- LGA1156
- クアッドコア/デュアルコア
- 4スレッド同時実行
Intel
Core i5/i3シリーズ
問い合わせ先:0120-868686(インテル) URL:http://www.intel.co.jp/GPU内蔵タイプも揃えたミドルレンジの主役
Core i5シリーズとCore i3シリーズは、同一のアーキテクチャを採用しているのだが、搭載する機能がモデルごとにバラバラで、やや分かりにくい。まずはその違いをまとめておこう。
まず、Core i5シリーズには700番台と600番台があり、700番台はクアッドコアCPUでHyper-Threadingには非対応、600番台はデュアルコアCPUでHyper-Threading対応となっていて、4スレッド同時実行が可能というのが共通点だ。600番台は、3GHzを超える高い動作クロックとTurbo Boostによる自動クロック上昇により、デュアルコアCPUながらクアッドコアCPUに引けを取らない性能を備えるのが特徴だ。Core i3シリーズはCore i5-600番台からさらにTurbo Boostを省略することで、低価格化を図ったシリーズである。
さらに、Core i5-600番台とCore i3シリーズはCPUにGPUを内蔵した初の製品だ。内蔵GPUの性能に関しては下の囲みを参照してほしい。
本命のワケ
- DX10対応のGPU内蔵モデルを用意
- 全モデルが4スレッド同時処理に対応
- 動作クロックの高いモデルが多い
ClarkdaleコアとLynnfieldコアではかなり性格が異なるが、万人にお勧めできるのはLynnfieldコアのi5-750。Clarkdaleコアも高クロックデュアルコアとしては非常に優秀だ。
LINEUP
製品名 | クロック | コア/ スレッド数 |
GPU | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
Core i5-750 | 2.66GHz | 4/4 | - | 19,000円前後 |
Core i5-670 | 3.46GHz | 2/4 | ○ | 27,000円前後 |
Core i5-661 | 3.33GHz | 2/4 | ○ | 20,000円前後 |
Core i5-660 | 3.33GHz | 2/4 | ○ | 20,000円前後 |
Core i5-650 | 3.2GHz | 2/4 | ○ | 18,500円前後 |
Core i3-540 | 3.06GHz | 2/4 | ○ | 14,000円前後 |
Core i3-530 | 2.93GHz | 2/4 | ○ | 12,000円前後 |
内蔵GPUの性能をチェック
LGA1156 対応CPUは、従来、チップセットが持っていた機能をCPUに統合したのが特徴で、GPUが内蔵されたのもその一環だ。そのため、チップセット内蔵のものと同程度の性能であり、ローエンドビデオカードにもおよばない。過度の期待は禁物である。しかしながら、HD動作再生支援機能なども備えており、Windows 7を使うには十分なものとなっている。
【検証環境】CPU:Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz)、AMD PhenomII X4 965 Black Edition(3.4GHz)、マザーボード:GIGABYTE GA-H55M-S2H(Intel H55)、ASUSTeK P5Q-EM(Intel G45+ ICH10R)、MSI 785GM-E65(AMD 785G+SB710)、メモリ:Corsair Memory CMX8GX3M4A1600C9(PC3-12800 DDR3 SDRAM、2GB×4 ※2枚のみ使用)、Corsair Memory TWIN2X4096-6400C5(PC2-6400 DDR2 SDRAM、2GB×2)、HDD:Western Digital WD VelociRaptor WD3000HLFS(Serial ATA 2.5、10,000rpm、300GB)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版【GeForce 210環境】CPU:Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz)、マザーボード:ASUSTeK P5Q-EM(Intel G45+ ICH10R)、ビデオカード:MSI N210-MD512H(NVIDIAGeForce 210)、そのほかの環境はほかと同じ
同一アーキテクチャながら機能の有無で性能はかなり異なる
Core i5/i3の実際の性能を見てみよう。今回は人気のCore i5-750と650、i3-530を用意し、比較対象にはローエンドのデュアルコアであるAthlonⅡ X2 255を用意した。TMPGEnc 4.0 XPressによる動画エンコードでは、クアッドコアのCore i5-750が最速。Core i5-650、i3-530も4スレッド同時実行が可能だが、高速なクロックとHyper-Threadingをもってしても、実際に4コアで分散処理するCore i5-750にはかなわない。
ゲーム性能でも物理コア数の多いCore i5-750の優位は揺るがない。高解像度ではほとんど差がないが、1,280×720ドットの環境では、Core i5-750が大きくリード。ゲームPCではCPUの動作クロックを重視するのがセオリーだったが、マルチスレッドへの対応が進む最新ゲームタイトルでは、コア数の影響が増大する傾向にある。
システム全体の消費電力はCore i5-750がやや大きいものの、性能を考えるとLGA1156 版Core iシリーズはどれも省電力と言ってよい。CPU単体のTDPはCore 2シリーズよりも高いが、これはチップセットの機能を取り込んだためで、システムレベルの消費電力は低減されている。内蔵GPU機能を利用すれば、さらに省電力化が可能だ。
Clarkdaleで実装された新命令セット「AES-NI」
ClarkdaleコアのCore i5シリーズには、新たに「AES-NI」という新命令セットが実装されている。AES(Advanced Encryption Standard)は高いセキュリティを実現する暗号化方式。AES-NIはこのAESの暗号化/復号処理の高速化を可能とするもので、対応アプリケーションではもちろん、Windows 7標準の暗号処理APIにも採用されているため、従来のアプリケーションでも速度が向上するものもある(PCMark Vantageなど)。
Windows 7は標準API(OSが提供する命令や関数)としてAES-NIに対応した暗号処理を実装している
Windows 7の上位エディションに搭載されるBitLockerはHDDなどを暗号化する機能だが、Core i5-600番台ではこの処理が高速化される
Core i5/i3のオーバークロック耐性を調査
ASUSTeK製OCツール「Turbo V EVO」を利用し、各CPUそれぞれで「Extreme Tuning」による自動OC機能を実行したところ、どのCPUでも動作クロックが定格比で40%以上と大きく向上した。とくにCore i5-650は4.63GHz動作という非常に高い動作クロックでの安定動作を達成した。採用しているコアの違いはあるが、クアッドコアよりもデュアルコアのほうが高い動作クロックを達成しやすいようだ。
しかし、意外にもクロック向上率ではCore i5-650はもっとも低い約47%。トップはCore i3-530の約53%で、次点はCore i5-750の約48%となっている。
【検証環境】マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、ASUSTeK P6T Deluxe V2(Intel X58+ ICH10R)、ASUSTeK M4A89 GTD PRO/USB3(AMD 890GX+SB850)、メモリ:OCZ Technology OCZ3P1333LV4K(PC3-10600 DDR3 SDRAM、CL=7、2GB×2)、OCZ Technology OCZ3G1333LV3GK(PC3-10600 DDR3 SDRAM、CL=7、1GB×3)、ビデオカード:ATI Radeon HD 4770リファレンスカード、HDD:Western Digital WD Caviar Black WD1001FALS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、CPUクーラー:Thermaltake Frio 冷却魂(※オーバークロック検証のみ、それ以外はリテールクーラーを使用)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版