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TEXT:松永 融 |
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マザーボード編 |
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登場してきた新型チップセット
マザーボードの付加価値が焦点に |
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Core 2 Duoの登場を受け、対応マザーボードが多数登場している。似たり寄ったりのチップセットを搭載したマザーボードがあふれる中、マザーボードには付加価値向上を狙った高級部品やさまざまな機構が組み込まれるようになってきている。 |
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これが最新のトレンドだ!
1.Intel 965チップセットシリーズの登場
2.高級モデルではヒートパイプの採用など、冷却性と静音性に配慮
3.高級コンデンサを搭載し、信頼性を高めたマザーボードが急増 |
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Intel向けチップセットとAMD向けチップセットの現状 |
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新しいCPUをサポートするためには、対応チップセットが不可欠だ。2006年夏にIntelが新たにリリースしたCPUである、Core 2 Duoシリーズをサポートする代表的なチップセットとして、Intel 965シリーズが登場した。そのほかにもサードパーティ製として、NVIDIAのnForce 680i SLIやnForce 590 SLI、VIAのP4M890などがCore 2 Duoに正式対応している。また旧世代のチップセットであるIntel 975Xや945チップセットであっても、マザーボードメーカー各社で独自にリビジョンアップしてCore 2 Duoに対応している場合がある。もちろんマザーボードの製品名が同じでも、リビジョンアップされていないものでは、物理的にCore 2 Duoを装着できても、正常に動作させることはできない。原因はCPUに供給する電力を生成するVRMの仕様がVRD10.xからVRD11へ変更されているためであり、この場合はBIOSをアップデートしても対応できないので、こうしたマザーボードを使っているユーザーは、Core 2 Duoを使いたければ対応したマザーボードに買い換える必要がある。
一方、AMDプラットフォームで、公式にSocket AM2への対応をうたうチップセットはNVIDIAで言えば、nForce 5xxシリーズやGeForce 6100シリーズ。ATIではCrossFire Express 3200およびRadeon Xpress 1100がそれにあたる。また、現在のところ、NVIDIAがAMDの次期Athlon 64 FX向けとして、「nForce 680a SLI」の投入を予告した。680a SLIはチップセット自体が二つのMCPからなっており、これにデュアルコアのAthlon 64 FXを二つ搭載させて、デュアルプロセッサ構成で使うモンスタープラットフォームである。デュアルコアCPUをデュアルプロセッサで使用することで、4個のCPUコアをサポートするわけで、エンスージアスト向けの仕様のハイエンド的存在だ。クロックあたりの性能ではCore 2シリーズにやや差を付けられた感のあるAMD CPUの明るい話題ではあるが、自作ユーザーとしては一般向けの製品の登場が待たれるところだ。 |
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IntelのP965チップセット。Core 2 Duo世代のスタンダードなチップセットだ。G965チップセットは内蔵グラフィックス機能を持っている |
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965チップセット世代からIDEドライブがサポートされなくなってしまったが、Serial ATA接続の光学ドライブの普及はまだ見えてこない |
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JMicron製のIDEコントローラ「JMB363」。IDEポートの救済措置としてほとんどの965マザーがこうしたチップを採用している |
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追加機能が目立ってきた2006年のマザーボード |
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2006年のマザーボードの傾向としては、排熱機構にヒートパイプを採用した製品が急増した。これについては、以前はチップセットにファンを乗せて冷やすタイプの冷却システムがよく見られたが、高速回転する小型ファンの騒音が思いのほか大きく、静音化のニーズが多かったという理由もある。ヒートパイプ方式の冷却システムを使えば、チップセットの熱をCPU付近まで輸送し、CPUクーラーのエアフローを利用して排熱することができる。チップセットのファンレス化を実現しつつ、冷却能力を確保することが可能になるわけだ。この機構は冷却性能よりも、静音性を高めるための仕組と言えるだろう。
また、オーバークロック耐性やPC稼動時の安定性、高寿命などをうたい文句に、評価の高い日本メーカー製アルミ固体電解コンデンサを採用するマザーボードも増えた。信頼性をウリにするマザーボードに対するユーザーの感心はかなり高く、マザーボードの購入の一つの指標となった感がある。
デバイス系では、Serial ATAインターフェースを外付けHDDなどの外部接続用として使えるようにするeSATAコネクタの標準搭載もトレンドの一つだ。1年前はASUSTeKのハイエンドモデルくらいしか搭載していなかったが、最近は徐々に採用例が増え、Universal ABITやFOXCONN、DFI、ASRockなどの製品でも搭載機が見られる。すでにASUSTeKの製品では、ミドルクラス以上のほぼ全機種で標準搭載されている。 |
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静音性と冷却性を両立させるため、マザーボードにヒートパイプを搭載するメーカーが急速に増えた |
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日本メーカー製のアルミ固体電解コンデンサ。耐久性に定評があり、PC稼動時の安定性に貢献するとされる |
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eSATA接続のストレージデバイスも揃い始め、バックパネルにeSATAを搭載するマザーボードが多くなってきた |
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Intel CPU向けの主なチップセット |
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メーカー |
Intel |
チップセット名 |
975X |
P965 |
G965 |
対応CPUソケット |
LGA775 |
LGA775 |
LGA775 |
対応メモリ(上限) |
DDR2-667 |
DDR2-800 |
DDR2-800 |
最大システムバスクロック |
1,066MHz |
1,066MHz |
1,066MHz |
グラフィックス機能 |
- |
- |
GMA X3000 |
PCI Express x16スロット |
2本 |
1本 |
1本 |
マルチGPU技術 |
ATI CrossFire(x8×2) |
- |
- |
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メーカー |
NVIDIA |
ATI |
チップセット名 |
nForce 680i SLI |
nForce 590 SLI Intel Edition |
CrossFire Express 3200 |
対応CPUソケット |
LGA775 |
LGA775 |
LGA775 |
対応メモリ(上限) |
DDR2-800 |
DDR2-667 |
DDR2-667 |
最大システムバスクロック |
1,066MHz |
1,066MHz |
1,066MHz |
グラフィックス機能 |
- |
- |
- |
PCI Express x16スロット |
3本 |
2本 |
2本 |
マルチGPU技術 |
NVIDIA SLI(x16×2) |
NVIDIA SLI(x16×2) |
ATI CrossFire(x16×2) |
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AMD CPU向けの主なチップセット |
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メーカー |
NVIDIA |
チップセット名 |
nForce 590 SLI |
nForce 570 SLI |
nForce 570 Ultra |
GeForce 6100 |
対応CPUソケット |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
対応メモリ(上限) |
CPUによる |
CPUによる |
CPUによる |
CPUによる |
最大システムバスクロック |
2,000MHz |
2,000MHz |
2,000MHz |
2,000MHz |
グラフィックス機能 |
- |
- |
- |
GeForce 6100 |
PCI Express x16スロット |
2本 |
2本 |
1本 |
1本 |
マルチGPU技術 |
NVIDIA SLI(x16×2) |
NVIDIA SLI(x8×2) |
- |
- |
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メーカー |
ATI |
チップセット名 |
CrossFire Express 3200 |
Radeon Xpress 1100 |
対応CPUソケット |
Socket AM2 |
Socket AM2 |
対応メモリ(上限) |
CPUによる |
CPUによる |
最大システムバスクロック |
2,000MHz |
2,000MHz |
グラフィックス機能 |
- |
Radeon X300 SE相当 |
PCI Express x16スロット |
2本 |
1本 |
マルチGPU技術 |
ATI CrossFire(x16×2) |
- |
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これからマザーボードを選ぼうとするユーザーの中には、Windows Vistaを視野に入れている人がたくさんいるだろう。ご承知のとおり、Vistaでは、ビデオカードなど各種ハードウェアに対する要件が厳しくなっている。それはマザーボードについても同じで、最低限の機能を満たしていれば、「Windows Vista Capable PC」が、十分に対応可能であるなら、「Windows Vista Premium Ready PC」が冠せられることになる。ここでは各条件について詳しく述べないが、マザーボードの中でとくに重要な“電源管理機能”にだけ触れておこう。
Vistaではスタートメニューを開いたときに表示される電源ボタンの挙動が、いわゆる「スリープ」動作にあたる。スリープ状態では、まずメモリの内容をHDDに書き出し、メモリは最小の消費電力でいつでもVistaが復帰できるように待機状態を保つ。実はこの機能は、マザーボードのBIOSが「ACPI 2.0b」に対応していないと正しく動作せず、誤動作を起こしてしまうのだ。ここ2、3年前のマザーボードを使っているなら、自分のマザーボードがACPIの新しいバージョンに対応しているか、確認したほうがよいだろう。
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Vista対応マザーボードには、写真のような「Vista Ready」ロゴが冠せられる。購入前にパッケージまたはホームページを見て確認しておこう(ただし、メーカーによっては対応していても表示していない場合もあるので、注意が必要) |
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