
【問い合わせ先】Intel:0120-868686
URL:http://www.intel.co.jp/
AMD:0053-165-0441(日本AMD)
URL:http://www.amd.co.jp/
【検証環境】マザーボード:MSI X58A-GD65(Intel X58+ICH10R)、ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、ASUSTeK M4A89TD PRO(AMD 890FX+SB850)、メモリ:Corsair Memory XMS3 CMX6GX3M3A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM 2GB×3)、センチュリーマイクロ CK2GX2-D3U1333(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2)、ビデオカード:玄人志向 RH5770-E1GHD/DP/G3(Radeon HD 5770)、HDD:Seagate Barracuda 7200.12 ST31000528AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、電源:Corsair Memory CMPSU-850TXJP(850W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版