価格だけじゃないビデオカードの選び方
ミドルクラスの売れ筋ランキングを見てみると、実売1万円台の製品を中心によく売れており、価格がこなれてきたかつてのハイエンドGPU、GTS 250の人気の高さがうかがえる。最上位モデルのGPUの性能と価格は、だいたい2年でミドルクラスまで下りてくる。今の最上位製品を購入するよりは、2万円前後の旧世代の最上位製品を2年周期で購入したほうが、コストパフォーマンスはよいので、GTS 250は確かに有力な選択肢だ。一方、2年という時間は、DirectXのバージョン、メモリや省電力機能の進化など、パーツのスタンダードを変えてしまう。実売2万円を切る価格帯で、DirectX 11に対応し、GDDR5に対応するHD5770の人気が高いのは、高い性能とともに、そういったトレンドを求めるユーザーが多いからだ。
1売れてるGPUの実力は?
人気のHD 5770とGTS 250を中心に、価格帯的にその上と下のクラスを含めてベンチマークを行なってみた。結果、今回紹介するクラスは、価格と性能のバランスが絶妙に取れていることが分かり、これらのGPUを搭載した製品が「うまみがある」のは確か。ただし、GTS 250はハイエンドGPUだったため今でも見劣りしないが、DirectXは10までのサポートで、消費電力もやや高めとなる。その辺りも踏まえて、製品は選びたい。
2メモリの種類と容量は?

GDDR3 SDRAM搭載製品は、現在実売価格が安くなってきている。ただし、GDDR5 SDRAMとの性能差は、容量の差以上のものがあるので、GDDR5 SDRAMをオススメする。
3最新のDirectXへの対応は?

DirectX 11に対応するゲームは、今年辺りから多く登場する見込みなので、ゲーマーは対応製品を購入の候補に入れたい。HD 5000シリーズは全対応、GeForceの普及価格帯向け製品は今後登場予定だ。
【検証環境】CPU:Intel Core i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)、マザーボード:ASUSTeK P6T(Intel X58+ ICH10R)、メモリ:ノーブランドPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3、SSD:PhotoFast G-Monster V3 PF25S128GSSDV3(Serial ATA 2.5、MLC、128GB)、電源:Corsair MemoryCMPSU-650TXJP(650W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版
- Radeon HD 5770
- GDDR5 1GB
- DirectX 11
- PCI Express 2.1 x16
MSI
R5770 Hawk
実売価格:18,000円前後
問い合わせ先:web@msi-computer.co.jp(エムエスアイコンピュータージャパン) URL:http://www.msi-computer.co.jp/

Specification
コアクロック:875MHz●ビデオメモリ(バス幅):GDDR5 SDRAM 1GB(128bit)●メモリクロック:4.8GHz
OCモデルながら静音&安定志向の
オリジナル設計カード
本製品はコアクロックのみオーバークロック(OC)した仕様。定格から25MHz引き上げた875MHzとなっている。さらにOCを楽しめるユーティリティ「AfterBurner」も利用できる。OCはチップや基板に通常以上の負荷がかかるものだが、本製品ではその負荷に二つの対策を講じている。一つ目は上位モデルでも採用されているTwin FrozrⅡクーラー。3本のヒートパイプと大口径ファンを2基搭載したこのクーラーは、冷却性能に優れるのはもちろん、PWM動作できわめて静か。もう一つは同社が「ミリタリークラス」とうたう部材だ。同じ環境、温度であれば通常品の2.5倍の寿命という部材を採用している。また、電源回路が7+1フェーズとリファレンス仕様から増やされ、安定動作が見込まれる。
すべてが文句なく満点。BCNランキングに入っているR5770 Storm 1Gもよい製品だが、優れたクーラーや信頼性の高い部材の採用を考慮すると、こちらがベストバイだ。

本命のワケ
- オーバークロックモデルである
- 動作音が静かなツインファン
- 高品質な部材の採用
2基の大口径ファンを搭載。PWMで回転数を制御し、必要最低限の低速回転で静音性を確保している



オリジナル設計の7+1フェーズ回路を採用。ヒートシンクはGPUのみに接するタイプだが、サイズはかなり大きい

DVI-I、DisplayPort、HDMIという構成で、デジタルは最大3系統利用可能
【検証環境】CPU:Intel Core i7-860(2.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、メモリ:ノーブランド PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2、HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD5000AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)、電源:Cooler Master UCP 1100W(1,100W)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版【検証内容】動作音はビデオカードの裏側から約15cmの距離で計測。アイドル時はOS起動から5分後の値、高負荷時は3DMark Vantageを動作させた際の最高値。暗騒音は30dB(30dB以下は計測不能)。室温16.5℃