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TEXT:鈴木雅暢 |
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Intel CPUの45nm化が進むクアッドコアもメジャー化 |
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CPU編 |
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■ 爆発力には欠けるものの45nm化、クアッドコア化が進行
ここに来て小休止といった感のあるCPU市場。この2008年上半期で押さえておきたいポイントは、Intelの45nm製造プロセスルール採用製品の登場、クアッドコアのメジャー化、AMD CPUのブランド体系再整備といったところだろう。
Intelの45nmプロセスルールは、消費電力を低く保ったまま、高クロック化や大容量キャッシュを搭載しやすいというメリットがある。それはCore 2 Duo E8000/Core 2 Quad Q9000シリーズのスペックにも現われているが、品薄問題の影響もあるのか、価格設定が65nm世代よりやや高めとなっているため、価格以上の優位性が感じられないのも事実だ。
クアッドコアのメジャー化は、ちょうど1年ほど前にCore 2 Quad Q6600が大幅値下げされた頃から続く流れ。45nm世代のCore 2 Quadの登場や、続いて価格改訂されたCore 2 Quad Q6700などによってまた一歩前進した。
AMDはPhenomが抱えていたエラッタ問題を解消したが、消費電力に課題が残り、ミドルレンジ以上では競争力を欠く。HD動画再生支援機能(UVD)を内蔵したAMD 780Gチップセットのアドバンテージによってなんとか低価格帯での競争力を維持している状況だ。二転三転してきたブランド/モデルナンバー体系も旧モデルのフェードアウトに伴い、ようやく分かりやすくなりつつある。
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クアッドコアCPUは得意不得意がはっきりしており、最適化されたソフトでは驚異的に速いが、最適化されていない場合はデュアルコアと変わらない。エンコード、画像処理などでは最適化が進んでいるが、ゲームなどはまだ最適化されておらず、ゲーム目的なら同価格帯のデュアルコアよりクロックが低い分、コストパフォーマンスは悪い。 |
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コアが四つあるクアッドコアは、4コアが同時に動けるよう最適化されたソフトで抜群に強い |
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性能と消費電力をさらに高いレベルで両立できるようになったIntelの45nmプロセス。Core 2 Duoは45nm世代に置き換えが完了しつつあるが、Core 2 Quadは価格的にも微妙。省電力というメリットはあるが、定格での性能はSSE4.1対応などの特定の条件を満たしていない限り65nm世代と大差ない。価格しだいではあえて65nm世代という選択もアリだろう。 |
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45nm世代のCPUは65nm世代に比べて消費電力が低い。付属のCPUクーラーも簡素だ |
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上位ブランドとローエンドブランドは同じアーキテクチャを採用しつつ、2次キャッシュ容量やシステムバスのスピードで差別化していることが多い。どちらもCPU性能を左右する伝統的な要素であり、3Dゲームや比較的負荷の低いエンコード処理などで差が出てくる傾向はあるが、動作クロックの差などに比べると実質的な影響力は少ない。 |
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2次キャッシュ容量を削減したり、システムバスクロックを低くしたりして差別化されている |
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Intel |
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Core 2 Quad Q9000シリーズ |
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問い合わせ先:0120-868686(インテル)
URL:http://www.intel.co.jp/ |
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最大12MBの2次キャッシュを搭載する45nm世代のクアッドコア
開発コードネーム「Yorkfield(ヨークフィールド)」こと45nm製造プロセスルール採用のクアッドコアCPU。デュアルコアのダイ(半導体部分)を二つ内蔵することでクアッドコアを実現している。
Q6000シリーズからの変更点としては、浮動小数点演算の性能向上、SSE4.1サポートといったコアレベルでの変更のほか、システムバスのスピードが1,333MHzに拡張され、上位2モデルでは2次キャッシュが1.5倍の12MB(6MB×2)に増えている。TDPの値は65nm世代と同じ95Wだが、実質的には消費電力は低くなっている。
45nmプロセスの生産リソースをモバイル向けCPUに優先的に振り分けていたことなどがあり、2008年3月発表された直後は極端な品薄でなかなか流通しなかった。同等スペックのXeonブランドのLGA775対応CPU(X3360など)が代替として販売されたりもしたが、徐々に改善され、現在はほぼ正常に回復している。 |
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Core 2 Quadシリーズはデュアルコアのダイを二つくっつけた構造のため、2次キャッシュも二つに分かれている |
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SPECIFICATION |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
システムバス |
2次キャッシュ |
3次キャッシュ |
Core 2 Quad Q9550 |
2.83GHz |
4 |
1,333MHz |
6MB×2 |
- |
Core 2 Quad Q9450 |
2.66GHz |
4 |
1,333MHz |
6MB×2 |
- |
Core 2 Quad Q9300
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2.5GHz |
4 |
1,333MHz |
3MB×2 |
- |
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製品名 |
省電力機能 |
製造プロセス |
TDP |
実売価格 |
Core 2 Quad Q9550 |
EIST |
45nm |
95W |
61,000円前後 |
Core 2 Quad Q9450 |
EIST |
45nm |
95W |
37,000円前後 |
Core 2 Quad Q9300
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EIST |
45nm |
95W |
31,000円前後 |
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Intel |
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Core 2 Quad Q6000シリーズ |
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問い合わせ先:0120-868686(インテル)
URL:http://www.intel.co.jp/ |
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65nm世代でもまだまだ現役クアッドコアの伝道師
65nm製造プロセスルール採用のクアッドコアCPUで、開発コードネームは「Kentsfield(ケンツフィールド)」。内部的にはデュアルコアのダイを二つ貼り合わせた構造となっている。この構造はダイ間の通信にシステムバスを経由するため理論的にスマートとは言えないが、デュアルコアと同じダイが使えるため、研究開発の負担が少なく、生産調整がしやすいなどのメリットがある。
下位モデルのQ6600は2007年7月にそれ以前までの半額近くまでに大幅値下げされたことをきっかけに大ブレイク。一躍ベストセラーCPUとなり、クアッドコアの認知普及に大きく貢献した。45nm世代のQ9000シリーズの登場した後の2008年4月にはQ6700、Q6600ともに価格改定され、現在も併売されている。システムバスのスピードなどスペック面ではQ9000シリーズに劣るものの買い得感は高く、まだまだ有力な選択肢として健在である。 |
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Q6600の登場当初はTDPが125Wと高かったが、G0ステッピング版の登場で95Wに低減された |
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SPECIFICATION |
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製品名 |
周波数 |
コア数 |
システムバス |
2次キャッシュ |
3次キャッシュ |
Core 2 Quad Q6700 |
2.66GHz |
4 |
1,066MHz |
4MB×2 |
- |
Core 2 Quad Q6600 |
2.4GHz |
4 |
1,066MHz |
4MB×2 |
- |
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製品名 |
省電力機能 |
製造プロセス |
TDP |
実売価格 |
Core 2 Quad Q6700 |
EIST |
65nm |
95W |
31,000円前後 |
Core 2 Quad Q6600 |
EIST |
65nm |
95W |
24,000円前後 |
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