- LGA1156
- クアッドコア
- 8スレッド同時実行
Intel
Core i7-860
問い合わせ先:0120-868686(インテル) URL:http://www.intel.co.jp/1番人気の理由は性能と価格のバランスにあり
LGA1156ソケットに対応したクアッドコアCPUで、高いパフォーマンスと手頃な価格から、発売以来高い人気を誇る。上位には870も用意されているが、実売で5万円を超えるため、人気は860に集中している。
Core i7シリーズがCore 2シリーズと大きく異なるのはHyper-ThreadingとTurbo Boost Technologyをサポートすること。詳細に関しては後述するが、これらによりパフォーマンスが大幅にアップしている。Core i7-860は動作クロックこそCore i5-600番台より低いが、Turbo Boost時の最高クロックは3.46GHzと高く設定されており、8MBの3次キャッシュの効果も相まって、多くのアプリケーションでCore i5シリーズよりも高速だ。
対応するチップセットはIntel P55やH55。従来のMCH(North Bridge)機能をCPUに取り込んでおり、先進的な設計となっている。内蔵するメモリコントローラの仕様により対応メモリはDDR3に限られるが、DDR3とDDR2との価格差もかなり縮まっており、完全にCore 2シリーズを置き換えることに成功したと言える。
本命のワケ
- 4コア/8スレッド同時実行で高性能
- 自動OC機能「Turbo Boost」を装備
- 8MBの大容量3次キャッシュが効く!
Turbo Boostによりシングルスレッド性能を、Hyper-Threadingによりマルチスレッド性能を向上させており、弱点らしい弱点は見当たらない。どんなマシンにもお勧めだ。
LINEUP
製品名 | クロック | コア/ スレッド数 |
GPU | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
Core i7-860 | 2.8GHz | 4/8 | ― | 27,000円前後 |
Core i7-800番台に付属するCPUクーラー。Core 2シリーズなど、LGA775対応CPUに付属のものと同じに見えるかもしれないが、プッシュピン同士の間隔が少し広がっているため、互換性はないことに注意。クーラーの厚みからも、発熱の少なさがうかがえる
CPUのヒートスプレッダに触れる部分には銅素材が採用されている。Turbo Boost発動の条件にはCPU温度が含まれているため、効率的な冷却がパフォーマンスアップにつながる
ハイエンドCPUには劣るがコストパフォーマンスは優秀
今回はCore i7-860と、同じCore i7シリーズでもLGA1366対応でDDR3メモリのトリプルチャンネルアクセスに対応したCore i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)との比較を行なった。ともに4コアで8スレッド同時処理に対応するが、TMPGEnc 4.0 XPressによる動画エンコードでは、975が約2割高速。クロック差を順当に反映した結果と言えるが、価格差が4 倍近くあることを考えると860のコストパフォーマンスの高さは際だっている。こちら では、同一アーキテクチャでHyper-Threading非対応のCore i5-750を同じ条件で計測しているが、860のほうが3割近く高速となっている。
さらに、3Dゲーム性能をバイオハザード5ベンチマークで見てみよう。ミドルレンジCPUとの組み合わせを想定しRadeon HD 4770を使用しているが、Core i7-975との差はわずか。ミドルレンジビデオカードを使用する限り、CPUがボトルネックになるシーンは少ない。
消費電力に関しては、975よりは優秀だが、ローエンドモデルに比べれば高い。Turbo Boostによるクロックアップの効果を高めるためにも冷却には気を使っておきたい。
モデルごとに異なるTurbo Boost倍率
Core i7/i5シリーズのみに搭載されているTurbo Boostは、CPUの動作状況(電流、電力、温度)とアクティブなコアの数に応じて、CPUが自動的に動作クロックを向上させる機能だ。この向上するクロックはブランド・モデルごとに異なり、LGA1156版Core i7は、とくに上昇幅が大きいのが特徴だ。
Hyper-Threadingとは
Hyper-Threadingは、一つのCPUコアを二つのCPUに見せかける技術。物理的には四つのCPUコアだとしても、OSからは八つのCPUとして認識され、同時に処理可能なスレッド(ソフトウェアの処理単位)も八つとなる。実際には命令処理中の待ち時間を利用して別の処理を行なうため、数割の性能アップにとどまるが、ソフトウェアによっては大きな効果が望める。
Core i7のオーバークロック耐性を調査
ASUSTeK P7P55D-E EVO付属のオーバークロックツール「TurboV EVO」の自動OC機能を利用し、Core i7-860のオーバークロック耐性を調査した。これは負荷テストも含んだ強力なもので、電圧設定も自動で行なってくれる優れものだ。その結果、ノーマルクロック比で約42%アップとなる、3.98GHzでの安定動作を確認した。その結果、CINEBENCH R11.5におけるスコアは定格クロック比でCPU値で35%、シングルコア値では16%もの向上を記録。オーバークロックの恩恵を大きく受けていることが分かる。
【検証環境】マザーボード:ASUSTeK P7P55D-E EVO(Intel P55)、ASUSTeK P6T Deluxe V2(Intel X58+ ICH10R)、ASUSTeK M4A89GTD PRO/USB3(AMD 890GX+SB850)、メモリ:OCZ Technology OCZ3P1333LV4K(PC3-10600 DDR3 SDRAM、CL=7、2GB×2)、OCZ Technology OCZ3G1333LV3GK(PC3-10600 DDR3 SDRAM、CL=7、1GB×3)、ビデオカード:ATI Radeon HD 4770リファレンスカード、HDD:WesternDigital WD Caviar Black WD1001FALS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、1TB)、CPUクーラー:Thermaltake Frio 冷却魂(※オーバークロック検証のみ、それ以外はリテールクーラーを使用)、OS:Windows 7 Ultimate 64bit版