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対決 PhenomII vs. Core 2 Quad
TEXT:宮崎真一
AMD 690GはPhenom IIの夢を見るか?
旧世代マシンにおけるPhenom IIアップグレード指南
imageAMD CPU向けマザーボードの中でも、とくに人気の高かったAMD 690G搭載製品。こういった古い世代のマザーボードでPhenom IIを活用するために注意する点は何か? その方法を二つのアプローチから考えたい。
AMD 690GマシンをPhenom II構成にチェンジ
 Phenom IIを動作させるためには、基本的にAMD 7シリーズなどの現行世代のチップセットを搭載したマザーボードと対応BIOSへの更新が必要だ。しかし、AMD 690Gなどといった1世代前のチップセットを搭載したマザーを利用しているユーザーも少なくないだろう。

 そこで気になるのが、対応BIOSがリリースされていない旧世代のマザーボードでPhenom IIを使えるかどうか。Phenom IIはSocket AM2互換なので、同じSocket AM2のソケットを持ったマザーボードならそのまま装着することができる。ただし、BIOSがCPUを正しく認識できるか分からず、HyperTransportリンク速度や省電力機能に制限がある。

 もしも、しっかりとPhenom IIを動作させたいのであればCPUだけでなく、マザーボードをPhenom II対応の製品に交換してしまうほうが賢明だ。ただし、CPUだけアップグレードする場合に比べて、マザーの交換はかなり大掛かりになってしまうのが難点であり、OSを入れ直す必要も出てくるだろう。

 ここでは、実際に690G搭載マシンをPhenom IIを使ってアップグレードすべく、上記に挙げた2通りのアプローチを実践してみた。
imageアップグレードを試みたマシンの構成
CPU
imageAthlon X2 BE-2350
(2.1GHz)

デュアルコアながらTDP 45Wという省電力性でヒットしたCPU。AMD 690Gと組み合わせてコンパクトな動画再生マシンを構築するのにうってつけだった。現状ではその非力さは否めず、Phenom IIにアップグレードして大幅な性能アップを狙いたいところだ
アプローチ(1)
CPUだけ交換する
imagePhenom II X4 940
Black Edition(3GHz)

AMD 690G搭載マザーボードでPhenom IIを利用したいのであれば、そのまま載せ換える方法が手っ取り早い。Phenom IIは45nmプロセスルールで製造された最新世代のクアッドコアCPUであり、対応BIOSを搭載したマザーを用意する必要がある。執筆時点では、どのメーカーも国内で販売されたAMD 690G搭載マザーのPhenom II対応BIOSを用意していなかった。今後メーカーによっては対応BIOSを配布する可能性があるが、その場合でもPhenom IIの性能をフルに発揮できるかは疑問である。
マザーボード
imageAMD 690G+SB600
AMD 690Gは2007年2月にリリースされたチップセット。動画再生支援機能のAvivoを搭載し、DVI出力はHDCPにも対応するなど、当時としては意欲的な機能を備え、リビング向けPCの草分け的な存在だった。その後、AMD 790GXと780Gに世代が移った
アプローチ(2)
CPU+マザーボードを交換する
imagePhenom II X4 940
Black Edition(3GHz)
+AMD 790GX+SB750

確実にPhenom IIを使いたいのであれば、マザーボードごと最新のものに変えてしまうほうが賢明だ。これならば、Phenom IIが動作しないこともなく、AMD 790GX/780G搭載マザーなら別途ビデオカードを購入せずにグラフィックス性能の向上も図れる。ただし、マザーの交換はCPUだけの交換と比べて手間がかかる上、OSを入れ直す必要がある。また、マザーを用意しなければならない点もコスト面でデメリットとなる。
アプローチ(1)
CPUだけ交換する
AMD 690GマザーにPhenom IIを載せてみる
BIOSアップデートせずともPhenom IIは動作したが……
 今回用意したAMD 690G搭載マザーボードのASUSTeK「M2A-VM HDMI」のBIOSのバージョンは1603。これは、2007年12月4日付けで公開されたもので、もう1年以上も前のものとなる。しかし、このBIOSのままPhenom IIに差し換えてみたところ、驚くことにOSがフリーズすることもなく問題なく動作した。ただし、CPUを正常に認識できないようで、BIOSで“model unknown”と表示されてしまう。また、1世代前のPhenomへの対応も果たせていないバージョンのようで、BIOSにはUngangedモードの設定なども用意されていない。さらに、Phenom IIのHyperTransportバスのクロックは本来1.8GHzだが、このBIOSでは1.6GHzになってしまった。

 そこで、最新バージョンとなる2201(2008年11月10日リリース)にアップデートしてみたが、依然としてCPUの認識は不明(unknown)のまま、HyperTransportバスのクロックも1.6GHzから改善されることはなかった。

 最新BIOSでも、AMD 690GではPhenom IIの性能をフルに発揮できないようだが、Athlon X2 BE-2350との性能差は当然のごとく大きい。右に示すように、PCMark Vantage Build 100の総合スコアが約1.6倍に向上した。
imageCPUを交換するだけなのでラク
Phenom IIはSocket AM2のCPUであるため、AMD 690G世代のマザーボードでもそのまま装着することが可能。ただし、正しく動作するかどうかは不明であり、現状では690G用に対応BIOSをリリースしたメーカーも見当たらない
imagePhenom IIが正しく認識されない
M2A-VM HDMIでは、BIOSを最新バージョンの2201にアップデートしても、“model unknown”と表示され、Phenom IIを正常に認識できなかった
image
結 論 手っ取り早くPhenom IIを使いたいのならCPUだけの交換もアリ
Phenom IIが持つ性能をフルに発揮できないとはいえ、Athlon X2などからのアップグレードなら、そのアドバンテージはかなり大きい。ただし、すべてのAMD 690Gマザーボードで動作するわけではない点に注意してほしい。
NVIDIAチップセットのPhenom II対応状況は?
 AMD CPU向けマザーボードを使用しているユーザーの中には、NVIDIA製チップセットを搭載したマザーボードを使っている人もいるだろう。実際のところ、NVIDIA製チップセットのPhenom II対応状況はどうなっているのだろうか。

 AM2+プラットフォームの対応がうたわれているnForce 780a SLI/750a SLIやGeForce 8300などを搭載したマザーでは、AMD 7シリーズと同様に、Phenom IIが利用可能だ。マザーボードメーカーの中にはそれよりも前の世代のGeForce 7050 PV搭載マザーなどを対応リストに加えているところもあるが、同チップセットはHyperTransportの対応バージョンが1.0であり、現行の3.0が使えず、Phenom II本来の転送速度が出せないことに注意してほしい。
imageNVIDIAの統合型チップセット「GeForce 7050 PV」。AMD 690Gと同じく人気のあったチップセットだ。次世代のGeForce 8300と同じく、対応BIOSを出しているメーカーも見られる
【検証環境】
CPU:AMD Athlon X2 BE-2350(2.1GHz)、AMD Phenom II X4 940 Black Edition(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK M2A-VM HDMI(AMD 690G+SB600)、Jetway HA07-Ultra(AMD 790GX+SB750)
メモリ:ノーブランド PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB(CL=5)×2
グラフィックス機能:AMD 690G内蔵(ATI Radeon X1250、割り当てメモリ512MB)、AMD 790GX内蔵(ATI Radeon HD 3300、割り当てメモリ640MB[UMA+LFB])
HDD:Western Digital WD Caviar Blue WD3200AAKS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、320GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1
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