DOS/V POWER REPORT

Windows 7杯 自作PCの祭典2011 結果発表!!

総評/グランプリ

この夏の全国的な節電への取り組みを受けて急遽開催を決めた「Windows 7杯 自作PCの祭典 2011 真夏の省電力スペシャル」。告知、開催期間ともに短かったにもかかわらず、前回の4倍を超える900件近い応募が寄せられました。

部門別のエントリー傾向を見ると、半数以上のエントリーがPCパーツを定格で駆動する「定格省電力部門」に集まっています。パーツを安定動作させるための基本である定格設定を用いつつ、パーツの組み合わせやソフトウェアの設定変更で省電力化を図ろうというユーザーが多いことが見て取れます。その一方で、性能を重視しつつ省電力性を意識したPCを募集した「高性能&省電力部門」にも、全体の2割近いエントリーがありました。従来、パフォーマンス志向のユーザーが多いと言われている自作市場ならではの結果と言えるのかもしれません。このほかの部門はいずれも10%未満ですが、徹底的に省電力にこだわったPCを募集した「究極省電力部門」、ホームサーバーならではの省電力性を競う「Windows Home Server 2011部門」をはじめとして力作が寄せられています。

自作PCユーザーならだれもが気にするCPUの使用状況については、発売以降高い人気を誇るIntelのCore i7-2600Kがもっとも多く採用されていましたが、省電力モデルながら低価格なCore i3-2100Tが次点に着けているのが、今回の祭典ならではの傾向と言えるでしょう。実際、このCPUを使用したエントリーは電力効率に優れるものが多く、その実力も確かなものであることがうかがえます。また、発売からまだ日が浅いAMDの省電力CPU、E-350が同社のハイエンドモデルPhenomⅡ 1090T Black Editionの倍以上使われているというのも興味深いところです。

今回の祭典では、希望者には電力計を提供し、エントリーするPCの消費電力を測定してもらいました。その結果の一部を見てみましょう。まず、高負荷時の消費電力は、もっとも多い層が50~99W。これは40型LED液晶テレビ(REGZA 40A2、定格時:111W)を下回るレベルで、さらに、49W以下というエントリーが67件も存在しており、ここからも最新型PCの省電力性が垣間見えます。

電力あたりの作業効率の指標となる「1WあたりのPCMarkスコア」(数値は高いほど効率がよいことを示す)の分布に関しては、10~19がもっとも多く、次いで0~9と数値が低い層が多くを占めていますが、110を超すエントリーまで幅広く存在しています。貴重な電力の使い方という観点からは興味深いデータですが、いずれにしてもPCパーツの組み合わせや設定、ソフトウェアの使いこなしで“効率”は大きく変わるものとみることができそうです。

それでは、とくに素晴らしいエントリーを紹介してゆきましょう。

DOS/V POWER REPORT編集部
編集長 佐々木修司

各賞の賞品は8月29日より順次発送いたします。

グランプリ

三井住友VISAギフトカード 5万円分、
EIZO FlexScan EV2313W-BTBK ・・・1名

<受賞者> ノリタカ 氏

<受賞作品テーマ> 最後までSandyBridgeで頑張る

<受賞マシンの構成パーツ>

CPU インテル Core i5-2390T バルク
マザーボード ASUS P8H61-I (REV3.0)
メモリ G. SKILL F3-12800CL9D-8GBSR2
CPUクーラー PROLIMA TECH Samuel 17)
HDD なし
SSD Crucial Crucial m4 64GB (CT064M4SSD2)
光学ドライブ なし
ビデオカード Intel HD Graphics 2000 内蔵
ケース なし
電源 Mini-Box PicoPSU-80 + AC 60W
ディスプレイ SONY BRAVIA KDL-46HX800
その他のパーツ
OS Windows 7 Professional 64bit版
PCMark7
ベンチマークスコア
3,950
スリープ時消費電力 2
アイドル時消費電力 13
高負荷時消費電力 37
1Wあたりの
PCMarkスコア
106

Core i5-2390Tを中核に据えたマシン。1WあたりのPCMarkスコアは106と全エントリー中2位。それでありながら、PCMark 7のスコアは3,950という突出したバランスのよさが高く評価された。Turbo Boost関連のBIOS設定が発熱と消費電力を抑えるためのキモとのこと。

審査員より

このノリタカ氏のマシンは、多くのユーザーが頭を悩ませる性能と消費電力という相反する要素の両立を非常に高いレベルで実現しています。これを実現するCPU、マザーボード、CPUクーラー、電源といったパーツの構成は、省電力を意識する自作派にとって非常に参考になりそうです。そして、ベンチマークスコアを最大限に伸ばすためのBIOSチューンからは、実用環境においても設定を調整することでPCの省電力性能を高めることができるという可能性を感じます。
(DOS/V POWER REPORT編集部 編集長 佐々木修司)