その他の特集(2011年) | |||
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TEXT:鈴木雅暢 | ||||||||||||||
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Phenom IIは、45nmプロセスルールの採用をはじめとするさまざまな要素によりPhenomから大幅な進化を果たしている。ここではその強化ポイントについて、少し掘り下げて解説していこう。 | ||||||||||||||
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Phenom IIはCPUの基本的なアーキテクチャ部分に関してはPhenomから引き続きK10アーキテクチャを採用している。ネイティブクアッドコア(一つのダイに四つのコアを搭載)、各コア内蔵の2次キャッシュ、共有3次キャッシュ、メモリコントローラの内蔵などを特徴とする。IntelもCore i7からこれと同じ構造を採用しており、命令処理の細かい部分は別にして、それだけ大枠の構造についてはAMDのほうが先進的だったと言うことができるだろう。これまでIntelに対して見劣りしていた部分は、製造技術、生産技術の部分が大きい。 その製造技術にあたるのが、45nmのプロセスルール。Phenom IIの躍進のすべてがこの45nmプロセスルールに起因している。プロセスルールとは、半導体の微細化を中心とした製造技術の世代を表わすもの。「~nm」というのは微細化技術の目安で、露光装置が対応できる「設計上のゲート長(露光マスクの段階でのゲート長)」を示すものだが、シリコンの加工技術などの関係上、実際のゲート長はもっと細かくなるため、できあがった半導体の具体的にどこが~nmであるというわけではないが、数値が小さいほうがより半導体の微細化が進んでいることを示している。つまりはゲート長や配線幅を短くでき、半導体回路を細かく作り込めるわけだ。 ゲート長や配線幅が短くなると、基本的な理屈ではトランジスタのスイッチをONにするための電子の移動距離が短くなるため、高速動作させやすくなり、また動作に必要な電力も小さくなる。つまりは高クロック化と省電力化、両方のメリットがある。もっとも、近年、とくに90nm世代以降はリーク電流(トランジスタのスイッチがOFFの場合も流れてしまう電流)の影響で必ずしもその理屈どおりにはならないのだが、それを可能にしているのが、130nmプロセスルールの時代から採用しているSOI(Silicon On Insulator)技術だ。これはシリコン基板の下に絶縁層を挟むことにより、電子の移動を高速化させるとともにリーク電流も低下させる効果があり、とくに90nmの時代にはIntelの同世代に対して大きなアドバンテージを持っていた技術だ。次世代の32nmプロセスルールではIntelの45nm同様にHigh-k(ゲート絶縁膜に誘電率の高い素材を用いる)の導入を検討しているとされるが、この45nm世代まではSOIでいけるという判断だろう。実際にPhenom IIでは高クロック、低消費電力がともに達成されているわけだから妥当な判断だったと言える。 |
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プロセスルールが微細化することのメリット | ||||||||||||||
→電子の移動距離が短くなる=高クロック化できる →小さい電力で電子を移動させることができる=消費電力が下がる →より多くのトランジスタを集積できる=大容量キャッシュを搭載しやすい |
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3次キャッシュが6MBに 四つのCPUコアを内蔵するクアッドコアであるPhenom II X4。内部構造はPhenomから大きな変化はないが、各コア共有の3次キャッシュが6MBに増量された |
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“ネイティブ”クアッドコア Phenom IIより一足早く発売された45nm版Opteronのダイ。構造自体はPhenom IIとほぼ同じだ。下部の大容量6MB 3次キャッシュが目を引く |
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そして、ゲート長や配線幅が短くなると、半導体回路全体のサイズ(=ダイサイズ)も小さくなる。プロセスルール1世代の進化で約1/2になる。逆に言えば同じダイサイズでより多くのトランジスタを集積することができる。その分コアを増やしたり、キャッシュ容量を増やしたりと、さらに性能向上へ振り向ける余裕が生まれるわけだ。増えたトランジスタを設計の大幅な変更なしにパワーアップの即戦力として活かせる代表的な方法がキャッシュの増量であり、これまでの歴史を見ても、Intelの主力CPUで2次(あるいは3次)キャッシュが増えるタイミングは、基本的にすべてプロセスルールが進化したときである。 Phenom IIはPhenomより4MB多い6MBの3次キャッシュを搭載しているが、AMD CPUでは伝統的に上位キャッシュの内容を下位キャッシュが重複して持たないエクスクルーシブキャッシュを採用しているため、キャッシュできる範囲は最大8.25MB(4コア間で重複する可能性あり)であり、Core i7に匹敵する。 IntelのCore 2 Quadは65nm世代でも四つのコアと8MBの2次キャッシュを搭載していたが、これは二つのダイを貼り合わせたような構造で実現していたもの。Intelのネイティブクアッドコアは45nm世代のCore i7が初めてであり、65nmプロセスでネイティブクアッドコア+3次キャッシュというアーキテクチャを採用していたPhenomは、構造的にかなりムリをしていたと言うことができ、思うようにクロックが伸びず、消費電力が大きかったことも納得がいくところだ。かなり先進的だったK10アーキテクチャが、この45nmプロセスルールになってようやく本領発揮の機会を得たと言えるだろう。 |
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まずはAM2+版が登場、AM3版も登場予定 今回発売されたAM2+版Phenom IIはDDR2のメモリコントローラしか持たないが、3月までに登場するAM3版Phenom IIはDDR3/DDR2に両対応 |
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消費電力のさらなる低減に貢献しているCool'n'Quiet 3.0の強化点についても触れておこう。まず「Smart Fetch」は、アイドル状態になったコアをHalt(休止)状態にして電力を節約する技術。AMD CPUはエクスクルーシブキャッシュのため、休止状態になったコアのキャッシュにはアクセスできなくなるが、Halt状態に入る際にコア内部にある1次/2次キャッシュの内容を3次キャッシュに書き出すことで対応する。 また、負荷に応じたクロック変化の基準とするPステートが増えたことも明らかにされた。これまでは実質2段階であったところが4段階に増え、最低クロックも1.3GHzから800MHzへと下げることで、より効果的に消費電力を抑えることができるようになった。AMDによれば、これとプロセスルール微細化による効果を合わせて、高負荷時に30~40%、中低負荷時に最大50%、アイドル状態で40~50%と大幅な消費電力削減に成功したとしている。 |
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コア単位で休むSmart Fetch アイドル状態になったコアを休止させて消費電力を節約する。Halt状態に入る際に1次/2次キャッシュの内容は3次キャッシュに書き出される |
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Pステートが増加 秋葉原のイベントで公開された資料によれば、Cool'n'Quiet 3.0では4段階のクロック変化が可能となり、さらに最低クロックも800MHzへ低下した |
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