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TEXT:長畑利博 |
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ファン選びでは、回転数、風量、静圧、騒音レベルがポイントとなる。一般的に静音性をウリにしたファンでは、口径の大きなファンをゆっくりと回すことで風量と静音性を両立させているが、回転数が高いほど風量は大きくなる。その一方で軸とベアリングがこすれて発生する軸受け音と、空気抵抗により発生する風切り音も目立ってくる。
風量は、単位時間あたりに送り出せる空気の量を体積で示したもので、cfmなどの単位で表わされることが多い。そして静圧は、風が通る障害となるケース内のパーツなどの抵抗を超えて空気を送り出す力のこと。大きくなると風量は小さくなり、静圧値が高いほど、多くの空気を送り込む力がある。
騒音レベルの基準としてよく使われるdB(デシベル)。最小音を0dBとし、これを基点として、その何倍かを対数表示する単位だ。製品スペックなどでは「dB(A)」と表記されるが、Aは人間の聴感に近いA特性と呼ばれる補正値を使用していることから来ている。
冷却効果と騒音を分かりやすく見せるため、9/12cm角のファンを取り付け可能なCPUクーラーを用意してチェックしてみた。テストでは、9cm角ファンにサイズの刀2クーラー、12cm角ファンに同社のINFINITY COOLERを使用しているが、いずれもファンが簡単に交換できるので、こうしたテストには最適だ。負荷によって回転数が変わらないよう、マザーボード側の回転数調整機能はOFFにしている。
結果を見ると9cm角であるADDA CFX-90S、SilenX IXP-64-14、サイズ 鎌フロゥの冷却性能にほとんど差は見られない。騒音については、IXP-64-14の風切り音がやや目立った。12cm角ファンでは、回転数の高い山洋電気 F12-Sの冷却性能が高い。騒音レベルでは定番のXinruilian RDL1225Sのほうが高いが、耳で聞く範囲では、F12-Sの軸受け音のほうが目立つ印象だった。 |
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ファンの口径が同じでも、フィンの形状や大きさの違いで風量に差が出てくる |
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【検証環境】
CPU:Core 2 Extreme QX6700(2.66GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5B Deluxe/WiFi-AP(Intel P965+ICH8R)
ビデオカード:MSI NX7900GS-T2D512EZ(NVIDIA GeForce 7900 GS)
メモリ:Transcend JetRAM DDR2 PC2-6400 1GB(CL=5)×2
HDD:日立GST Deskstar 7K80 HDS728080PLA380(Serial ATA 2.5、7,200rpm、80GB)
OS:Windows Vista Ultimate
※室温28℃の環境で、CPU Burn-in v1.01を使って負荷をかけて測定 |
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1.サイズの種類(8/9/12cm) |
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基本的にファンは口径が大きいほうが冷却能力が高いため、大型ケースでは年々ファンサイズが大きくなる傾向がある。冷却性をウリにした製品では12cm角が主流だ。microATXの小型ケースなどで冷却性を重視したものは8cm角が多く、9cm角タイプは、一時期のアルミ製ケースなどでの採用例が多かったが、最近はやや少なくなっている。また6/7cm角ファンを採用したCPUクーラーのアップグレードに使用される場合もある。 |
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2.ファンの厚み |
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8/9/12cm角ファンでは、厚みが2.5cm厚の製品が主流。ファンは厚いほどフィンの面積が増えて風量も大きくなるが、重過ぎると軸受け音の発生要因にもなるため、バランスを重視してこの厚みを採用した製品が多い。一方、CPUクーラーの交換用や、省スペースPC用として、各サイズで1.5cm厚の薄型タイプも販売されている。このほか、1Uサーバーなどでの冷却性能を重視した3.5cm厚の高速回転タイプなどもある。これらの製品は、スタンダードな2.5cm厚のものに比べてやや高価だ。 |
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3.ファンの向きとリブの有無 |
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ファンを取り付ける方向が分かるよう、ファンガードの部分には、風の流れる方向が矢印などで記載されている。ファンには同じ口径や回転数でありながら、ネジの取り付け部に隙間があるかないかの違いでリブありとリブなしの製品がラインナップされていることがある。もし2種類あるのなら、リブなしのほうを選ぶのが無難だ。これはケースファンを利用可能なCPUクーラーの多くが、リブなしを推奨しているためだ。なお、リブがあると対振動性能が向上し、製品の寿命も長くなるメリットがある。 |
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ADDA |
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CFX-90S |
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実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:042-467-7676(アイネックス)
URL:http://www.adda.com.tw/ |
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簡易流体軸受けを採用した9cm角静音ファン。入手性の高い定番製品となっている。回転数は1,600rpmで、3ピンから4ピンペリフェラルコネクタに変換するケーブルが付く。 |
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回転数:1,600rpm、口径:9cm角 |
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SilenX |
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IXTREMA PRO QUIET FANS IXP-64-14 |
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実売価格:2,300円前後 |
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問い合わせ先:03-3526-5777(オリオスペック)
URL:http://www.oliospec.com/ |
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モーターを小型化してファン中心部をコンパクトにまとめ、さらに同口径のファンと比べ羽根の面積を増やした9cm角ファン。抵抗を減らすために軸部分を円錐形にするなどの工夫もなされている。 |
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回転数:1,600rpm、口径:9cm角 |
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Xinruilian |
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RDL1225S(12LN) |
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実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:pc-section@nagao-ss.co.jp(長尾製作所)
URL:http://www.xinruilian.com/ |
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軸受け音の少ないボールベアリングの採用で人気の高いXinruilian製ファン。本製品は12cm角、回転数1,200rpmの低速モデルだが、回転数が同じでも色違いやリブ付きなどバリエーションが豊富なのも特徴。 |
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回転数:1,200rpm、口径:12cm角 |
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Xinruilian |
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RDL1238S-PWM |
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実売価格:1,900円前後 |
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問い合わせ先:pc-section@nagao-ss.co.jp(長尾製作所)
URL:http://www.xinruilian.com/ |
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3.8cmという厚みを持つ12cm角ファン。PWMに対応し、回転数は800~2,000rpmの可変式。公称最大風量は94.73cfmで、同口径のものに比べて大きめ。長尾製作所オリジナルモデルで、5V動作も試験済み。 |
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回転数:800~2,000rpm、口径:12cm角 |
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サイズ |
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鎌フロゥ9cm超静音 |
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実売価格:1,000円前後 |
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問い合わせ先:support@scythe.co.jp
URL:http://www.scythe.co.jp/ |
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オイル漏れの起きにくい完全密閉型のベアリングを採用することで、8万時間という長寿命を実現した9cm角ファン。回転数は1,600rpm。電源ピンは3ピンタイプ。4ピンペリフェラル変換ケーブルも付属している。 |
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回転数:1,600rpm、口径:9cm角 |
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山洋電気 |
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F12-S |
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実売価格:3,800円前後 |
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問い合わせ先:046-236-3522(オウルテック)
URL:http://www.sanyodenki.co.jp/ |
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製品寿命6万時間という耐久性の高さがウリの山洋電気製ファン。本モデルは同社の12cm角ファンの中では1,400rpmともっとも回転数の低い静音モデル。3ピンから4ピンに変換するためのケーブルが付属する。 |
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回転数:1,400rpm、口径:12cm角 |
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