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TEXT:長畑利博 |
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CPUクーラー対決 |
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CPUにとって、熱は寿命を縮める要因となる最大の敵。クアッドコアCPUやオーバークロック動作などでは、十分な冷却能力に加えて、固定が確実といった信頼性も重要。また、静音性と冷却性能のバランスを調整可能なファンコン機能など、コストをかける価値がある |
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大型ファン搭載製品の冷却性能や静音性能は高級モデルと比較しても遜色なく、現在市販されているCPUのラインナップのほとんどに対応できる。また、低価格帯にはコンパクトな製品も多く、最近流行しているMini-ITXケースとも組み合わせやすい |
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ROUND1 冷却性能で選ぶ |
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CPUクーラーの冷却性能のポイントとなるのは、「ヒートシンクに熱を伝える仕組」、「ヒートシンクの放熱効率」、「ファンの能力」の3点。どこに重きを置くかで性能の差が出やすく、メーカーの腕の見せどころである。
高級製品は素材に熱伝導率の高い銅を積極的に採用したり、ヒートシンクやヒートパイプの形状を工夫したり数を増やしたりすることで冷却性能の向上を図っている。また、確実にCPUのヒートスプレッダ部と接するように、取り付け方法にも気が配られていることが多い。
対して、低価格製品は素材に低コストのアルミを採用し、ヒートパイプの本数を少なくしたり形状を単純化したりすることで、冷却性能を犠牲にせず低コスト化を図っている。 |
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高級製品は素材に銅を使ったり形状に凝ったりしたものが多く、低価格製品はアルミを多用したり形状を単純化したりしてコストを抑えている |
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【検証環境】
CPU:Intel Core 2 Quad Q9450
マザーボード:ASUSTeK P5K-E(P35+ICH9R)
メモリ:Patriot Memory PSD24G800KH(PC2-6400 DDR2 SDRAM、CL=5、2GB)×2
ビデオカード:玄人志向 GF8500GT-E256H/HP(NVIDIA GeForce 8500 GT)
HDD:日立GST Deskstar P5K500 HDP725050GLA360(Serial ATA 2.5、7,200rpm、500GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1
動作音測定距離:11cm、室温:26℃
暗騒音:32.1dB
すべてのモデルでマザーボードによるPWMコントロールを利用
Thermalright True Black 120 Plusはサイズ KABUTOクーラー標準搭載ファンを使用して計測 |
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ZALMAN |
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CNPS9900 LED |
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実売価格:8,000円前後 |
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問い合わせ先:03-5215-5650(アスク)
URL:http://www.zalman.co.kr/ |
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ユニークな形状の純銅製
放射状に配置した純銅製のフィンで挟み込む、独特のレイアウトを採用しているハイエンドモデル。ファンはPWM対応の12cmで、同社製品の中では大きめの部類 |
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Specification
対応ソケット:LGA775/1366、Socket754/939/940/AM2/AM3
ファン回転数:1,000~2,000rpm
サイズ(W×D×H):131×94×152mm
重量:730g
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サイズ |
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KABUTOクーラー |
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実売価格:4,700円前後 |
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問い合わせ先:support@scythe.co.jp
URL:http://www.scythe.co.jp/ |
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ベストセラーCPUクーラーの後継機
定番製品ANDY SAMURAI MASTERの後継モデルで、トップフロー構造を採用している。ヒートシンクの構造やヒートパイプのレイアウトなどが変更され冷却能力が高まった |
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Specification
対応ソケット:LGA775/1366、Socket478/754/939/940/AM2/AM3
ファン回転数:0~1,300rpm
サイズ(W×D×H):124×133×132mm
重量:730g
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結論
価格と冷却能力は必ずしも比例しない
今回のテストでは価格に応じて冷却性能が向上することはなかった。テストに用いたCore 2 Quad Q9450(TDP 95W)クラスのCPU環境では、低価格製品でもDark Knight S1283VやKABUTOクーラーのような大型のものは高級モデルに匹敵する冷却性能を示している。 |
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ROUND2 静音性で選ぶ |
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Round1で冷却能力を決めるポイントの一つとして、ヒートシンクの放熱効率を挙げたが、いくら効率的にヒートシンクに熱を送り込んでも空気中に熱を放出してやらなければ、温度は上がる一方となる。そこで重要な役割を持つことになるのがファンだ。ファンを使って強制的に空気を移動することにより、ヒートシンクに蓄えられた熱を効率よく逃がすことができるのである。
また、送り込む空気の量が多いほどヒートシンクの熱を多く奪える。同じ大きさのファンなら高速で回転するものほど冷却性能を高くできるが、回転数が上がると動作音も増える。そのため、現在の静音クーラーでは、大口径のファンを低速回転させるのがトレンドだ。
高級なモデルではヒートシンク自体の性能が高く、同じ低速回転ながら回転数固定型のファンを採用した製品も存在する。また、ファン回転数をユーザーが自由に制御できるファンコントロール機能を搭載していることも多い。
低価格モデルはリテールクーラーと同様にPWMで回転数を制御し、CPU温度に応じて調整するタイプが多い。静音性能は十分確保している製品が多いが、搭載しているファンによっては高負荷時に回転数が上がり過ぎてしまい、動作音が大きくなってしまうことがある。 |
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高級製品では回転数をユーザーが任意に制御することが可能な、ファンコントール機能を持った製品もある |
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大口径ファンを使い、低回転でも風量を稼ぐのが最近のトレンド。低価格製品ではPWM対応のものが多い |
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CoolerMaster |
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V8 |
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実売価格:11,000円前後 |
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問い合わせ先:support@coolermaster.co.jp(クーラーマスター)
URL:http://www.coolermaster.co.jp/ |
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独立したヒートシンクで強力冷却
4個の独立したヒートシンクが重なるようにレイアウトされた大型CPUクーラー。ヒートパイプは何と8本も搭載している。搭載ファンはPWM対応だが、ファンコン機能も搭載している |
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Specification
対応ソケット:LGA775/1366、Socket940/AM2
ファン回転数:900~1,800rpm(12V駆動時)、800~1,450rpm(7V駆動時)
サイズ(W×D×H):128×120×161.1mm
重量:865g
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Thermalright |
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True Black 120 Plus |
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実売価格:9,600円前後 |
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問い合わせ先:info@scythe.co.jp(サイズ)
URL:http://www.thermalright.com/ |
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ファンはユーザーが選ぶコダワリ仕様
ブラックニッケルメッキされた高性能ヒートシンクで人気の高い大型CPUクーラー。ファンが付属しておらず、12cm角ファンをユーザーが自由に選択できる。ファンは本体の前後に合計2個取り付け可能 |
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Specification
対応ソケット:LGA775/1366、Socket AM2/AM3
ファン回転数:ー
サイズ(W×D×H):132×63.44×160.5mm
重量:790g
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XIGMATEK |
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Dark Knight S1283V |
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実売価格:4,200円前後 |
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問い合わせ先:inf@fastcorp.co.jp(ファスト)
URL:http://www.xigmatek.com/ |
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ヒートパイプ直接接触式で高効率を実現
3本のヒートパイプをCPUに直接接触させる構造により、効率的に熱をヒートシンクに移動させる。ファンは12cm角のPWM対応で、負荷に応じて1,000~2,200rpmの範囲で速度が変化する |
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Specification
対応ソケット:LGA775、Socket754/939/940/AM2/F
ファン回転数:1,000~2,200rpm
サイズ(W×D×H):120×50×159mm
重量:660g
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結論
低価格モデルも高級モデルも静音性は高い
静音性については、ファンの性能でほぼ決まってしまう。低価格でも高級でも12cmクラスの大型ファンを装備した製品は一定レベルの静音性は確保している。静音性と冷却のバランスを追求したいのであれば、回転速度をユーザーが制御可能なファンコントロール機能を搭載した高級モデルがお勧め。 |
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