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TEXT:宮崎真一 |
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マザーボード編 |
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Core i7が登場し、マザーボードの話題はX58一色に染まりつつある。しかし、誰もがハイエンドクラスのマザーボードを必要としているわけではない。ここではハイエンドモデルからローエンドモデルまで、自分の用途に合ったマザーボードを探っていきたい。 |
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ハイエンドやローエンドといったセグメントの違いなどから、非常に多くの種類のマザーボードが店頭をにぎわせている。しかし、それだけ数が多いと実際にどれを選べばよいのか悩ましいところ。そんなときにポイントとなるのが、PCの“用途”である。動画エンコードを日常的に行なう人や、3Dゲームに重きを置く人、ビジネス用途でしか使わない人など、自作PCなら必ず自分の用途に合ったPCを作り上げることができる。まずは、現在のハイエンド・ミドルレンジ・ローエンドについて知る必要がある。
ハイエンドマザーボードにおける、ここ最近のトピックはX58マザーの登場だろう。X58はCore i7のリリースに合わせて用意されたチップセットだが、これによりハイエンドはLGA775からLGA1366へとプラットフォームが移行することとなった。X58マザーボードは、CrossFireXとSLIの両方が利用でき(後者は非対応製品もある)、マルチGPU環境のプラットフォームとして魅力的。さらに、Core i7はメモリコントローラがCPUに内蔵されている上に、メモリのトリプルチャンネルアクセスをサポートしていることなどから、システム全体のパフォーマンスも高い。だが一方で、メモリはDDR3 SDRAMしか利用できないため、多くのユーザーにとってはマザーボードとCPU、それにメモリと初期投資が大きくなってしまう点がネックである。
次に、ボリュームゾーンとなるミドルレンジを見てみよう。Core i7のLGA1366プラットフォームへの移行にとまどうユーザーも少なくない。そういったユーザーには、2008年6月に登場してから今もメインストリームに位置する、P45搭載マザーボードが魅力的だろう。SLIには対応していないもののPCI Express 2.0 x16スロットが2本あればCrossFireXを利用可能だ。さらに、ローエンドのP43を採用した製品もいくつか発売されており、マルチGPU環境を利用する予定がなく、マザーボードにかかるコストを抑えたいというユーザーには有力な選択肢になるだろう。
そして近年、性能向上著しいのが、統合型チップセットを採用したマザーボードだ。このセグメントはミドルレンジからローエンドまで揃っており、描画性能と動画再生支援機能の向上がトレンドとなっている。IntelもようやくG45でHD動画の再生支援機能を備えたものの、NVIDIAやAMDにまだ一日の長がある。詳細についてはこちらのベンチマークを確認してほしい。とくに、AMDプラットフォームはCPUが安価なことと、AMD 790GXのグラフィックス性能がローエンドモデルのビデオカード並みに優秀という特徴がある。そのため、コンパクトな動画再生マシンを自作したいといったユーザーやライトゲーマーを中心に人気を集めているようだ。 |
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製品選びのポイント(1)
オールマイティに使えるP45 |
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普及価格帯に位置するP45マザーボードは、スタンダードな製品からオーバークロックに特化したものまで種類が豊富。どのCPUを組み合わせるかによって、さまざまな用途で活躍できる。 |
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製品選びのポイント(2)
統合型は9400か790GXが強力 |
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統合型マザーでは、Intel CPU向けのGeForce 9400や、AMD CPU向けの790GXがぞれぞれローエンド向けビデオカードに匹敵する描画性能を持ち、高機能な動画再生支援機能も搭載している。 |
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製品選びのポイント(3)
ハイパフォーマンスを目指すならX58が有力な選択肢 |
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Core i7シリーズのパフォーマンスが必要なら、X58マザーボードへの移行が必須条件となる。Core i7なら、CPU内蔵のメモリコントローラやトリプルチャンネルアクセスなど、システム全体のパフォーマンスアップも大いに期待できる。さらに、一部のマザーボードは、NVIDIAの3-way SLIおよびATIのCrossFireXをサポートしており、ゲーマーに対してもかなり魅力的な環境を提供してくれる。 |
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主なチップセットの仕様 |
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Intel CPU対応チップセット |
North Bridge名 |
Intel X58 |
Intel P45 |
Intel P43 |
対応CPUソケット |
LGA1366 |
LGA775 |
LGA775 |
最大システムバス(帯域) |
6.4GT/s
(25.6GB/s) |
1,333MHz
(10.664GB/s) |
1,333MHz
(10.664GB/s) |
メモリインターフェース(最大) |
CPUによる |
DDR3-1066/
DDR2-800 |
DDR3-1066/
DDR2-800 |
メモリ容量(最大) |
CPUによる |
8GB(DDR3)/
16GB(DDR2) |
8GB(DDR3)/
16GB(DDR2) |
PCI Express 2.0バスのレーン数 |
36 |
16 |
16 |
内蔵グラフィックス機能 |
- |
- |
- |
対応するICH |
ICH10シリーズ |
ICH10シリーズ |
ICH10シリーズ |
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Intel CPU対応チップセット |
North Bridge名 |
Intel G45 |
NVIDIA GeForce 9400/9300 |
対応CPUソケット |
LGA775 |
LGA775 |
最大システムバス(帯域) |
1,333MHz
(10.664GB/s) |
1,333MHz
(10.664GB/s) |
メモリインターフェース(最大) |
DDR3-1066/
DDR2-800 |
DDR3-1333/
DDR2-800 |
メモリ容量(最大) |
8GB(DDR3)
/16GB(DDR2) |
非公開 |
PCI Express 2.0バスのレーン数 |
16 |
20 |
内蔵グラフィックス機能 |
GMA X4500HD |
GeForce 9400/9300 |
対応するICH |
ICH10シリーズ |
1チップ構成 |
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AMD CPU対応チップセット |
North Bridge名 |
AMD 790FX |
AMD 790GX |
AMD 780G |
対応CPUソケット |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
最大システムバス(帯域) |
5,200MHz
(41.6GB/s) |
5,200MHz
(41.6GB/s) |
5,200MHz
(41.6GB/s) |
メモリインターフェース(最大) |
CPUによる |
CPUによる |
CPUによる |
メモリ容量(最大) |
CPUによる |
CPUによる |
CPUによる |
PCI Express 2.0バスのレーン数 |
38 |
22 |
22 |
内蔵グラフィックス機能 |
- |
Radeon HD 3300 |
Radeon HD 3200 |
対応するICH |
SB750/SB600 |
SB750 |
SB700 |
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AMD CPU対応チップセット |
North Bridge名 |
NVIDIA nForce 780a SLI |
NVIDIA GeForce 8300 |
対応CPUソケット |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
最大システムバス(帯域) |
5,200MHz
(41.6GB/s) |
5,200MHz
(41.6GB/s) |
メモリインターフェース(最大) |
DDR2-1066 |
DDR2-1066 |
メモリ容量(最大) |
非公開 |
非公開 |
PCI Express 2.0バスのレーン数 |
32
(nForce 200より提供) |
16 |
内蔵グラフィックス機能 |
nForce 780a SLI
(GeForce 8200相当) |
GeForce 8300 |
対応するICH |
1チップ構成 |
1チップ構成 |
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主なチップセット内蔵グラフィックス機能 |
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North Bridge名 |
Intel G45 |
AMD 790GX |
グラフィックスコア名 |
GMA 4500HD |
Radeon HD 3300 |
コアクロック |
667MHz |
700MHz |
Streaming Processor数 |
10 |
40 |
メモリアクセス方式 |
UMA(DVMT) |
UMA(オプションでLFB搭載) |
HD動画再生支援機能 |
○ |
UVD |
マルチGPU機能 |
CrossFireX |
CrossFireX、Hybrid Graphics |
DirectXのバージョン |
DirectX 10 |
DirectX 10 |
デュアルデジタル映像出力 |
HDMI+DVI |
× |
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North Bridge名 |
NVIDIA GeForce 9400/9300 |
NVIDIA GeForce 8300 |
グラフィックスコア名 |
- |
- |
コアクロック |
580MHz/450MHz |
500MHz |
Streaming Processor数 |
16 |
16 |
メモリアクセス方式 |
UMA |
UMA |
HD動画再生支援機能 |
PureVideo HD |
PureVideo HD |
マルチGPU機能 |
GeForce Boost、Hybrid PhysX |
GeForce Boost、HybridPower |
DirectXのバージョン |
DirectX 10 |
DirectX 10 |
デュアルデジタル映像出力 |
× |
× |
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DDR2とDDR3マザーのどちらを選ぶべきか? |
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DDR2ほどではないにせよDDR3の価格も大きく下がってきている。LGA775対応のCPUを使う場合にはDDR2対応マザーとDDR3対応マザーを選ぶことができるが、現状ではどちらがよいのだろうか。
P45マザーを使い、DDR3-1333、DDR3-1066、DDR2-1066のそれぞれの性能をPCMark Vantageで比較してみると、DDR2-1066がもっとも高いスコアを示した。これは、DDR2-1066のCL(Cas Latency)が5なのに対して、DDR3-1066のCLが8、DDR3-1333のCLが9とレイテンシが大きくなってしまうことが要因だ。つまり、パフォーマンスを重視するのであれば、DDR3 よりもレイテンシの低いDDR2が狙い目となる。ただし、DDR3-1333より上のクロックと比較した場合は、性能が逆転する可能性もある。 |
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Core i7が登場し、DDR3メモリの普及が本格的に進みつつある。P45の場合、DDR2とDDR3に両対応しており、どちらを選ぶか迷うところだ |
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【検証環境】
CPU:Intel Core Duo E8200(2.66GHz)
マザーボード:GIGABYTE GA-EP45T-DS3R(rev. 1.0)(Intel P45+ICH10R)、ASUSTeK P5Q(Intel P45+ICH10R)
メモリ:Corsair Memory TR3X3G1333C9(PC3-10600 DDR3 SDRAM、CL=9、1GB×3[2枚使用])、Corsair Memory TWIN2X2048-8500C5D(PC2-8500 DDR2 SDRAM、CL=5、1GB×2)
ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTリファレンスカード
HDD:Western Digital WD RE2 WD7500AYYS(Serial ATA 2.5、7,200rpm、750GB)
OS:Windows Vista Ultimate SP1 |
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