大きさはATXで冷却重視が基本 構造面では拡張性が一番重要
PCケースはATX対応製品が一番の売れ筋だ。小型のMini-ITX対応ケースやマザーボードは話題に上ることはしばしばあるものの、ベストセラーというほどではない。大きめで組みやすく、拡張性に優れる製品に人気が集まっている。大型のビデオカードや2.5インチのSSDへの対応が最近のトレンドだ。
冷却性能と静音性については、ランキングを見ると前面メッシュを採用し、ファンを多数備える製品が多く、冷却性能を重視した製品が人気と言える。Turbo
Boost Technologyを搭載するCPU「Core iシリーズ」が主流となっていることなどが背景にあるが、静音性重視の製品にも常に一定のニーズが存在している。
1主流はやはりATX対応ケース
マザーボードや拡張カードなど選択肢の広さを考えると、汎用性の高いATX対応製品がやはり定番となる。売れ筋製品のボディカラーは、ほとんどがブラック。

2冷却と静音のどちらを重視?
冷却性能と静音性は基本的に二者択一となる。冷却性能を重視するなら、ファンの数と大きさ、前面パネルや吸気口の数などをチェック。静音性を重視するなら、評価軸はそれとは正反対になる。

左は風を取り込みやすいメッシュタイプ。右は音が漏れにくいクローズタイプ

側面や天板に巨大なファンを搭載するものは、基本的に冷却性能を重視した製品だ
3拡張性の「本質」を考えよう
構造をチェックする上で重要なのは、ベイの数などのスペック情報よりも、その作りだ。HDDの振動を抑えるギミックは静音性の向上に貢献するし、ドライバーレスで組み立てられるなら作業の難易度が低下する。シャドーベイなどが自由に着脱できるタイプなら、作業領域が広くなり、これも組み立てやすさにつながる。これらはできれば店頭でチェックするか、Webの口コミサイトなどの情報をチェックしたい。

5インチと3.5インチの2種類のベイだけでなく、SSDやリムーバブルベイなどに対応した製品も増えてきた

ベイがフレームごと外れる構造は、組み立てやすさ、メンテナンス性の向上につながる

大型ビデオカードを組み込みたい場合には、側板を外した開口部の幅はよく確認しておきたい
- ATX
- シルバー/ブラック&シルバー/ホワイト&シルバー
Antec
SOLO
実売価格:11,000円前後
問い合わせ先:03-5812-5820(リンクスインターナショナル) URL:http://www.antec.com/
Specification
●付属電源:なし●ベイ:5インチ×4(5→3.5インチ変換アダプタ×1)、3.5インチ×1、3.5インチシャドー×4(HDDサスペンションマウンタ使用時×3)●標準搭載ファン:12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:9cm角×2(前面)●本体サイズ(W×D×H):205×468×430mm●重量:9.2kg
静音性へのこだわりが満載
今なお色あせないロングセラー
2006年5月の発売以来、静音重視派から根強い支持を受けるベストセラー。5インチベイはドライバーレスだが、2.5インチマウンタやマザーボードベースの裏側配線などには対応しておらず、最新トレンドを踏まえた製品に劣る部分はある。しかし、吸気口を必要最低限にした密閉性の高さ、本製品に盛り込まれている動作音を抑える数々のギミックは、今現在でも大きな魅力となっている。
本命のワケ
- 制振シートで音漏れが少ない
- HDDなどの振動を抑えるギミック
- ファンは必要最低限で動作音は静か
構造的には少々古くささが残るものの、静音性にこだわったチューニングと各種ギミックは、今でも十分現役クラス。静音派なら買って損のない製品だ。


HDDは2本のシリコンバンドに挟むように挿し込んで固定。振動をPCケースに伝えないための工夫だ

シャドーベイには前面パネルを扉式に開いてアクセス。前面には9cm角ファンが2基追加可能だ

背面のファンは3段階で回転数を制御できる。一番低い「L」なら、動作音はまず気にならない

スチール板にシートを貼り合わせ、制振するとともに、内部で発生する動作音を外に漏れにくくしている

各種ポートは前面パネル右側に縦に配置。マイク、ヘッドホン、USB 2.0×2、IEEE1394を備える

オーソドックスなサイズと内部構造なので、ほとんどのパーツの組み込み作業は容易。ただ、開口部の幅は狭めだ。シャドーベイは外すことができないので、大型ビデオカードは組み込みにくい
【検証環境】CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、メモリ:Corsair Memory XMS3CMX8GX3M4B1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×4 ※2枚のみ使用)、ビデオカード:MSI R5770 HAWK(ATI Radeon HD 5770)、HDD:Seagate Bar各パーツの温度racuda7200.12 ST3500418AS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、電源:Corsair Memory CMPSU-850HXJP(850W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版、比較対象ケース:GMC J1(ATX、前面パネルクローズ、8cm角背面ファン×1搭載)【検証内容】検証環境に示したパーツを各ケースに組み込み、HWMonitor1.15にて各部の温度を測定。動作音はそれぞれケース正面から約20cmの距離で計測。ファンの回転数を調整できる製品は、回転速度を最小と最大に設定し、それぞれ計測。アイドル時はOS起動から10分後の値、高負荷時は3DMark Vantageを動作させた際の最高値。暗騒音は30dB以下(30dB以下は計測不能)。室温16℃。[各部の値]CPU:もっとも値の大きいCoreの値、チップセット:SYSTEMの値、ビデオカード:GPU Coreの値、HDD:HDDの値