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TEXT:鈴木雅暢 |
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Part 1 |
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20分で分かる最新CPUのメリット |
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Intelから衝撃的なパフォーマンスを誇るCore 2 Duoがデビュー、CPU市場全体がにわかに活気付いてきた。大幅な価格変動により、ほかのCPUもまた別の意味で魅力的な存在となっている。主な最新CPUの特徴をまとめてみよう。 |
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今注目のCPUはどれ? |
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出揃ったデュアルコアCPUに注目 |
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Intel |
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Core 2 Duo |
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新アーキテクチャの採用により、パフォーマンスと低消費電力を見事に両立した新時代のエース。モバイル向けTシリーズも新登場 |
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対応CPUソケット:LGA775(Eシリーズ)/新Socket479(Tシリーズ)、コア数:2、2次キャッシュ:4/2MB、システムバス:1,066/667MHz、64bit拡張:Intel 64、省電力機能:EIST、TDP:65/34W |
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プロセッサ・ナンバ |
E6700 |
E6300 |
T7600 |
T5500 |
周波数 |
2.66GHz |
1.86GHz |
2.33GHz |
1.66GHz |
実売価格(前後) |
130,000円 |
25,000円 |
85,000円 |
28,000円 |
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Intel |
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Pentium D |
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Intel CPU前世代の主力。消費電力は大きいがシングルコアより性能は高い。価格改定で買い得感が増している低価格モデルが狙い目 |
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対応CPUソケット:LGA775、コア数:2、2次キャッシュ:2MB×2/1MB×2、システムバス:800/533MHz、64bit拡張:Intel 64、省電力機能:EIST※、TDP:130/95W |
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プロセッサ・ナンバ |
960 |
950 |
930 |
805 |
周波数 |
3.6GHz |
3.4GHz |
3GHz |
2.66GHz |
実売価格(前後) |
42,000円 |
29,000円 |
23,000円 |
13,000円 |
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※一部モデルのみ |
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AMD |
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Athlon 64 X2 |
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AMDのデュアルコアCPU。性能で上をいくCore 2 Duoに大幅値下げで対抗、より省電力なEnergy Efficientモデルにも注目 |
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対応CPUソケット:Socket AM2、コア数:2、2次キャッシュ:1MB×2/512KB×2、システムバス:1,000MHz、64bit拡張:AMD64、省電力機能:Cool'n'Quiet、TDP:89/65/35W |
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モデルナンバー |
4800+ |
4400+ |
3800+ |
3800+※ |
周波数 |
2.4GHz |
2.2GHz |
2GHz |
2GHz |
実売価格(前後) |
62,000円 |
55,000円 |
20,000円 |
23,000円 |
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※Energy Efficient(TDP 65W)モデル |
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Intel |
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Core Duo |
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Core 2 Duoよりもさらにワンランク省電力なモバイル向けのデュアルコアCPU。発表済みのCore 2 Duoのモバイル版も注目だ |
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対応CPUソケット:新Socket479、コア数:2、2次キャッシュ:2MB、システムバス:667MHz、64bit拡張:Intel 64、省電力機能:EIST、TDP:31W |
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プロセッサ・ナンバ |
T2700 |
T2600 |
T2500 |
T2400 |
周波数 |
2.33GHz |
2.16GHz |
2GHz |
1.83GHz |
実売価格(前後) |
79,000円 |
51,000円 |
36,000円 |
29,000円 |
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デュアルコアにもいろいろあるみたいだけど? |
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デュアルコアCPUは、一つのCPUの中にコア(命令を処理し、計算を行なう部分)を二つ内蔵するCPUのこと。一つのPCシステムに二つCPUを搭載する、デュアルCPUシステムを一つのCPUで実現できるものと考えてもらって構わない。もっとも単純な仕組でデュアルコアを実現しているのが、Pentium D。Pentium 4のコアを二つ貼り付けたような構造となっている。コアだけでなく、データや命令を一時的に蓄えておく2次キャッシュやバスインターフェースなど、すべて2組用意されている。

もっとも、せっかく一つのチップなのに、CPUを構成する回路をすべて2組ずつ用意するのは効率が悪い。消費電力面でも不利だし、二つのコアの通信をCPU外部で行なうので性能面でも不利だ。Athlon 64 X2の場合は、もう少しスマートに、コア間の通信用にクロスバーという高速なバスを用意し、バスインターフェースを共通化している。

さらに、Core 2 DuoやCore Duoは、もっと進めて、2次キャッシュも共有化した。トランジスタの数を増やさずに、それぞれのコアが使えるキャッシュ容量を増やしたほか、コア間の通信を格段に減らす効果もあり、性能、消費電力の両面でメリットが大きい。これは次ページでも解説する。 |
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Pentium 4を二つ貼り合わせたような構造となっている。コアだけでなく、2次キャッシュ、バスインターフェースも2組とムダが多い |
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2次キャッシュはコアごとに用意するが、バスインターフェースは共通。CPU内部の通信はクロスバーで高速に行なえる |
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2次キャッシュも共有化。それぞれのコアが使えるキャッシュ容量は最大2倍に増え、コア間通信を減らす効果もある |
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高速なCPUは発熱が大きいというイメージがあるけれど・・・ |
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これまでは、新しく高速なCPUが出るたびに消費電力は上昇し、発熱もそれに伴って増大してきた。CPUの消費電力は、メーカーが公表しているTDP(Thermal Design Power=熱設計電力)を目安にできるが、右のグラフは歴代のIntel デスクトップCPUのTDPの推移を示したもの。確かに、昨年まではほぼ右肩上がりで上昇してきたことが分かる。途中で一時的に下がっているのは、半導体の製造技術が進歩(プロセスルールの微細化)したことによるもの。しかし、消費電力が下がったのはこれが最後、その後はリーク電流の問題(電流が本来流れないはずのところに流れてしまうこと)が表面化し、プロセスルールによる消費電力の低下をアテにできなくなった。近年の消費電力の異常な上昇はその誤算から来ている。

Core 2 Duoでは、製造技術の進歩に頼らず、CPUそのものの構造(マイクロアーキテクチャ)レベルから電力効率を見直すことで大幅に消費電力を削減することに成功している。 |
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