実践!Core 2 Quadオーバークロック設定術 手軽に“2ランク”性能アップ!!

 

オーバークロックの決め手となる4大パーツとは?

 オーバークロックを行なうために必要なのは、まずBIOSにオーバークロック向けの設定を持つマザーボードを用意すること。最低限FSBクロックの変更とメモリ比率の変更に対応していればよいが、CPU、チップセット、メモリの電圧も変更できる製品がモアベターだ。
 次に、オーバークロックの上限をもっとも大きく左右するのがCPUだ。メーカーが出荷するCPUは、確実な動作のために一定のマージンを見込んで定格クロックを決定していることが多く、このマージンが大きいCPUほどオーバークロック耐性が高いと言える。上位モデルと同じラインで製造されているであろう下位モデルのCPUや、新プロセスルールなど製造技術が新しくなっているモデルも狙い目。とくにIntelの45nm世代のCPUは総じてマージンが高く、お勧めである。

オーバークロックするなら45nm世代のCPUがオススメ
1 CPU

新しい製造技術を採用したCPUはオーバークロック耐性が高い傾向にある。とくにIntelの45nmプロセスルールで製造されたCPUは、High-k絶縁膜、メタルゲートなどの新技術が導入されているため高いクロックで動作させやすくなっている。また、同一ブランドのCPUは定格クロックが違っても生産ラインが共通であることが多く、定格クロックが低いCPUであっても、上位モデル並みのクロックで動作する可能性もある。一般的にはクアッドコアよりデュアルコアのほうがオーバークロックしやすいが、クロックあたりの性能が高いクアッドコアのオーバークロックは性能アップの効果も大きく、挑戦のしがいがあると言える。

CPU

今回はクアッドコアのオーバークロックにチャレンジ。45nmプロセス世代のクアッドコアで比較的手頃な価格で入手できる「Core 2 Quad Q9450」を選択。定格クロックは2.66GHz、システムバスクロック1,333MHz、2次キャッシュ12MBというスペックだ(実売価格3万3,000円前後)

高速なDDR3メモリならボトルネックになりにくい
2 メモリ

CPUをオーバークロックしてもメモリはオーバークロックされない状態が理想だが、ほとんどのマザーボードではシステムバスとメモリの比率は「2:1」が限界とされる。つまり、システムバスが1,600MHz(FSBクロック400MHz)を超えるとメモリクロックも800MHzを超え、DDR2-800ではオーバークロック状態になってしまうからだ。そのため、システムバス1,333MHz動作のCore 2 QuadおよびCore 2 Duoでオーバークロックを狙うなら、1,066MHz以上の動作をサポートするDDR3メモリが適している。さらにマージンを見込みたいなら、DDR3-1333を検討したいところだ。DDR3はDDR2と比べて、配線レベルから高速動作に適した設計が施されているので、オーバークロック状態になった場合もDDR2より高い耐性が期待できることを知っておこう。

メモリ

DDR3-1333も価格が下がってきている。今回は1GB×2枚のセットで売っているCorsair Memoryの「TW3X2G1600C9DHX」を選んだ。独自設計の基板と2層構造のヒートシンクによる強力な冷却性能も心強い(実売価格1万5,000円前後)

BIOS設定の豊富なP45マザーボードを狙え
3 マザーボード

マザーボードはBIOS設定の充実した製品がよい。最低限FSBクロックとメモリクロック(システムバス:メモリの比率)が変更できればよいが、CPU、メモリ、MCHなどの電圧設定もできるのが理想だ。また、PLL ICが本稿で紹介している「SetFSB」などのオーバークロックツールに対応していると便利である。新しいチップセットのほうが高クロックを意識して設計されているので、チップセットは最新のP45がよいだろう。多フェーズVRMを搭載するなど電源設計のしっかりした製品がオーバークロックに有利だが、ワンランク上のCPUが買えてしまうような高価な製品は考えものだ。VRMは6フェーズぐらいの製品が妥当であり、価格とのバランスで選びたい。

マザーボード

今回はDDR3メモリに対応したGIGABYTEのP45チップセット搭載マザーボード「GA-EP45T-DS3R」を利用した。VRMは6フェーズと十分で、BIOS設定も充実しており、非常にコストパフォーマンスがよい(実売価格1万8,000円前後)

冷却を重視して大型フィンを備えた製品を選択すべし
4 CPUクーラー

CPUを構成する半導体の発熱は動作クロックに比例し、また電圧の2乗に比例して上昇していく。つまり、オーバークロックを行なうとCPUの発熱は加速度的に上昇することになる。そして、その発熱を放熱し切れず半導体の温度が上昇すると、電気抵抗が増して高クロックでの動作を妨げる要因となりやすい。とくに45nm世代のCPUに付属する純正クーラーは静かだが冷却能力はそれほど高くなく、オーバークロックには向かない。オーバークロック状態で安定させて常用するためにも、CPUクーラーの強化は必須と言える。オーバークロック時にはVRMやチップセットにも負担がかかるため、それらもうまく冷却できるようなトップフロー型のクーラーが望ましいだろう。

CPUクーラー

サイズの「ANDY SAMURAI MASTER」は大型CPUクーラーの定番製品。12cm角ファンによるトップフローで広範囲に風を吹き付けるため、チップセットやVRMもうまく冷却できる(実売価格3,600円前後)

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