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TEXT:鈴木雅暢 |
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用途によってはお買い得! |
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シングルコアCPU |
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ライトユーザーなら実用十分 元・主力CPUが狙い目 |
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冒頭でも述べたように、現在の市場のメインストリームは、完全にデュアルコアCPUに置き換わっている。しかし、デュアルコアCPUでなければまったく使えないかと言うと、そうでもない。マルチスレッドに対応したアプリケーションを利用するときに、あるいは複数のプログラムが同時に走る環境で負荷がかかっても「遅くならない」メリットがあるデュアルコアCPUだが、逆に言えば、シングルスレッドのプログラムを一つだけ使うならば、コアが二つあるメリットはあまりない。3Dゲームやビジネスアプリケーションのほとんどはマルチスレッドに対応しておらず、これらを中心に利用するユーザーならば、シングルコアCPUを選択する手もある。

シングルコアでの注目は、Pentium 4やAthlon 64といった旧世代のメインストリームを務めたCPU。Core 2 Duoのデビューと前後して、これらは大幅にプライスカットされており、1万円前後というバリュー向けCPUの価格帯まで下りてきて買い得感が高くなっている。最新のデュアルコアCPUと比べるとエンコードやレンダリング性能などでは大きく見劣りするものの、ビジネスアプリケーションでは実用十分な性能を持っている。

Celeron DやSempronといったバリュー向けCPUは2次キャッシュの容量やシステムバスクロックなどが抑えられているが、数千円から購入できる絶対的な価格の安さ、手軽さは大きな魅力と言える。 |
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ゲームではクロック周波数が重要
ゲームやビジネスアプリケーションの多くでは、現状デュアルコアの真価を発揮できず、高クロックのシングルコアのほうが高速なことも多い |
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シングルコアとデュアルコアの価格差 |
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製品名 |
周波数 |
実売価格(前後) |
Athlon 64 X2 4600+ |
2.4GHz |
28,000円 |
Athlon 64 3800+ |
2.4GHz |
13,000円 |
1万5,000円も安く買える! |
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Intel |
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Pentium 4 |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Core 2 Duoの2世代前にIntelの主力を務めたシングルコアCPU。徐々に市場から姿を消しつつあるが、仮想デュアルCPU技術のHyper-Threadingに対応しており、エンコードなどでもそこそこの性能を発揮する。ただし、消費電力は高い |
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SPECIFICATION
コア数:1
2次キャッシュ:1MB
システムバス:800MHz
TDP:84W |
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プロセッサ・ナンバ |
541 |
531 |
周波数 |
3.2GHz |
3GHz |
実売価格(前後) |
12,000円 |
10,000円 |
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Intel |
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Celeron D |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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バリュー向けのシングルコアCPUで、システムバスも533MHzに抑えられているが、1万円を下回る低価格で入手できる点が魅力。Core 2 DuoやPentium Dと同一のLGA775対応マザーボードが利用できる点もポイント。消費電力は高め |
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SPECIFICATION
コア数:1
2次キャッシュ:512KB
システムバス:533MHz
TDP:86W |
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プロセッサ・ナンバ |
356 |
352 |
347 |
周波数 |
3.33GHz |
3.2GHz |
3.06GHz |
実売価格(前後) |
9,000円 |
8,000円 |
7,000円 |
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AMD |
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Athlon 64 |
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URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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AMDの前世代の主力であったシングルコアCPU。ソケット仕様が主力を務めていた当時のSocket939からSocket AM2に変わっているが、より低消費電力となっている。ビジネスアプリケーションでは十分な性能を持っている |
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SPECIFICATION
コア数:1
2次キャッシュ:512KB
システムバス:2,000MHz
TDP:62W |
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モデルナンバー |
3800+ |
3500+ |
3200+ |
周波数 |
2.4GHz |
2.2GHz |
2GHz |
実売価格(前後) |
13,000円 |
11,000円 |
10,000円 |
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小型マシンに最適 |
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モバイル向けCPU |
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2006年の動きは緩慢も大きな可能性を秘めるMoDT |
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もともとベアボーンノートPCなどの用途を想定して市場に流通していたモバイル向けCPUだが、2004年辺りから静音ニーズの後押しを受け、デスクトップPCの自作にも使われるようになった。モバイル向けが前提だけに省電力面で非常に優れており、消費電力の目安であるTDPは35W以下をキープ。高性能なデュアルコアCPUも存在している。2005年まではモバイル向けCPUをデスクトップ向けPCに転用することにあまり積極的ではなかったIntelも「MoDT(Mobile on DeskTop)」というキーワードを掲げて、小型静音デスクトップPCへの転用を後押しするようになっている。

しかし、このMoDTに関して2006年の市場の動きは鈍かった。モバイル版のCore 2 Duo Tシリーズが登場したものの、モバイル向けにはすでにデュアルコアと低消費電力を高いレベルで両立したCore Duoがあったため、デスクトップ向けほどの衝撃はなかった。さらに、モバイル向けCPU、対応マザーボードには、デスクトップ向けよりも割高だという難点がある。Core 2シリーズの登場によって、デスクトップ向けでもTDP 65W程度の低消費電力が当たり前となり、ある程度の小型・静音化には対応できるようになったことで、割高なモバイル向けCPUに目を向ける必要性が薄れてきたという点はあるだろう。

もっとも、今後状況が変わってくる可能性は大いにある。ランチボックスのような超小型PCや、超静音PCといった、より快適度の高い自作PCの可能性が広がっているのは、やはりMoDTならでは。これから魅力的な対応製品が登場するなどすれば、まだまだ市場が伸びる可能性は秘めている。 |
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小型・静音マシンに最適
このようなランチボックススタイルのベアボーンキットは、MoDTコンセプトの象徴的存在だ |
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Intel |
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Core 2 Duo Tシリーズ |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Core 2 Duo Eシリーズよりもさらに低消費電力化したモバイル向けのデュアルコア。ソケット仕様は新Socket479に対応する。TDPは34Wで、内蔵2次キャッシュが4MBのT7000シリーズと同2MBのT5000シリーズがある |
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SPECIFICATION
コア数:2
2次キャッシュ:4MB/2MB
システムバス:667MHz
TDP:34W |
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プロセッサ・ナンバ |
T7600 |
T7400 |
T5600 |
T5500 |
周波数 |
2.33GHz |
2.16GHz |
1.83GHz |
1.66GHz |
実売価格(前後) |
80,000円 |
54,000円 |
31,000円 |
26,000円 |
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Intel |
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Celeron M |
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URL:http://www.intel.co.jp/ |
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Core 2 Duo Tシリーズと同じ新Socket479に対応する低価格のモバイル向けCPU。シングルコアで、システムバス帯域や2次キャッシュ容量も制限されているため性能はそこそこだが、低価格な上、TDP 27Wと消費電力が非常に低い点が魅力 |
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SPECIFICATION
コア数:1
2次キャッシュ:1MB
システムバス:533MHz
TDP:27W |
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プロセッサ・ナンバ |
450 |
440 |
420 |
410 |
周波数 |
2GHz |
1.86GHz |
1.6GHz |
1.46GHz |
実売価格(前後) |
17,000円 |
14,000円 |
12,000円 |
8,000円 |
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AMD |
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Turion 64 |
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URL:http://www.amd.com/jp-ja/ |
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初代Athlon 64と同じSocket754に対応するモバイル向けCPU。中身はAthlon 64の低消費電力版である。デュアルコアのTurion 64 X2もあるが、ソケット仕様がこれまでと互換性のないSocket S1であるためにMoDTでは利用されていない |
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SPECIFICATION
コア数:1
2次キャッシュ:512KB
システムバス:1,600MHz
TDP:25W |
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モデルナンバー |
MT-32 |
周波数 |
1.8GHz |
実売価格(前後) |
17,000円 |
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